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【英国文豪、令和を歩く】第52回:Golden Week, a time to seek, rest and joy throughout the week.

京都の街角。五月の爽やかな風が、カッフェーの暖簾を軽やかに揺らしている。ゴールデンウィークの真っ只中、店内の喧騒をよそに、二人は窓際の席で新緑を眺めている

ウィリアムシェイクスピア                                                                                                                    

見て、ドイル。街中がまるでお祭りの前夜祭のような熱気に包まれているわ。この『ゴールデンウィーク』という名の祝祭……。八百万の神々も、この一週間ばかりは天界の仕事を放り出して、観光バスに乗り込んでいるんじゃないかしら?

                                                                                                                          コナンドイル

ふむ、黄金の週間(ゴールデンウィーク)か。名前だけ聞けば、エル・ドラドでも発見されたかのような景気の良さだが、実態は凄まじいものだ。駅のホームも、この三条の通りも、かつてのベーカー街の雑踏が静寂に思えるほどの過密ぶりだよ。ワトソン君がここにいたら、人混みで私を見失って、悲鳴を上げるに違いない

あら、それこそ『間違いの喜劇』の始まりじゃない? 人々は日常という名の重い鎖を解き放たれて、自由を求めて彷徨っているのよ。ある者は古都の静寂を求め、ある者は行列の先に並ぶ甘味を求めて。……もっとも、静寂を求めてこの人混みに飛び込むのは、恋に破れて修道院へ行くつもりが、間違えてカーニバルの真ん中に降り立ってしまうような皮肉な展開だけれど

皮肉どころか、これは一種の集団的な強迫観念に近い。誰もが『今、移動しなければならない』という見えない指令を受けているようだ。……ウィル、君が先ほどから見ているそのガイドブック。まさか、この混雑の極みである清水の舞台へ行こうなどと言い出すのではあるまいね? 物理的に計算しても、あの坂道で群衆が雪崩を打てば、シャーロックの変装術でも逃げ道は作れんぞ

ふふ、心配しないで、名探偵さん。私はただ、この喧騒を眺めているのが楽しいの。舞台の上の役者よりも、客席で熱狂する観衆を眺める方が、時に真実が見えることもあるでしょう? 家族連れが疲れ果てた顔でソフトクリームを食べ、恋人たちが人混みの中で必死に手を繋いでいる……。そのどれもが、愛すべき、そして滑稽な『生』の断片だわ

(窓の外の自転車を眺めながら)
……自転車といえば、かつて私の知人に、寂しい森の道を自転車で通るたびに、不審な男に追跡されるという奇妙な依頼人がいた。この連休の喧騒なら、追跡者もたちまち見失ってしまうだろうな。科学的な捜査も、この『ゴールデンウィーク』という巨大なカオスの中では無力だ

追跡なんて野暮なことは忘れて、今はただ、この黄金色の時間を楽しみましょう。ドイル、貴方もそんなに眉間に皺を寄せないで。この一週間が過ぎれば、また誰もが『日常』という名の檻に戻っていくのだから。今は、この短い狂乱を、最高の一幕として演じきればいいのよ

……君の言う通りだ。せめて、このカッフェーの珈琲が尽きるまでは、私もこの狂騒から降りて、安息の椅子に腰を下ろすとしよう。ただし、ウィル。連休明けに、君が『遊び疲れて台詞を忘れた』なんて言い出すのは勘弁してくれよ? 私の医学的な診断によれば、それはただの怠惰という名の病だからね」

あら、失礼ね! 私の魂は、遊んでいる時こそ最も激しく筆を走らせているのよ。……さあ、ドイル。次の珈琲が来たら、この連休が終わった後の『静寂』という名の、贅沢な悲劇の構想を聞かせてあげるわ

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