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「彼氏に言えない話」を聞きたい

僕は30歳前後の時に、「異性とは恋愛関係を目指すのを止めよう」と思うようにした。その理由については色んな説明が出来るのだが、その1つに「『彼氏に言えない話』が聞きたい」というのがある。

僕が他人(これは異性に限らない)と話していてやはり一番面白いと感じるのは、「他の人にはあまり言わないだろう話」が聞けた時だ。もちろん「僕だけに話してくれている」なんて風に考えることはまずないが、「あんまり色んな人にペラペラ喋ってたりもしないだろうなぁ」と感じられると嬉しいしテンションが上がる。そんなわけで僕は普段から、「こいつには何を話しても大丈夫だろう」という見え方になるように意識しているつもりだ(主観的には、割と上手くやれているんじゃないかなと思っている)。

なのだけど、関係性上どうしても話せないこともあるだろう。そしてその分かりやすい例が「彼氏に言えない話」である。付き合っている相手には「嫌われたくない」「良い風に見られたい」と考えるが故に、「こんな話をしたらドン引きされるかも」みたいな話はなかなかしにくいはずだ。ちょっと変わった趣味・性癖なんかはそういうタイプの話だと思う。あるいは、「彼氏には言っちゃいけない話」ももちろんある。「浮気してる」なんて話は当然、彼氏には出来ないだろう。

で、僕はむしろそういう話が聞きたいのだ。「上辺を取り繕ったような薄い話」なんかマジでどうでもいい。「自分の頭が刺激されるような興味深い知識・エピソードを知りたい」というのが、僕が抱いている唯一の「生きる理由」なので、人との会話にもそういう部分があってほしいと願ってしまうのだ。

こういうスタンスがちゃんと伝わっているからだろう、僕は異性と話していて、「生理はそんなに重くないんですよね」「風俗で働いてるんです」「セフレが何人かいます」「中イキはしたことない」みたいな話を色々聞けている(どうしても性的な話が多くなるが、別に「性的な話が聞きたい」というわけではない。「人を殺したことがあります」とかでも全然いい)。そんな中でも僕が未だに時々思い出す、「よくそんな展開になったな」というのが、「友人の友人のセフレと飲む」という状況だ。

当時働いていた書店のある学生バイトとよく飲んでたのだけど、その過程でその学生バイトの友人(彼女も学生)が合流することが多くなり、3人で飲むことが増えた。で、その日も3人で飲んでいたのだけど、先に学生バイトが帰ることになり、でその後、その友人が「セフレを呼んでもいいですか?」と言ったので(飲みの後、家まで送ってもらうためという意図だった記憶がある)、それで「僕」と「友人の友人」と「友人の友人のセフレ」の3人で少しの間飲むという状況になったのだ。ホント、こういうイカれた瞬間のために日々生きていると言ってもいいので、メチャクチャ面白かったしテンションが上がった。

こういう状況はホントに、「恋愛関係」になっていたら当然起こり得ないし、「どちらかが恋愛関係になることを望んでいる」という状態でも起こるはずがない。「この人には良い面しか見せたくない」という気持ちを持っていたら表に出てこない部分だからだ。だから僕は、「僕自身にとっての面白さ」を最優先するために「恋愛」からは遠ざかろうと思っている。

ただこの点は諸刃の剣でもあって、痛し痒しだなとも思う。というのも、「彼氏に言えない話」を聞くために僕は、相手から「どうでもいい」「こいつには嫌われても別にいい」と思われないといけないからだ。僕はもちろん「友人として良き関係になれるといいなぁ」ぐらいの気持ちは持っているのだけど、「彼氏に言えない話」を聞くためには、「こいつとの関係が終わっちゃってもまあいいよね」みたいな存在を目指すしかない。そのバランスはとても難しいなといつも思っている。ま、自分で自分を追い込んでるわけで、どうにかするしかないんだけど。

で、こういう話をすると、特に同性から「『彼氏に言えない話』ってそもそも何?」と聞かれることが多い(ここで言う「同性」は概ね「僕と同年代の同性」のことだが)。女性に話す際はそこで詰まることはないのだが、男は、僕が具体例を出すまで「彼氏に言えない話」のイメージが出来ないようなのだ。そういう経験を何度かしたので、女性に「『彼氏に言えない話』ってありますよね?」と時々聞いてみるのだけど、「もちろんあるよね」みたいな返答になるので、この点には結構男女間の認識の差が出るなと感じる。

すべての男がそう感じているかは分からないが、「『彼氏に言えない話』って何?」という疑問を抱くってことは、「男は、付き合っている相手にこそ何でも話せる」みたいな感覚を持っている、ということなのかもしれない。というかたぶん、「『恋愛(や結婚)』が関係性の最上位である」という認識が強いってことなんだろうなぁ。

一方、これは僕の勝手なイメージだが、女性の場合は、「役割」が違うだけで「恋愛」と「友人」にそこまで大きな序列ってないんじゃないかという気がする。いや、もちろん「恋愛」の方が上位だと思うが、そこに凄い差があるとかではなく、「恋愛に求めること」と「友人に求めること」が区別されてるから、「『友人』の上位互換が『恋愛』である」みたいな感覚はないんだろうなと思う。いや、分からんけど。

ちなみに、話の流れがある時に、僕はこの「『彼氏に言えない話』を聞きたい」っていう自分の感覚を口にするようにしているのだが、やはり反応は様々だ。「分かる!」みたいなこともあるし、「どゆこと?」ってなることもあって面白い。この前は、「めっちゃパワーワード!」って反応だった。確かにね。

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