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「AIネイティブ組織」になった時の人事評価を考え始める

企業によるAI導入は、社員個人の利用・学習フェーズ(成果を問わず、まずは社員一人ひとりがAIを体験し試行しながら学習するフェーズ)から、組織全体での活用・成果創出フェーズ(組織全体でAIを効果的に活用し具体成果を創出していくフェーズ)に移りつつあります。

企業によるAI活用は「社員個人の利用・学習」から
「組織として活用し成果を創出」するフェーズへ

それに合わせて、AI活用を促進する人事評価(何を評価するか)の見直しも必要になってきます。

今回は、社員個人でのAIの経験・学習フェーズから、組織でのAI活用・成果創出フェーズへ移行するに当たって、人事評価(何を評価するか)をどのように変えていくかについての考え方を整理しました。

【社員個人での使用・学習フェーズ】 における人事評価

社員一人ひとりが、まずは AI(生成AI/AIエージェント等)を利用し試行しながら学習していくことを促進するためには、加点評価を原則として、以下のような行動等が評価の対象となっています(なお、評価の対象者は、エンジニアではなく、一般のユーザー社員を想定しています)。

  • AIを利用したこと自体を評価

  • AIツール(AIエージェント等)を自分で構築したことを評価

  • AI利用において工夫したこと(プロンプトやワークフロー設計など)を評価

  • AIに関するプロジェクトに参加したことを評価

  • AIに関する研修を受講したことを評価

  • AIに関するスキルを獲得したこと・保有していること(資格検定合格)を評価

このフェーズでは、成果や結果に関わらず(仮に期待通りの成果が得られなくても)AI利用に挑戦し試行したこと自体が評価対象となります。また、AIについての学習やAI活用のスキル獲得といったインプットも評価対象となります。

このフェーズの評価の特徴は、個人のAのI利用を促進するために「質よりも量」の考え方がとられることです。例えば、「社員1人が作成したAIエージェントの数」「AIに関する研修受講時間」等の"量"を評価とする傾向が見られます。

会社全体でも、このフェーズでは、「AI利用社員数」「AIエージェント開発数」「AI研修受講者数・研修時間数」「AI資格検定合格者数」といった「質よりも量」を追求するKPI設定が見られます。

【組織全体での活用・成果創出フェーズ】 における人事評価の考え方

このフェーズに移行すると、組織全体でAIを活用し どのような成果を創出したのか、が評価対象となります。個人でのAI利用・試行や学習は主な評価対象とはならず、人間が創出した成果が評価対象になると考えられます。

さらに言えば、AI活用で効率化できる可能性があるのにAIを活用せず、本人や組織の業務に非効率さを生じさせた場合は、減点の対象となることも考えられます。

ここから人事評価の考え方を整理していくために、まずは、組織としてのAI活用による成果を①効率性の向上 ②創造性の向上、③実行性の向上 に分けました。①〜③それぞれにおいて、評価項目(何を評価するか)の考え方を整理します。

この①〜③は、業務の効率性の向上(①)によって人間の思考・行動のための時間を創出し、より一層の組織全体の創造性の向上(②)実行性の向上(③)に繋げる、という構図を想定しています。(生産性=効率性×創造性×実行性)

【①効率性の向上】について

  • AI活用による既存業務の効率化によって、組織全体でどれだけの業務時間を削減できたか が評価対象になると考えます。「組織全体」の業務時間削減とは、個人だけでなく、例えば部署内の複数担当者や他部署を横断する業務プロセスをAIエージェントで再構築した場合の関係者全員の業務削減時間です。

  • また、メンバー数は増やさずに、AIエージェント導入によって組織全体で処理可能な業務範囲・量を増やせた場合も、AI活用の成果として評価対象となり得ます。

  • 毎年の評価は、AIの学習促進、AIエージェントのワークフロー見直し等による継続改善による削減時間や担当業務範囲・量の拡大となります。

  • 次に、上記の様に成果創出に繋がったAI導入について、その企画導入プロジェクトのリードまたは参画、関係者としてのサポート貢献等も評価対象となると考えられます。

  • 一方で、AI活用が"当たり前"となった後は、技術的・予算的にAIの活用が可能な環境にいるにも関わらず、AIを活用しなかった場合(合理的な理由が無い場合)は、業務効率化の機会損失により、減点対象になる可能性もあります。

【②創造性の向上】について

  • 人間ならではの能力・行動の1つとして、業務においてどれだけ組織として創造性を発揮できたかが評価されます。創造性の発揮対象には、新商品の企画開発やマーケティング戦略の立案、新たな社内制度の設計等があげられます。

  • 調査・分析やアイデア創出の壁打ち、検討会議でのAI活用自体は評価対象として重視されず、あくまで創出された成果に基づいて評価されると考えられます。

  • 一方で、AIで代替可能にも関わらず、(合理的な理由が無く)人間が行なった仕事のアウトプットは評価対象とならない可能性もあります。例えば、Deep Researchを使えば30分ほどで実行可能な調査レポート作成を、仮にAIと同じ品質の内容だとしても、人間が1〜2週間かけて行なった場合は評価対象とはならないでしょう(①効率性の向上で述べた通り、減点対象になる可能性も考えられます)。

【③実行性の向上】について

  • リアルでの実行は、フィジカルAIを除いては、AIでは不可能な領域です。この「実行性」に関する評価項目(何を評価するか)には、成果創出のスピードやスケジュール遵守状況、当初計画の達成率 等があげられます。

  • AIによる"指示"(提案・推奨)に基づいて人間が動いた場合は、AI導入前に比べてAI活用によって向上した成果の差分が評価対象になると考えられます。例えば営業担当者が、AIが作成した資料を持ち、AIが"指示"したタイミングで顧客訪問し、AIが用意したシナリオで商談を進め、顧客からの質問にはAIに相談しながら回答する営業方法に変わった場合、それによって増えた契約件数や売上金額が評価対象としては適していると思われます。

  • また、これらの成果創出に繋がった意思決定や他者との協働等の「人間ならではの行動」も 評価対象となると考えられます。業績成果の評価だけでなく、今後は「(人間ならではの行動を評価する) 行動評価」や「バリュー評価」がより一層重要視されるかもしれません。

  • ②でも述べた通り、AIでも創出可能な成果であるにも関わらず、合理的な理由も無く、人間が動いて生み出した成果は、その全てが評価対象とはならないのではないかと考えています。但し、現実には「何がAIで可能で何が人間ならではの成果なのか」の解釈で揉めることも容易に想像できるので、組織全体で「AIで出来ることは何か?人間にしか出来ないことは何か?」の具体的な定義や判断基準づくりが重要になるとも考えられます。

JD(ジョブディスクリプション)の見直しも必要に

管理職や社員が自身の担当業務について「AIで出来ること/人間にしか出来ないこと」をイメージできるようにするには、各ポジションのジョブディスクリプション(JD)で定義することも有効と考えられます。

一般的には、AIで代替不可能な仕事=人間が行うべき仕事として以下があげられますが、これらを具体的に自身の担当業務に当てはめた時にどうなるか を各管理職・社員に理解してもらうことが狙いです。

・判断・意思決定
・問いの設定
・創造性の発揮
・他者との調整・交渉
・他者との連携・協働 等

JDに記載されているポジションの「役割・主な業務」について、「人間のみが実行可能」「AIと人間の協働が有効」「AIで代替・実行可能」に分けて記述するイメージです。

なお、現時点の各ポジションのJDデータがあれば、生成AIで役割・主な業務を分析し「人間のみが実行可能」「AIと人間で協働」「AIで代替・実行可能」に分類することも可能です(下に分析イメージとして、Google Canvas で作成したツールサンプル画面を載せました)。

Step1: 画面上に 現在のJD内容(役割・主な業務)を入力する
Step2: 画面上に役割・主な業務の分析結果が表示される

Canvasでの上記簡易ツールの作り方は下記のnote記事をご参照下さい。


最後までお読み頂きましてありがとうございました。


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