人事業務で使える Gemini Notebook(旧NotebookLM) 〜10個の活用例〜
仕事をする中で Google の NotebookLM が非常に便利で、Deep Researchとともに今やなくてはならないツールとなっています。
今回は、このGemini Notebookを人事業務の中でツールとして活用する方法例を書いてみました。
はじめに:Gemini Notebookとは
まず最初に、Gemini Notebookの主な特徴をまとめてみました。
テーマごとにノートを作成する。
登録したソース(ファイル、YouTube動画、WebサイトURL、テキスト)を対象に要約・分析・検索・まとめ・壁打ち・翻訳等を行う。
Gemini/ChatGPT等の生成AIと同じようにチャット形式でプロンプトを通して指示・対話を行う。
ノートを他者と共有可能なためチームメンバー等で共同活用できる。
登録したソースがAIの学習に使用されることはない(Googleサイト)。
特徴2は、通常の生成AIとは異なり、社内資料や自身やチームで集めた情報など特定のソースに限定して要約・分析・検索・まとめ・壁打ち・翻訳等を行うことができます。
特徴4では、チーム内で1つのノートを共有することで、各メンバーが登録したソースを全員で共有したり、1人が作った"便利な"ツールを全員で活用できます。
特徴5については、一方でヒューマンエラーによって人事部外に情報が出てしまう可能性もゼロではないため、私は利用する時に個人の特定に繋がる情報は登録しないようにしています。

左側の「ソース」部分にファイルやYouTube, サイトのURLを登録し
中央部分で他の生成AIと同じように対話形式で要約や分析・壁打ち等を行う
Gemini Notebookの基本的な使い方 -4ステップ-
Gemini Notebookの基本的な使い方は非常にシンプルで、次の4つのステップで利用開始できます。
ステップ1 Gemini Notebookにアクセスする。
ステップ2 ノートブックを新規作成する。
ステップ3 ソース(ファイル/Webサイト/YouTube/テキスト)を登録する。 ステップ4 プロンプトを入力して指示する/対話する。
詳細な使い方はGoogleのNotebookLMヘルプや、その他検索すると多数のサイトや動画が出てきますのでそちらをぜひご参照ください。
以下では、個人用の”学習ノート”としての使い方ではなく、人事部内で皆で活用可能な"各種ツール"としての10個の使い方例を整理しました。
【活用アイデア1】 「検索」ツールとして
(1)自社の就業規則・規程類専用の検索ツール
ソースとして自社の就業規則・規程・ガイド類などを全て登録しておくことで、専用の検索ツールとして活用できます。
[利用方法例]
「傷病に関するルールは?」と聞けば規則規程類の中から該当する内容を表示してくれます。さらに、原文や記載場所を確認したければ「それはどこに書いてある?」と聞けば「◯◯規程の第◯条にあります」と答えてくれます。
[利用場面例]
・社員からの問合せ対応時などに規則・規程類の細かい内容を確認したい時
・法規制改正に対応するために全ての規則・規程から該当箇所を抽出したい時 等
[登録ソース例]
・就業規則・各種の人事関連規程・内規類
・人事制度・就業条件等に関するガイド
・その他、人事制度や就業規則・就業条件等に関する資料
同様の使い方として、労働関連法一式をソースとして登録すれば 労働法の検索ツールとしても活用できます。特に法改正時には厚労省等による改正の説明・ガイド類もあわせて登録すると便利です。
(2)社内の部署・ポジション(JD)の検索ツール
ソースとして社内の組織情報やJD(ジョブディスクリプション)を登録することで、部署やポジションの検索用ツールとなります。
[利用方法例]
「全事業部でマーケティングに関係する部署とポジションを一覧化して」と指示し、さらに一覧化された部署・ポジションに共通している役割やスキル要件をまとめてもらうこともできます。
[利用場面例]
・部署やポジションリストを作成する時
・新規ポジション等のJDを作る際に、類似ポジションのJDを参照したい時、さらには類似ポジションのJDをもとに新規ポジションのJD案を作って欲しい時
・特定職種向けの研修を企画するために、その職種に該当する全ポジションのスキル要件をまとめて欲しい時 等
[登録ソース例]
・組織図
・各部署の役割・主要業務・職務分掌
・ポジションリスト
・各ポジションのJD(ジョブディスクリプション)
(3)他社の人事取組み事例の共有&検索ツール
各社の人的資本レポートや事例記事などを登録しておくことで、他社事例の検索ツールとして活用できます。
[利用方法例]
「人的資本に関して各社が掲げている方針やテーマは?」「各社が導入しているジョブ型人事制度の概要は?」「DEIに関する取り組み事例は?」と対象領域の事例を検索することができます。
ただ、これだけだとわざわざソースを登録してNotebookLMを使うよりも、GoogleのAI検索 や Gemini に聞いた方が素早く事例を収集できます。
[利用場面例]
Gemini Notebookを使うことで、自分やチームメンバーが、普段から読んでいる資料・Web記事・YouTubeの中で「非常に参考になる」「自社にも使えるかもしれない」という事例情報を登録しておくことで、まずはチーム内の情報共有になります。そして、制度設計や施策企画の時などに 集めた事例情報を検索し利用できます。
[登録ソース例]
・各社の統合報告書・人的資本レポート・サステナビリティレポート
・Web記事(URL)・PDF記事や資料・Youtube動画(URL)
・セミナー等に出席した時のメモ書き(テキスト)
・Deep Research (Google)で「◯◯についての取り組み事例をまとめて」と指示して作成したレポート
【活用アイデア2】 「分析&壁打ち」ツールとして
(4)社員からの問合せ傾向の分析ツール
人事部の各担当チームには、社員から毎日多くの問合せがあると思います。問合せの記録がある場合、ソースとして登録することで問合せ内容の分類や傾向分析ができるツールとなります。
[利用方法例]
問合せ内容をカテゴリーに分類したり、最近増えている問合せを分析できます。さらには、既存のFAQがあれば一緒に登録することで、FAQではカバーできていない問合せを抽出することもできます(FAQのアップデート用として)。
[利用場面例]
・FAQや社員向けガイドをアップデートする時
・人事制度改定や施策企画のために”社員の声”を分析したい時 等
[登録ソース例]
・社員からの問合せ一覧表や問合せメール
・FAQや社員向けガイド
(5)エンゲージメントサーベイ結果の分析ツール
実施したエンゲージメントサーベイの結果データをソースとして登録することで、結果分析ツールとして活用できます。
[利用方法例]
「◯◯部署で今回特に下がった項目を挙げて?」「20代社員が特に課題と感じている項目は何?」「全体で特に改善に注力した方がよい領域は?」等と入力すれば回答を返してくれます。
また、この1年間で各部署が実施した改善アクションも登録すれば、各アクションの効果検証(=該当するサーベイ項目のスコアが上がっているか否か)もできます。
[利用場面例]
・特定の条件(全社共通でスコアが高い上位10項目など)で該当するサーベイ項目を抽出したい時
・全社または各部署・特定属性(女性/20代/管理職など)の課題を分析したい時
・その課題に対する改善アクションを検討したい時
・各部署の改善アクションの効果を分析したい時/効果のあった改善アクションを抽出しベストプラクティスとして共有したい時
[登録ソース例]
・エンゲージメントサーベイ結果データ
・FAQや社員向けガイド
・エンゲージメント向上の取り組み事例
(6)事業戦略に必要な人材の分析ツール
自社の経営計画や各事業部門の事業計画・戦略を登録すれば、その計画・戦略の実行に必要な人材や組織カルチャーを分析・深掘りするためのツールとなります。
[利用方法例]
「うちの中期経営計画の実行に当たって特に重要な人材要件(スキル・経験・資格・行動タイプ)は?」や「来年度の経営計画実行のために望ましい組織カルチャーは?」「◯◯部門の事業戦略の成功のためにHRBPとして必要な人事施策は?」等と入力すれば回答を返してくれます。
[利用場面例]
・経営計画・事業計画と連動する人事戦略の策定時に、ターゲットとする人材領域候補や実行すべき人事アクション案を検討したい時
[登録ソース例]
・中期経営計画
・各事業部門の事業計画・戦略
・個別ビジネスやサービスの展開計画
【活用アイデア3】 「提案」ツールとして
(7)キャリアパスや受講研修の提案ツール
社内のキャリア情報や研修情報等をソースとして登録することで、社員からのキャリア相談の対応時に、その社員に適したキャリアプランや研修等をGemini Notebookに提案させることができます。
[利用方法例]
キャリアについて相談をしてきた社員のキャリア希望や経歴・保有スキル等を入力し、その社員に合ったキャリアパスや研修、社内公募ポジション等をGemini Notebookに提案させることができます。
[利用場面例]
・社員やその上司からのキャリア相談対応の参考情報として、その社員に合ったキャリアパスや研修等を確認しておきたい時
・最適な人材配置のために、社員に合致した異動先ポジションを探索したい時
[登録ソース例]
・社内のキャリアマップやキャリアパスモデル
・スキルマップ
・JD(ジョブディスクリプション)
・研修一覧
・募集中(予定)の社内公募ポジション
・その他、社内副業などの育成プログラム情報
(8)福利厚生プログラムの提案ツール
就業規則や、福利厚生に関する規程類・ガイド類をソースとして登録しておくと、相談をしてきた社員に適した福利厚生プログラムを提案するツールとして活用できます。
これは「(1)自社の就業規則・規程類専用の検索ツール」をそのまま活用できます。
[利用方法例]
育児・介護・看護や傷病治療など仕事との両立について相談をしてきた社員の状況を入力し、その社員に合った制度やプログラムをGemini Notebookに提案させることができます。
[利用場面例]
・社員やその上司からの両立に関する相談対応の参考情報として、その社員に合った制度・プログラムを確認しておきたい時
[登録ソース例] 「(1)自社の就業規則・規程類専用の検索ツール」と同じ
・就業規則・各種の人事関連規程・内規類
・人事制度・就業条件等に関するガイド
・その他、人事制度や就業規則・就業条件等に関する資料
(9)研修プログラムの提案ツール
自社の経営計画や社員の育成課題に関する各種情報を登録しておけば、必要な研修プログラムの企画や構成案の提案ツールとして活用できます。
[利用方法例]
自社で実施すべき研修のテーマ案やその構成案を提案させることができます。さらに、日々、世の中の研修トレンドや参考となる事例を収集・登録しておけば、それらを取り入れた研修案を提案させることもできます。
[利用場面例]
・全社または各事業部門向けの研修プログラムを新規に企画する時、または既存研修を改定する時
[登録ソース例]
・中期経営計画
・各事業部門の事業計画・戦略
・個別ビジネスやサービスの展開計画
・スキルマップ
・JD(ジョブディスクリプション)
・研修一覧
・エンゲージメントサーベイ結果
・研修アンケート結果
【活用アイデア4】 「ファシリテーションの補助」ツールとして
(10)コミュニティやグループワークの検討ツール
最後は、人事業務内ではなく 社員を対象としたワークショップやラーニングコミュニティで人事スタッフがファシリテーションを行う場合の補助ツールを紹介します。
[利用方法例]
ワークショップやコミュニティの参加予定社員から事前に課題や相談事項を提出してもらいGemini Notebookに登録しておけば、当日に「皆が抱えている課題を元に共通テーマを設定して」「そのテーマについて議論すべき論点を3つ挙げて」等と指示することで、ファシリテーションの補助ツールとなります。
また、過去の回の議事録も登録しておけば、前回の論点や議論内容も議論の参考として提示してくれます。毎回、終わるたびに議事録を追加していけば回を重ねるごとにノート自体が成長していきます。
[利用場面例]
・人事スタッフがファシリテーターとなるワークショップやコミュニティ、研修内グループワーク等でファシリテーションの補助が必要な時
[登録ソース例]
・ワークショップやコミュニテイの目的・進め方が記載された資料
・参加予定者の事前課題(相談事項・課題・当日のテーマ希望など)
・過去・前回の同様のワークショップやコミュニテイの議事録
この使い方の応用として、人事マネジャーが部下と1on1を行う際に、部下のキャリアプランや前回までの1on1記録を登録しておけば、1on1の時の上司の補助ツールとすることもできそうです。
Studioの各機能も使ってみる
10個の活用例の中では触れませんでしたが、Gemini Notebook画面の右側にある Studio の各機能も便利です。
私個人としては特に次の3つを重用しています。但し、AIによる自動作成のため、必ずしも 欲しい内容になるとは限らない点には注意が必要です。
スライド資料:登録したソース情報を1冊にまとめて資料を作成してくれる。そのまま活用したり、自分で資料を作成する時にスライドを挿入できる。

(各社が公開している人的資本レポートをソースとして登録)

(各社が公開している人的資本レポートをソースとして登録)
インフォグラフィック:登録したソース情報をまとめて1枚のイラスト・図でメッセージを表現してくれる。エンゲージメントサーベイ結果など社員にフィードバックする時に1枚で伝えられる。

(2026年のHRトレンドに関する記事・YouTubeをソースとして登録)
マインドマップ:登録したソース情報を要素やポイントに分解しマインドマップ形式で表示してくれる。要素・ポイントを逃すことなく分析や検討を行える。

(各社が公開している人的資本レポートをソースとして登録)
その他、ソース情報のまとめを 動画やポッドキャスト(音声)にしてくれる機能もあります。ストーリーや話し声のなめらかさなど、その完成度の高さに驚きます。
動画やポッドキャストを社員にそのまま公開するには、ちょっと意図と違うメッセージがあったり、言葉選びが気になる(少し大袈裟だったり、たまに上から目線だったり)点があるのですが、個人で観るには十分な内容です。
