人事業務で使える Deep Research (Google) 〜人事トレンドを学びながら人事戦略を組み立てる〜
今回は 人事業務の中での Google の Deep Research の活用方法例をご紹介したいと思います。
前回、人事業務の中での NotebookLM の活用例を紹介しましたが、NotebookLMと同じくらい Deep Research も仕事をする上で手放せなくなっています。
はじめに: Deep Research (Google) とは?
Deep Researchは、「◯◯についてまとめて」と文章で指示するだけで、A4で5〜10枚程度の文章や表によるレポートを作成してくれるツールです。
作成されたレポートに対して、「◯◯の視点も追加して」「◯◯についてもっと詳しく書いて」等と追加指示をして、何度もレポートを修正・更新することができます。
Deep Researchの使い方
Gemini にアクセスする。
「ツール」から「Deep Research」を選ぶ【下図】。
入力欄に「◯◯についてまとめて」等とプロンプトを入力する。
「リサーチ計画」が表示されるので、内容がOKであれば「リサーチを開始」を選択する。リサーチ計画に追加や変更を加えたい場合は「◯◯からも情報を収集して」等と指示する。
リサーチが終わるとレポートが表示されるので、内容がよければ右上の「共有とエクスポート」から「Googleドキュメントにエクスポート」を選択してレポートを保存する。もしレポート内容に追加や変更の希望があれば、「◯◯についての項目も追加して」等と指示してレポートを再作成させる。

ここからは、Deep Reseach を使って、人事トレンド等を学びながら人事戦略を組み立てていく方法をご紹介します。
Deep Research (Google) を活用して、学びながら人事戦略を組み立てていく
最初に、ここでは人事戦略を組み立てていくステップを簡略化して次の4つとしておきます。
まずは自社の事業戦略の仮説を立てる
その事業戦略の実行に必要な人材(スキル等)を設定する
その必要な人材(スキル等)を獲得/強化する方法を設計する
その人材が持っているスキルを最大限発揮し挑戦/活躍できる組織環境を設計する
このあと、各ステップごとの Deep Research の活用方法を紹介していきます。
各ステップでレポートが完成する都度、保存することをお勧めします
一度完成したレポートに追加や修正を指示すると、元のレポート内容が要約されてしまうことがあります。少し面倒なのですが、レポートが完成する都度、右上の「共有とエクスポート」の「Googleドキュメントにエクスポート」で保存しておくことをお勧めします。
ステップ1: 事業戦略の仮説を立てる
Deep Researchに「◯◯(業界名や具体企業名)企業の◯◯(事業名や商品名)の事業戦略をまとめて」と指示します。
追加で、自社製品・サービスのSWOT分析をさせたり(例: 「◯◯(製品・サービス名)のSWOT分析も追加して」)、競合他社の事業戦略との比較も整理してもらう場合もあります(例: 「◯◯(競合他社名)の事業戦略との比較もまとめて」)。
【サンプル①: 事業戦略の仮説】
サンプルとして、富士通・NEC・日立・NTTデータ・三菱電機といったテック企業のフィジカルAIについての事業戦略について Deep Research にレポート作成を指示してみました。完成したレポートの大項目だけですが、下記の様な内容を作成してくれました。
<サンプル>
1.フィジカルAIの定義と産業界における地殻変動
2.フィジカルAIの市場トレンド:2026年の分水嶺
3.顧客ニーズと導入の背景:深刻化する「現場」の課題
4.各社の戦略(企業別のフィジカルAIに関する戦略)
ステップ2: 事業戦略に必要な人材を設定する
ステップ1で作成したレポートに、「その事業戦略の実行に、特に重要な人材要件(スキル・経験など)や人材タイプもまとめて」と指示して人材要件を追加します。
追加で、例えば「必要な人材の中で採用が難しい人材」を明記させることも可能です(例:「これらの必要な人材の中で、特に労働市場からの採用が難しい人材を教えて」)。
【サンプル②: 事業戦略に必要な人材の設定】
【サンプル①】の事業戦略レポートに追加して、各社の事業戦略の実行に必要な人材について、Deep Researchがまとめた人材タイプを下に書きました。
<サンプル>
フィジカルAI戦略を支える高度専門人材
1. ドメイン特化型AIエンジニア
2. ビジネスプロデューサー
3. エッジ・組み込みAIスペシャリスト
4. フォワード・デプロイド・エンジニア
実際のレポートでは、それぞれの人材タイプについて、必須スキルと必要経験も記載されています。
ステップ3: 必要人材(スキル等)の獲得・強化方法を設計する
ステップ2で更新されたレポートに、さらに「その人材やスキルの獲得や強化の効果的で具体的な方法も追加して」+「企業の具体的な取り組み事例も記載して」と追加で指示します。
【サンプル③: 必要な人材の獲得・強化方法】
【サンプル②】で設定された4つの高度専門人材について、Deep Researchがまとめた人材やスキルの獲得・強化方法は下記でした。
<サンプル>
人材・スキルの獲得および強化の具体的アプローチ
1. 企業内専門大学・アカデミーによる体系的育成
2. スキルマップと認定制度による能力の可視化
3. 現場課題解決型PBL (Project Based Learning)
4. 外部派遣・武者修行(スタートアップ・大学連携)
5. 戦略的M&A・共創による「知能」と「身体」の即時補完
実際のレポートでは、それぞれの獲得・強化方法について、具体的な実施方法の解説や、いくつかの企業の取り組み事例も記載されています。
ステップ4: 人材の活躍環境を設計する
最後のステップとして、ステップ3で更新されたレポートに対して、「獲得・強化した人材がスキルを最大限発揮して活躍できる組織環境づくりの方法も追加して」+「企業の具体的な取り組み事例も記載して」と指示します。
【サンプル④: 人材の活躍環境】
【サンプル②】で設定された4つの高度専門人材が活躍するための組織環境について、Deep Researchがまとめた項目は下記となります。
<サンプル>
AI人材が活躍できる「組織環境づくり」の方法
1. 物理的な「共創・実験空間」の提供
2. ITとOTを統合する「One Team」組織体制
3. 失敗を許容し挑戦を促す「心理的安全性の醸成」
4. 現場知を資産化する「データ・ナレッジの民主化」
5. 人間とAIの役割分担を定義する「AI共生型プロセス」
実際のレポートでは、それぞれの方法について、具体内容の解説や、いくつかの企業の取り組み事例も記載されています。
なお、人材が活躍するための組織環境づくりには幅広い要素があるため、特定の要素について追加したい時は「人材が活躍するための組織環境づくりについて、効果的な◯◯◯を追加して」等とプロンプトを追加します。
この「効果的な◯◯◯を追加して」の◯◯◯には、例えば下記の様な言葉が入ります。
人事評価制度
報酬体系
キャリア自律プログラム
人材の配置方法
DEI(ダイバーシティ)の取り組み
働き方のルール・制度
組織カルチャー
福利厚生プログラム
オフィスレイアウト
管理職によるチームづくり 等
これでDeep Researchによる人事戦略(案)の作成は終わりですが、さらに自社の事業計画や人事課題や検討中の戦略施策等の社内情報も反映させたい場合もあると思います。
ステップごとにレポートを作成せず、全ステップまとめて1回でDeep Researchに指示してレポート作成した方が効率的では?
と思われる方も多いと思います(実際、私も時間が無い時は1回でまとめて指示してレポート作成しています)。
ステップごとにレポートを作成・追加していくやり方のメリットとして
①全ステップ分をまとめて指示して作成されたレポートは内容がどうしても圧縮されてしまうので、段階的に指示した方がより詳しい内容になること(ただし、前述の通りステップごとにレポートを保存しておく必要あり)。
②(時間はかかっても)人間側が1ステップずつ頭を整理しながら進めていきたい時に適していること
を感じています。
補足: 社内情報を反映させたい場合
Deep Research がまとめた人事戦略(案)に、社内情報を追加してブラッシュアップさせたい場合は NotebookLMを活用しています。手順は次の通りとなります。
NotebookLMで「ノート」を新規作成する。
Deep ResearchのレポートをNotebookLMのソースとして登録する。
必要な社内情報(資料類)もソースとして登録する。
NotebookLM上で、レポート内でブラッシュアップしたい項目と、追加したい社内情報を指定して、更新案を作成させる (例: レポートの「AI人材が活躍できる「組織環境づくり」の方法」に、社内資料にある「2026年度 エンゲージメント向上アクション」も追加してまとめて」と指示する)
NotebookLM上では、Deep Researchが作成したレポートそのものは変更・更新されません。その代わり、変更・更新案の文章を出力してくれるので、保存したレポートファイルにコピーして追加修正しています。
さいごに:「Google検索(AIモード)」「Deep Research」「NotebookLM」の使い分け
Googleの 検索(AIモード)・Deep Research・NotebookLM は、どれも情報をまとめてくれる便利なツールですが、私の場合は次の様に使い分けています。
ここでは「今年 (2026年) の人事トレンドをまとめる」場面を例として、その使い分けをご紹介します。
① Google検索(AIモード)
「今年の人事トレンド」について、深くは学ばなくてよいので ポイントだけを素早く知りたい時に使っています。
また、いくつかの関連URLも表示してくれるので、必要があればそれらのサイトにアクセスして記事内容を確認しています。
例えば、資料の補足スライドとして「今年の人事トレンド」を1枚作っておきたい時、かつ参考URLも載せて起きたい時に便利です。
② Deep Research
「今年の人事トレンド」について、ポイントだけでなく、各ポイントの背景や文脈・補足情報も含めて学びたい時に使っています。
また、レポート最後に数十個の参照元URL一覧が付いているのが便利で、普通に検索して1つずつサイトを探す手間を省き、一度にまとめて参考となるURLを入手できます。
レポートの最初にポイントを箇条書きさせておくと便利
Deep Research は文章で書かれたレポートなので(目次も無いため)、そのままだとポイントは何かが掴みづらくもあります。
そこで、「最初にポイントを10個 箇条書きして」とプロンプトを追加しておくと、レポート冒頭でポイントを一覧にしてくれます。
また、レポート本文が 一覧化された各ポイントと対応して解説する構成となるようにレポートの構成を 10個のトレンドを1個ずつ解説する形にして」というプロンプトも追加しておきます。これは、レポートの中でポイントと本文の項目が対応しないケースがあるので、念の為の追加の指示となります。
<プロンプト例>
今年(2026年)の人事トレンドについてまとめて
最初にポイントを10個 箇条書きして
レポートの構成を 10個のトレンドを1個ずつ解説する形にして
③ NotebookLM
特定の情報源(ソース) についてまとめたい時には NotebookLMを使っています。この1月-2月は空き時間に「2026年の人事トレンド」のWeb記事やYouTubeを片っぱしから読んで/見てきました。
その学習の記録として、読んだWeb記事や見たYouTubeのURLをその都度 NotebookLM に登録し、ひと段落したら「2026年の人事トレンドをまとめて」とまとめています。
また、Deep Reserchで作成した「2026年の人事トレンド」レポートもNotebookLMのソースの1つとして登録しています。
個人だけでなくチームで1つのNotebookLMのノートを共有し、メンバーそれぞれが読んだ記事/見たYouTube動画を登録し、チームミーティングや勉強会・コミュニティの時に NotebookLM でまとめるといった使い方も便利です。
最後までお読み頂き、どうもありがとうございました。
