生成AIを使って キャリア自律時代に必要な企業内「キャリアマップ」を作る
今回は、社員のキャリア自律支援のために会社が用意する「キャリアマップ」の作成に生成AIを活用する方法を記しました。
1. 「キャリアマップ」とは?
会社が作成する「キャリアマップ」の概要は下記になります。
社内のキャリアパスや成長ステップのモデルケースやフレームワークが示されている(可視化しやすい外的キャリアが中心)
キャリアパスは職種・部署の異動パスで示され、成長ステップは担当業務・能力の向上や拡大のステップで示されることが多い
また、社員を始めとしたキャリアマップユーザーの主な利用目的は下記になります。
<社員>が自律的に自身のキャリアを考える時(=将来目指す職種・部署や今後習得を目指すスキル等を考える時)に参考とする
<上司>が部下のキャリア開発を支援する(=部下とキャリア1on1を行う)時に参考とする
<人材開発部門>が体系的な人材開発プログラム(研修他)を考える際のベースとする
<人事部門>はキャリア自律促進の制度・プログラム体系の主要ツールとして位置付ける
<外部>の人材が入社後のキャリア開発や成長イメージを持つために参照する
2.「キャリアマップ」の4つのパターン
特に決まった形があるわけではないが一般には下記の形あります。
それぞれはっきりとした一長一短があるため、それぞれに適した使用目的に合わせ、かつ複数のマップを組み合わせることが現実的と言えます。
① キャリアラダー型マップ
② キャリアパス型マップ
③ キャリアシフト型マップ
④ キャリアフォーカス型マップ
4つの型それぞれの内容や利用方法・作成における生成AIの活用方法については、次の 3.で紹介していきます。
3.「キャリアマップ」の作成方法 (生成AIも活用)
① キャリアラダー型マップ

【内容】
1つのキャリアコース (例: 職種区分 / 管理職・スペシャリスト区分 等) 内のステップアップ基準を定義します。
例えば、等級・職位等のレベルが上がるに連れて、
・担当業務の難易度が上がる / 担当範囲が広がる
・スキルの専門性が上がる / スキルの種類が増える 状況を設定します。
【社員による利用方法】
自身の成長目標を設定するために、自身の職種等のキャリアコースの中で、今後どのように成長し ていけばよいか/次のレベルに向けて何のスキル強化・獲得が必要かを確認します。
【この型が適している状況】
「キャリアラダー型」は、社員に 現在 属しているキャリアコース(職種等)内での成長を十分に意識して欲しい場合に適しています。専門性を追求して欲しい場合や、職種を跨いだ異動を前提としていない場合等です。
【作成時の生成AI活用例 (プロンプト例) 】
1つの職種の成長ステップのサンプルを書いてもらいます。
例「 XX職の成長ステップを (スキル or 担当業務) を中心として5段階*で書いて」
* 社内基準も併せてプロンプトに記載すれば、その基準に合わせた成長ステップをアウトプットしてくれます。
② キャリアパス型マップ

【内容】
キャリアゴール (職種別の最上位管理職 等) に向けたキャリアパスのモデルケースやサンプルを示します。
例えば、ある職種の上位管理職になるために経験しておいた方がよい職種・部署や、実績が多いキャリアパスを描写します。
【社員による利用方法】
自身の中長期的なキャリアプランや成長目標を設定するために、どこを目指し、そのために何の職種・部署を今後経験する可能性があるのかをイメージします。
【この形が適している状況】
「キャリアパス型」は、キャリア開発においては複数の職種・部署等の経験が通常となっている組織に適しています。社員も他の職種・部署にも関心を持ってもらいたい場合です。例えば、新卒入社で大部分が営業職に配属され、営業部門が人材輩出先となって営業以外の職種・部署に配置される場合等です。
【作成時の生成AI活用例 (プロンプト例) 】
1つの職種を起点としたキャリアパスのサンプルを書いてもらいます。
例「 XX業界において、最終的にYY職のトップを目指すためには、一般的にはどのような職種・部署の経験を積んでおいた方がよい?」
「 XX業界において、新入社員でZZ職に配属になった場合、一般的には次にはどの職種や部署に異動する?」
「キャリアパス型」キャリアマップの注意点:
社員に対してキャリアパスを強調しすぎると、提示されたキャリアパス通りに進んでいない社員が、「自分は会社が定めたキャリアパスから外れてしまった」と将来を不安に思ってしまうことがあります。
また、変化が大きい事業環境下では、会社としても中長期的なキャリアパスを見通しにくく、過去のキャリアパスが今後も適しているとは必ずしも言えません。
その様な環境下では、人事担当者は、 適した1本のキャリアパスを見出すことよりも、広く多様なキャリアの可能性を開拓し示していく方に注力することが求められますが、キャリアパス型マップ作成ではキャリアパスに捉われてしまう恐れもあります。
③ キャリアシフト型マップ

【内容】
1つの職種・部署等のスキルや経験が活かせる他職種・部署等をモデルケースとして示します。あわせて、どのようなスキル・経験が活かせる可能性があるのか、そして新たに獲得できるスキルや経験は何なのかも示します。
【社員による利用方法】
自身のキャリアプランや成長目標を設定するために、今の職種・部署等でのスキル・経験を今後どこで活かせる可能性があるのかを確認します。
【この型が適している状況】
「キャリアシフト型」は、「キャリアパス型」の様な中長期のパスや「キャリアラダー型」の様な中長期な成長ステップが見通せない事業環境下にある場合、社員に対するキャリアの広がりや多様な可能性を提示するのに適しています。組織としても「スキルベース組織 (Skills-Based Organization)」の様に、その職種の未経験者でも適したスキルを持った社員を配置したい場合に適しています。
【作成時の生成AI活用例 (プロンプト例) 】
スキル・経験が活かしやすい職種の組み合わせを書いてもらいます。
例「 XX業界において、YY職にいる社員が、そのYY職のスキル・経験を活かせる他の職種には何がある?また、その場合にどのようなスキル・経験が活かせるかも書いて」
「 XX業界において、YY職にいる社員が、次にZZ職に移りたい場合、YY職のどのようなスキル・経験を活かせる?」
【参考】「スキルベース組織」とは? はこちら(note)
④ キャリアフォーカス型マップ

【内容】
今後のビジネス展開のために必要で、かつ社内で不足している職種・スキルを提示します。社員に対して社内価値の高いスキルを示すことで、自律的にスキルの強化(アップスキリング)・獲得(リスキリング)を促します。
【社員による利用方法】
短・中期的な成長目標を設定するために、今後 何のスキルを獲得するとキャリアの可能性が広がるか/自身の価値を高められるかをイメージします。
【適している状況】
「キャリアフォーカス型」は、例えば事業環境や事業構造の大きな/急激な変化により新たなスキルが必要となり、かつ外部からの人材獲得が難しいため、社員によるスキル強化・獲得を期待する場合に適しています。
【作成時の生成AI活用例 (プロンプト例) 】
一般的に市場価値が高い職種・スキルを、参考として書いてもらいます。
例「 XX業界において、今後YY領域のビジネスを強化する場合、どのようなスキルや職種を持った人材が必要となる?」または「〜どのようなスキル・職種の価値が高まる?」
4. 内的キャリアについての理解促進も同時に
以上のキャリアマップはいずれも、その可視化のしやすさや分かりやすさのために、スキル獲得や異動等の外的キャリアがベースとなっています。
自律的なキャリア開発促進の取り組みの中では、やりがいや価値観の変化等の内的キャリアについての理解を促進していくことも併せて重要となります。
