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『日本茶のすべてがわかる本』読み合わせノート 第5章 お茶ができるまで

日本茶検定の公式テキスト『改訂版 日本茶のすべてがわかる本』(農山漁村文化協会)を、お茶好きの二人がゆるく読み合わせるシリーズ。第5章「お茶ができるまで」。手揉みの工程、殺青方法の種類、生葉のタイムリミットなどを勉強していきます。

なみ: しずくくん、今回は第5章「お茶ができるまで」だよ! 摘み取った生葉がどうやってお茶になるのか、いよいよ製茶の世界に入っていくね。

しずく: 手揉みの工程から機械製造、仕上げ、さらには抹茶・釜炒り茶・紅茶・後発酵茶まで、ものすごく盛りだくさんな章だったね。

なみ: さっそくいってみよう!


📚 今回読む本

『改訂版 日本茶のすべてがわかる本 ── 日本茶検定公式テキスト』

▼ 全10章構成


1. 手揉みのお茶、5時間超えの職人技

焙炉(ホイロ)は「手揉を行うための台。内部に炭かガスで火をおこし、助炭を熱する」道具で、助炭(じょたん)は「木製の枠に丈夫な和紙を張ったもので、焙炉の上に載せ、その上で葉を揉みながら乾燥する」道具です。

なみ: 手揉みの話、知らない用語がたくさん出てきたよね。「蒸熱(じょうねつ)」は蒸気で酵素を止めること、「ホイロ」は台全体のことで、上に載せる和紙の部分は「助炭」っていう別の名前がついてるんだね。

しずく: ホイロって全体のことだと思ってたけど、下の火を起こす部分がホイロで、上の和紙の部分が助炭なんだよね。もう少し分解すると、それぞれに名前がついてたんだなって。

なみ: 工程も結構多かったよね。葉振り20〜30分、回転揉み40〜50分、揉み切り60分、転繰揉み30分、こくり90分……。全部合わせたらどれくらいかかるんだろう?

しずく: 書いてある時間だけで5時間ぐらいにはなるよ。しかも玉解きとか工程の間に時間を置くこともあるだろうし、実際には5時間半から7時間ぐらいかかるんじゃないかな。前に手揉み体験をさせてもらったけど、ダマになった部分を丁寧にほぐす玉解きだけでもかなり大変だった。

なみ: 葉振りの段階で重量が3割ほど減るまで繰り返して、最終的には水分5%まで乾かすんだもんね。生葉から、ここまで持っていくのは、相当な根気がいるよね。


2. 殺青って何? ── お茶の酸化を止める加熱処理いろいろ

蒸し製は「蒸気を使うことによって短時間で均一に殺青することができ、緑茶の新鮮な香りを残しつつ、鮮やかな緑色の緑茶に仕上がります。日本の緑茶のほとんどが蒸し製です」。釜炒り製は「鉄製の釜で生葉を炒って殺青する」方法で、「蒸し」にはない「釜香(かまか)」といわれる独特の香りがあるのが特徴です。

なみ: 殺青の方法って蒸すだけじゃなくて、炒る・焼く・煮るもあるんだね。「焼き茶」って飲んだことある?

しずく: ないなあ。畑で摘んだ葉をあぶってそのまま火にかける...みたいなイメージかな。相当ワイルドだよね。

なみ: 釜炒りについても書かれていたね。釜香って独特の匂いだよね。匂いを嗅ぐと「これかな」ってわかるんだけど、どういう成分でなんで出るのかはまだよくわからないんだよね。

しずく: 美作番茶も書いてあったよ。岡山県のお茶で、「煮る」ことで殺青してるんだよ。

なみ: 美作番茶は「煮る」ことで殺青しているんだね。それは珍しいね。


3. 生葉は生きている! 摘んでからのタイムリミット

生葉は呼吸によって熱を発生します。生葉を積み上げておくと、12時間後には中心部が10 ~ 15℃上昇するという報告があります。温度が10℃上がると呼吸量は2倍になり、生葉の酸化も早くなります。

生葉は摘み採った日のうちに加工することが理想です。生葉の温度を下げ、湿度を高く保って保管しても、せいぜい20時間程度が限界です。

なみ: 積み上げておくだけで12時間後には10〜15度も温度が上がるって、生葉って本当に生きてるんだね。

しずく: だから冷やすことが大事なんだよ。温度が上がると呼吸量が倍になって酸化が加速するから、摘んだらすぐ工場に持っていくのが基本。傷をつけないこと、熱を下げること、湿度を高く保つこと、保管時間を短くすること──この4つがポイントだね。

なみ: 保管は20時間が限界って書いてあったけど、実際のところ夜中の3時まで工場を稼働させてるっていう話を聞いたことあるよね。

しずく: 工場はその日のうちに全部処理しないと終われないんだよ。一番茶の繁忙期は本当に大変な時期だよね。


4. 機械vs手揉み ── 消えた「玉解き」工程の謎

揉捻(じゅうねん)は「熱を加えずに揉む工程です。葉より乾きにくい茎の水分を揉み出し、茶葉全体の水分を均一にします」。

なみ: 機械の煎茶製造って、手揉みと工程の数が違うんだよね?

しずく: 機械で煎茶を作る工程は、粗揉・揉捻・中揉・精揉・乾燥の5つで、手揉みにある「玉解き」がないんだよ。機械化するのが難しかったからやらないのか、必要ないのか、どっちなんだろう。

なみ: お茶屋さんで「玉があるのはよくない」っていう話を聞いたことあるけど、団子みたいにダマになったやつは弾かれるのかな?

しずく: 面白いことに気づいたんだけど、中揉の説明に「塊をほぐしながら」って書いてあるんだよ。つまり中揉の工程の中に玉解きの役割が含まれてるんじゃないかな。

なみ: あっ、なるほど! 手揉みでは独立した工程だったものが、機械では中揉に統合されてるってことか。

しずく: それと揉捻がすごく重要な工程で、ここだけ熱を加えないんだよ。粗揉で水分を飛ばした後に、熱なしで揉むことで茎の水分を揉み出して全体を均一にする。やりたいことが工程ごとに全然違うっていうのがわかって面白かったよね。


5. 精揉があるかないかでお茶の形が変わる!

精揉(せいじゅう)は「針状に形を整えながら乾かす工程です。熱を加えた『だく』と呼ばれる洗濯板のような凹凸のある円弧状の板の上に葉をのせ、振り子のように動く揉圧盤で葉を挟み、徐々に力を加えながら乾かします。煎茶らしく葉が細くよれて針状になります」。

なみ: 精揉って、煎茶のあの針みたいな形を作る工程なんだよね。洗濯板みたいな凸凹の上で振り子のように挟んで伸ばすって、実際に見たことあるけどかなり長い機械だった。

しずく: 釜炒り茶にはこの精揉がないんだよ。中揉から乾燥で終わるから、針状にならずにグリッとした勾玉みたいな形になる。蒸し製玉緑茶も同じで、精揉がない代わりに仕上げ乾燥で終わる。

なみ: なんで精揉機を使わずにあえて丸くしてるんだろう?

しずく: 「あえて」じゃなくて、逆で、精揉の工程を取り入れた地域は針状のお茶になって、取り入れなかった地域では丸い形が残ったんだよ。

なみ: 精揉を取り入れたかどうかで形の違いが今も残ってるってことなんだ。面白いね。


6. 生葉100kgからお茶はたった20kg? ── 製茶歩留まりの話

摘採した生葉の水分は80%くらいで、……生葉100kgから荒茶を製造すると、水分が80%くらいなので20kgの荒茶ができあがります。

荒茶の重量を生葉の重量で割ったものを「製茶歩留まり」と呼びますが、一番茶では20%くらいですが、秋冬番茶では26%くらいになります。

なみ: 100kgの生葉から荒茶が20kgしかできないって、めっちゃ少なくなるんだね。

しずく: 生葉の水分が80%だから、乾かすとそうなるんだよ。しかも一番茶は歩留まり20%で、秋冬番茶は26%。一番茶の方が水分量が多いってことだね。

なみ: 遅い時期になるほど水分が少なくなるの?

しずく: 葉が固くなって繊維質が増えるからね。パキッとした感じの葉になる。逆に一番茶はみずみずしいから、乾かした時に減りが大きいんだよ。

なみ: 仕上げ工程の話で面白かったのが、荒茶には粉とか茎とか色々混ざってて、その粉茶の扱いの話。本には載ってないんだけど前に読んだ記事で、粉引きといって茶の粉の部分を値引きする商習慣があるっていうことが書かれていたんだよね。

しずく: この商習慣には異議を唱える人が多かったみたいで、2021年に粉引きは廃止されたらしいんだ。荒茶の状態で取引される以上、粉をどう扱うかって農家さんと仕入れ側で折り合いが難しいよね。


7. 抹茶は唯一「揉まない」お茶

碾茶は……製造工程に揉む工程が一切ないことが特徴です。微粉末にしにくい茎などを取り除きやすくするため、葉を揉まずに乾燥させます。

蒸機に投入する直前に篩にかけた後、蒸気で約20秒間蒸します。蒸す時間を短くすることで、緑色が冴えて「覆い香」が引き立ちます。

なみ: 抹茶の原料になる碾茶って、揉み工程が一切ないんだよね。唯一揉まないお茶。

しずく: 揉まない理由がちゃんとあって、粉末にした時に碾きにくい茎とか葉脈を取り除きやすくするために、揉まずにそのまま乾燥させるんだよ。揉んだら、茎と葉の分離がしにくくなるんだよね。

なみ: 蒸し時間も20秒って短いよね。煎茶は種類によって違うけど、もっと長く蒸すから。短く蒸すことで緑色が冴えて覆い香が引き立つんだって。

しずく: 蒸した後に茶葉を舞い上げて冷ます「散茶」っていう冷却工程があって、天井の高い装置の中で急速に冷却される。碾茶炉で乾燥した後は、茎と葉で水分量が大きく違うから別々に乾燥させるんだよ。

なみ: 一緒に乾かすと片方がパリパリになっちゃうんだね。最後は石臼で碾くんだけど、一つの石臼で1時間で40〜50gしか碾けないんだね。少量ずつしかできないんだね。

しずく: 速く回すと摩擦熱で色や香りが変わっちゃうから、ゆっくり碾くしかないんだ。でもその適度な摩擦熱が抹茶らしい風味を引き立てるって書いてあるように、ちょうどいい加減が大切なんだろうね。


8. 発酵茶の世界 ── 紅茶・烏龍茶・後発酵茶

萎凋は「生葉を風通しの良い場所に広げて萎れさせ……一晩以上時間をかけて萎凋させ、生葉の水分を少なくします」。揉捻後は「約25℃で高湿度を保ったまま30分 ~ 2時間ほど発酵(酸化)させます」。

碁石茶は、枝ごと蒸した後に枝を外してカビ付け室に積み上げ、7 ~ 10日間カビ付けをします。カビが葉一面に生えるので、それを大樽に詰め、茶の蒸し汁を振りかけて蓋をし、重石を載せます。約2週間後、塊になっているものを取り出し、3 ~ 4cm角に切って天日乾燥します。

なみ: 紅茶は微生物じゃなくて酸化酵素で発酵させるんだよね。萎凋で一晩かけて萎れさせて、揉んで、さらにそこから発酵させて──酵素を止めるのは最後の乾燥の時なんだ。

しずく: 萎凋だけで発酵が終わると思ってたけど、揉んだ後もまだ熱を加えてないから酸化は進むんだよね。CTC製法っていうティーバッグ向きの製法もあって、Crush(押しつぶす)・Tear(引き裂く)・Curl(巻き丸める)の略なんだ。

なみ: 台湾の凍頂烏龍茶も面白かったよね。日光萎凋してから傷をつけて発酵を進めて、殺青した後に「包揉(ほうじゅう)」って工程があるんだよね?

しずく: そう! 揉捻した茶葉を大きな布で包んできつく縛って、圧力をかけながら半球状に整形するんだよ。15kgもの茶葉を一度に扱うからかなりの力仕事なんだって。台湾茶のあのくるっと丸い形はここで作られるんだ。後発酵茶もすごくて、好気性カビ付け発酵茶にはプーアル茶や富山の黒茶、嫌気性バクテリア発酵茶には徳島の阿波番茶がある。

なみ: 碁石茶の2段階発酵が特に面白かったよね。最初にカビ付けして、その後大樽に詰めて蒸し汁をかけて蓋をして重石を載せる。カビ付けが1段目で、漬け込みの嫌気性発酵が2段目。

しずく: カビ付けのお茶は独特の匂いがあるよね。飲んだことないけどどこか懐かしいような、ちょっと埃っぽさを感じるような味と匂いだね。でも飲み慣れたらおいしいんだと思う。漬物感があって、漬物のシステムと同じで、蓋と重しで空気を遮断して嫌気性の環境を作るんだよね。

なみ: 2段階発酵茶って、他ではあまり聞かないよね。日本のお茶の多様性ってすごいなあ。


次回は第6章「お茶の審査」。お茶の品質をどう評価するのか、審査の世界に踏み込んでいくよ!



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