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「スタジアムは最高、交通だけ惜しい」①―サッカー観戦の渋滞・混雑問題を交通経済学で考える

はじめに

砂森和也(すなもり かずや)です。昨年、AC長野パルセイロで現役を引退した元サッカー選手で、現在はクラブの外側から、クラブの成長に貢献できることを探りながら活動しています。

その活動のひとつとして、今シーズンのホーム戦でサポーターの皆さんにアンケートをお願いしてきました。開幕戦(vs コンサドーレ)、大宮戦、ダービー、磐田戦。4試合で合計1,005件もの声をいただきました。

回答してくださった皆さん、本当にありがとうございます。

アンケートの中で、毎回高い評価をいただくのがスタジアムの雰囲気や試合そのものです。「スタジアムの一体感が最高」「また来たい」という言葉は、何よりうれしい声です。

ゴール裏からピッチ全景、山と青空

ただ、それと同じくらい毎回必ず届く声があります。

交通アクセスの問題です。

スタジアムが最高だと言ってもらえるからこそ、もっと多くの人に気持ちよく足を運んでもらえる環境を作りたい。そのためには、この構造的な問題に正面から向き合う必要があると考え、今回の記事を書くことにしました。


1,005件のアンケートから聞こえてくる声

まず、実際に届いた声をそのまま紹介します。

シャトルバス乗り場の行列

「試合後のシャトルバスが全然シャトルじゃなくて、いつ来るのかわからず1時間は待った」 

開幕戦・アウェイサポーターの方

「駐車場が無いのは死活問題。また次観にいこうと思っても駐車場無いだけで、考えてしまいます」 

ダービー・パルセイロサポーターの方

「子連れには地獄でした」 

ダービー・パルセイロサポーターの方

「5000人入って2台のバスでピストン輸送は、新規客がいたら二度と来てくれないレベル」 

開幕戦・アウェイサポーターの方

「有料で構わないので長野駅直行のバスをチャーターできないものか。往復2〜3,000円でしたら皆出すと思います」 

開幕戦・アウェイサポーターの方

「帰りのバスの列を見て、篠ノ井駅まで徒歩30分頑張りました」 

開幕戦・アウェイサポーターの方

「長野は車社会。駐車場の心配がなければ、もっと観戦者数は増えると思います」 

開幕戦・パルセイロサポーターの方

どれも切実な声です。

これらの声を整理すると、サポーターが求めていることはこうなります。

  • シャトルバスの増便がほしい(特に帰り)

  • 長野駅からの直行バスがほしい(篠ノ井での乗り換えが面倒)

  • 駐車場を増やしてほしい

  • 有料でもいいから、確実に乗れる交通手段がほしい

どれも「そりゃそうだ」と感じる内容です。

でも、「バスを出せば解決するのか?」

ここから先は、少し立ち止まって考えてみたいと思います。


「バスを出せ」の先にあるもの

サポーターの声は切実で、現場を知っているからこそのリアルな指摘です。

ただ、要望をそのまま施策にすることが、本当に最善なのか

たとえば「長野駅から直行バスを出してほしい」という声。これを実現しようとすると、すぐにこんな課題にぶつかります。

  • 誰が運行するのか? クラブが自前で手配するのか、バス会社に委託するのか

  • 費用はどうするのか? 赤字になった場合、誰が補填するのか

  • 雨の日はどうするのか? 天候や対戦カードで需要は大きく変動する。バスの台数をどう決めるのか

  • 事故が起きたら? 運行にまつわる責任を、クラブが負いきれるのか

駐車場の増設にしても、土地の確保、整備費用、試合日以外の活用、近隣住民への影響など、簡単ではない条件が絡み合います。

ここで大切なのは、要望の「裏」にある本当の目的に立ち返ることです。

「バスを増やしてほしい」の裏にあるのは、「快適にスタジアムへ行って、快適に帰りたい」ということ。

バスはその手段のひとつであって、目的そのものではありません。

そして、この問題に関わっている人は、サポーターだけではありません。

  • サポーター: 現場を知る当事者。声は出せるが、運行の責任は取れない

  • クラブ運営: 実行主体になりうるが、人材・費用・リスクの壁がある

  • 行政: インフラ整備や交通規制の権限を持つが、動くには根拠となるデータが必要

  • 地域住民: 試合日の渋滞や騒音など、影響を受ける側にいる

  • 交通事業者(バス・タクシー会社): ノウハウと車両を持っているが、採算が合わなければ動けない

  • スポンサー: 費用を出せる立場だが、見返り(露出・集客効果)が必要

それぞれに「できること」と「できないこと」がある。 誰か一人の責任でも、誰か一人が解決できる問題でもない。

現状を正直に言えば、みんな帰れてはいます。ただし、快適ではない。

そして、もうひとつ見逃せない視点があります。

この問題のせいで、スタジアムに来ることを諦めている人がいるかもしれないということ。

「駐車場が心配だから行かない」「帰りが大変そうだから次は遠慮する」そういう声が、アンケートにも実際にありました。

今ある問題を解決しながら、観客が増えた将来にも耐えられる仕組みを作る。 目の前の対症療法だけでなく、構造的に問題を解決できる仕組みづくりが必要です。


長野Uスタジアムの交通、何がどうキツいのか

ここからは、データを使って現状を整理していきます。

スタジアム周辺の近景空撮/田畑と住宅地に囲まれた立地がわかる。

まず、空撮画像を見てください。

スタジアムの周りは田畑と住宅地です。大きな幹線道路は限られ、スタジアムに直接アクセスできるルートが少ないことが一目でわかります。

長野観光バスが並ぶ駐車場の俯瞰。郊外立地とバスの運行体制が一目でわかる。

長野Uスタジアムの基本データ

  • 収容人数: 15,491人

  • 所在地: 長野市篠ノ井東福寺(長野市南部、南長野運動公園内)

  • 最寄り駅: JR/しなの鉄道 篠ノ井駅(スタジアムから約3km、徒歩約30〜40分)

  • 駐車場: 南長野運動公園 常設約800台

  • 現行シャトルバス: 篠ノ井駅西口 → スタジアム(無料、約10分)

  • 電車: 長野駅 → 篠ノ井駅 210円、約10〜15分

長野市全体の広域空撮、長野駅〜スタジアムの距離感と河川の位置がわかる。黄色は主要道路。

広域で見ると、長野駅からスタジアムまでの距離感がよくわかります。そして、犀川と千曲川に挟まれた地形のため、橋の数が限られ、渋滞が特定のポイントに集中しやすい構造になっています。

ダービー戦。来場者9,792人の松本山雅サポーターの群衆。

構造的なボトルネック

  • 篠ノ井駅まで約3km: 歩くと30〜40分。気軽に歩ける距離ではない

  • 篠ノ井駅の電車本数: 多いとは言えず、1本逃すと次まで待つことになる

  • 河川に囲まれた地形: 橋が限られ、渋滞が集中しやすい

  • 駐車場800台の限界: 来場者5,000人の60%が車で来場した場合、約1,200台分が必要。物理的に400台分が足りない

4試合分のアンケートで、交通に関する声は途切れたことがありません。

  • 開幕戦 vs コンサドーレ(317件):67件が交通に言及(21.1%)

  • 大宮戦(158件):29件が交通に言及(18.4%)

  • ダービー(415件):102件が駐車場に言及(24.6%)

  • 磐田戦(115件):約35件が交通に言及(約30%)

特にダービーでは、来場者9,792人に対して駐車場320台(一部閉鎖のため通常より少ない)。これは運営の努力で解決できる範囲を超えています。


交通経済学で「見えないコスト」を可視化する

ここで、少し視点を変えます。

交通経済学という学問を見つけました。人やモノの移動にかかるコストや仕組みを研究する分野です。

今回の問題を考える上で、とても参考になる考え方がありました。

「一般化費用」という考え方

交通経済学では、移動の「本当のコスト」を一般化費用(Generalized Cost)と呼びます。

一般化費用 = 金銭的な費用 + 時間の費用 + 不確実性のストレス

お金だけでなく、かかる時間、そして「うまくいくかわからない」という不安もコストとして計算する考え方です。

長野Uスタジアムへの交通手段を、この3つの軸で比べてみます。

🚗 車の場合

  • 金銭:ガソリン代 + 高速代(更埴IC利用の場合)

  • 時間:行きはスムーズだが、帰りの渋滞で+30〜60分

  • 不確実性:駐車場に入れるかわからない(最大のストレス要因)

🚃 電車+シャトルバスの場合

  • 金銭:電車代210円(長野駅〜篠ノ井)

  • 時間:電車15分 + 待ち時間 + シャトルバス10分 ≒ 計40〜50分

  • 不確実性:帰りのシャトルバスが混む、いつ乗れるかわからない

🚕 タクシーの場合

  • 金銭:いくらかかるか事前にわからない(これ自体がストレス)

  • 時間:比較的短い

  • 不確実性:そもそも捕まるのか? 試合後に呼べるのか?

ここで気づくことがあります。

問題の本質は「移動手段がない」ことではないということです。

車もある。電車もある。シャトルバスもある。でも、どの手段を選んでも「不確実性」が高い。

駐車場に入れるかわからない。バスにいつ乗れるかわからない。タクシーがいくらかかるかわからない。

この「わからない」が、サポーターのストレスの正体です。


この記事自体が、問題解決の一歩になれる

ここで注目したいのは、「不確実性」は情報が整理されるだけで大幅に下がるということです。

  • 各交通手段の所要時間と費用が事前にわかる

  • 帰りのシャトルバスの運行間隔がわかる

  • タクシーの大まかな料金がわかる

  • 駐車場の混雑傾向がわかる

こうした情報が整理されて手に届くだけで、「わからない」ストレスはかなり軽減されるはずです。

つまり、現状の情報を整理して届けること自体が、交通アクセス問題の解決に貢献する。 この記事をその一歩目にしたいと考えています。


「自前でバスを出す」か「民間に任せる」か

交通経済学では、交通サービスの提供方法を大きく2つに分けて考えます。

計画型: バスを自前で手配し、運行を管理する方式

  • メリット:確実性が高い、サービス品質をコントロールできる

  • デメリット:需要予測が難しい(天候・対戦カードで変動)、管理コストが大きい、リスクが集中する

市場型: 民間の交通事業者に任せ、選択肢を整える方式

  • メリット:管理不要、需要に応じて自動調整される

  • デメリット:サービス品質にばらつきがある、認知されないと使われない

結論から言うと、どちらか一方だけでは不十分です。

学術的にも、「最低限の保証(計画型)」と「市場の力(市場型)」を組み合わせるのが、こうした問題に対する最も効率的なアプローチとされています。


他のクラブはどうしてる?

長野Uスタジアムだけが交通問題を抱えているわけではありません。全国のスタジアムで、同じような課題に向き合っているクラブがあります。

いくつかの事例を調べてみました。

鹿島アントラーズ ー 郊外型スタジアムの先輩

鹿島のホームスタジアム(メルカリスタジアム)は、長野Uスタジアムと同じく郊外に立地するスタジアム。交通問題には長い歴史があります。

  • 東京駅からの直行バス: ホームゲーム開催日に予約制直行バスを運行。片道2,700円、約2時間。JRバス関東・関東鉄道・京成バスの3社共同運行(鹿島アントラーズ公式

  • 鹿島サッカースタジアム駅: 1994年から、試合開催日のみ営業する臨時駅を設置。スタジアムに隣接しており、鹿島臨海鉄道の列車が停車する(鹿島臨海鉄道公式

  • バスレーン社会実験: 2021年11月、スタジアム〜潮来IC間の国道にバス専用レーンを設置する社会実験を実施。通常15分の区間が試合時には最大120分になっていた渋滞を解消するための取り組み。国土交通省関東地方整備局が関与(国交省常陸河川国道事務所

官民連携で交通課題に多角的に取り組んでいる。 行政(国交省・自治体)を巻き込んだ社会実験は、長野でも参考になるアプローチです。


長崎スタジアムシティ ー 2024年開業の最新事例

2024年10月に開業した長崎スタジアムシティ(V・ファーレン長崎のホーム)は、交通施策をスタジアム設計の段階から組み込んだ最新の事例。

  • パークアンドライド: JR沿線の5駅に各70〜200台の駐車場を整備。1日300円、予約制。周辺駅に車を停めてJRでスタジアムへ(V・ファーレン長崎公式

  • 路面電車との連携: 長崎電気軌道とパートナーシップを締結。スタジアム最寄りの電停名を「スタジアムシティサウス」「スタジアムシティノース」に変更し、2電停間に渡り線を新設。混雑時の臨時便増発が可能に(PR TIMES

  • 無料シャトルバス: 長崎市が運営する、まちなか直行の無料シャトルバスを試合日に運行(長崎市公式

「車なしでも快適」という体験を設計しているのが印象的です。パークアンドライドで車を途中で降ろし、公共交通で快適にスタジアムへ向かう流れを作っている。


モンテディオ山形 ー 自治体連携のモデル

モンテディオ山形のNDソフトスタジアム山形も郊外に位置し、交通課題を抱えています。

  • シャトルバス: JR山形駅西口からスタジアムまで直行バスを運行。片道750円、山交バスが運行。リーグ戦全試合で実施(モンテディオ山形公式

  • 天童市との連携: 新スタジアム建設工事で駐車場が減少した際、天童市が臨時駐車場を開設し、スタジアムまで無料シャトルバスを運行天童市公式

  • 定額タクシー: JR山形駅からスタジアムまで、ホームゲーム限定の定額タクシーを運行(モンテディオ山形公式

自治体がクラブの交通課題に一緒に取り組んでいる点が注目です。長野市への働きかけのモデルになります。

これらの事例に共通しているのは、1つの施策だけで解決しようとしていないということです。

シャトルバス、パークアンドライド、定額タクシー、行政連携――複数の手段を組み合わせて、来場者が自分に合った方法を選べる状態を作っている。

この考え方は、長野Uスタジアムにも活かせるのでは?と思います。


じゃあ長野Uスタジアムで何ができるのか

他のクラブの事例も参考にしながら、長野Uスタジアムで実現できそうな改善策を3つのLayer(段階)で整理してみました。

Layer 1:情報整備(コストゼロ、今すぐできる)

まずは「わからない」をなくすこと

  • 全交通手段の時間・費用・不確実性を整理した「アクセスガイド」を作る

  • 各駅からの所要時間、タクシーの目安料金、駐車場の混雑傾向を一覧にする

  • サポーターのリアルな体験情報を集約する(「篠ノ井駅まで歩いたら40分だった」等)

  • アウェイサポーター向けの新幹線接続ガイドを整備する

情報を整理して届けるだけで、一般化費用の「不確実性」は大幅に下がります。 お金もかからず、今日からでも始められます。


Layer 2:市場メカニズムの活用(低コスト、短期で実行可能)

民間の力を借りて、選択肢を増やすこと。

  • 地元タクシー会社と提携して、スタジアムまでの定額料金を設定・公開する

  • 乗り合いタクシー(ジャンボタクシー)の情報を整備する

  • しなの鉄道の各駅からの定額タクシー情報を公開する

  • 試合日のチラシに交通事業者の広告枠を設ける

ポイントは、クラブが運行するのではなく、情報を整備して選択肢を「見える化」すること。管理責任を負わずに、サポーターの選択肢を広げる方法です。


Layer 3:計画型の基盤構築(要スポンサー、中期で実行)

確実に機能する基盤を、パートナーと連携して作ること。

  • 長野駅 → スタジアム直行バスの試験運行(まず1便から)

  • 事前予約制にすることで不確実性をゼロにする

  • パークアンドライドの検討(周辺の大型商業施設との連携)

  • 将来的にはしなの鉄道やJRとの増便交渉

すべてのLayerが揃うことで、構造的に問題を解決できる仕組みになります。

大切なのは、Layer 1から順番に積み上げていくこと。いきなりLayer 3だけを目指すと、コストもリスクも大きくなる。まずは情報整備からスタートし、できることを一つずつ重ねていくのが現実的な進め方です。


すでに始まっている「みんなで考える」動き

実はこの記事を書いている最中に、noteメンバーシップの中で交通アクセスについての議論が始まりました

「シャトルバス問題、皆のアイデアください!」と投げかけたところ、メンバーの皆さんから具体的な提案が次々と集まっています。

一部を紹介します。

  • 有料・予約制バスをまず1台から試す ー 往復料金込みの予約制にすれば「乗れるかわからない」がなくなる。3時間前・2時間前・1時間前の3便で、まず利用状況を把握する

  • アウェイサポーター優先のシャトルバス ー 土地勘のないアウェイの方こそアクセスの不安が大きい。ワンコイン程度の有料設定で試験導入し、専用リストバンドで帰りの案内までセットにする

  • しなの鉄道の複数駅を活用した分散輸送 ー 篠ノ井駅だけに集中させず、屋代・川中島・稲荷山なども活用。定額のジャンボタクシーを走らせれば、10人乗りで1人500円程度まで抑えられる

  • ナイトゲームの帰り時刻を明示する ー 「試合終了20分後に出発」と決まっているだけで、日帰りの方の安心感は大きく変わる

  • 試合日のチラシに交通事業者のPR広告を入れる ー タクシー会社や乗り合いバス事業者をリストアップして冊子にまとめ、選択肢を「見える化」する

  • 同じスタジアムの他イベントに学ぶ ー 同じ南長野運動公園で開催されるプロ野球の試合では、時間別・往復の予約制バスが導入されている。サッカー以外の運用も参考になる

読んでいて気づいた方もいるかもしれません。

これ、まさにこの記事で書いた「3つのLayer」が、メンバーの皆さんの中ですでに動き始めているんです。

情報を整理する(Layer 1)、民間の力を借りる(Layer 2)、計画的な基盤を作る(Layer 3)。メンバーの提案は、これらのレイヤーにきれいに当てはまっています。

「誰かが解決してくれるのを待つ」のではなく、「自分たちで考えて動く」。 その流れがもう生まれていること自体が、何よりも心強いです。


この記事を読んでくださった方へ

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

この交通アクセスの問題を、本当の意味で解決に近づけていくには、皆さんの力が不可欠です。

僕はクラブで働く正社員ではないし、行政の立場でもありません。あえて、個人という立場で動いています。

組織の中にいると、発信ひとつにも確認や調整が必要になる。でも個人だからこそ、こうやってスピード感を持って情報を整理して、記事にして届けることができる。今回のような分析記事を、思い立ってから形にするまでの動きの速さは、個人だからこそだと思っています。

もちろん、自分一人でできることには限りがあります。

アンケートに答えてくれるサポーターの皆さんがいなければ、データは集まらない。自由に活動させてもらいながら協力してくれるクラブ関係者がいなければ、スタジアムでアンケートを実施することもできない。この場を借りて、改めて感謝を伝えたいです。

その上で、僕が個人としてできること。それが、アンケートの継続です。

そもそも交通アクセスの問題は、一人で現地に行っても全体像を掴むことができないという構造的な特徴があります。

僕自身も試合日にスタジアムへ行く機会がありますが、駐車場の混み具合を確認しているときに、シャトルバスの行列がどれくらい進んでいるかは見られない。篠ノ井駅の電車を降りてバス停に向かっているときに、スタジアム周辺の渋滞がどうなっているかはわからない。同じ時間に起きている別の場所の問題を、一人で同時に拾うことはできない

実際にスタジアムに来た方に、こういったことを聞いていきたいと考えています。

  • どの交通手段で来場したか

  • 出発地から到着までの所要時間はどれくらいだったか

  • 金銭的な負担はどの程度だったか

  • 現地で感じた困りごと、工夫していること

この記事で書いた「一般化費用」の中で、一番厄介なのは「不確実性」でした。でも、こうしたリアルな体験データが集まれば、「篠ノ井駅からタクシーだと大体いくら」「帰りのバスは何分待ち」といった具体的な情報に変わっていく。不確実性を、データで潰していくことができます。

そしてもうひとつ。現状がデータとして可視化されること自体が、次の一歩に繋がると考えています。

「交通が不便だ」という声だけでは、クラブも行政もなかなか動きにくい。でも「来場者の60%が車で来ていて、うち30%が駐車場で30分以上探した」「帰りのバス待ちの平均が40分」といった具体的な数字があれば、関係者が問題を共有しやすくなるし、対策の優先順位も立てやすくなるかもしれない

今後もアンケートは実施していく予定です。ぜひ回答にご協力ください。

そして、この記事を周りの人に届けることも、問題解決への一歩です。

交通アクセスの問題は、サポーターだけの問題ではありません。地域住民、交通事業者、行政、スポンサー――関わるすべての人が現状を共有することが、解決のスタートラインです。


おわりに

この記事を読んで、長野Uスタジアムの交通アクセス問題を「知ってくれた」こと。まずはそれが、ありがたいです。

スタジアムの交通問題は、長野だけのものではありません。 全国のサッカースタジアムで、同じような課題と向き合っているクラブがあります。

この記事が、長野パルセイロのサポーターだけでなく、同じ課題を抱える他のクラブやスタジアム関係者にとっても、何かのヒントになればうれしいです。

もしよければ、この記事をSNSでシェアしたり、スタジアムに通う仲間に教えたりして、一緒に考える人を増やしてもらえませんか。

泥臭く、一歩ずつ。


あとがき

今回の記事では、交通経済学という学問のフレームワークを使って交通アクセス問題を分析しました。

ただ、正直に言っておくと、僕は交通経済学の専門家ではありません。たまたま交通問題を調べていた時に見つけました。

問題を整理して、構造的に考えるための道具として、この学問の力を借りました。そのため、学術的に不正確な点や、考慮が足りない部分があるかもしれません。

もし専門的な知見をお持ちの方がいらっしゃれば、ぜひご指摘やご意見をいただけるとありがたいです。

個人的に、こういうリアルなデータと学問のフレームワークを掛け合わせた分析は、地元の大学のゼミや研究室でやったらもっと面白いものになるんじゃないかと思っています。

1,005件のアンケートデータがあり、スタジアムという具体的なフィールドがある。交通経済学や都市計画を学んでいる学生にとっても、実践的な研究テーマになりうるんじゃないかなと。

この記事が、そういう動きのきっかけのひとつになったらうれしいです。

この記事が参考になった、面白いと感じていただけたら、ぜひ「スキ」を押してもらえるとうれしいです。


追記

この記事に対するコメントを元に、続きの記事を書きました↓


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