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Jayr Soteloインタビュー /// Vulfpeckに愛されたアニメーターが「Birds of a Feather」制作について語る

KINZTOのDr.ファンクシッテルーだ。今回は「どこよりも詳しいVulfpeckまとめ」マガジンの、75回目の連載となる。

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皆さんがVulfpeckのファンであるなら、一度は思ったことがあるかもしれない。

「Birds of a Feather」のMVって最高だな、と。

「Birds of a Feather, We Rock Together」

それはなぜだろう? Joeのベースライン、Antwaunの歌、TheoとJoeyのコーラス、Jackのパンケーキが最高なのはもちろんだが――このMVが特別なのは、

この「鳥」がキュートで、彼らの雰囲気にぴったりとハマっているからだ。

「Birds of a Feather, We Rock Together」

今回は、この「鳥」を生み出し、それだけでなく「Earwarm」『A Very Vulfy Christmas』など数多くのVulfpeckファミリーのMVでアニメーションを担当してきた、Jayr Sotelo(ジャイール・ソテロ)氏にインタビューを行った。

Jayr Sotelo 公式サイト👇

Instagram👇 

彼のインタビューは日本語初である。それでは始めよう!



――まず最初に、あなた自身とこれまでの経歴について教えていただけますか?

Jayr:僕はメキシコのチワワ州シウダー・フアレス出身なんだ。国境地帯で育って、サッカーをたくさんしていたし、カートゥーンが大好きで、いろんなジャンルの音楽を楽しんでいた。

テキサス州フォートワースでコンピューターサイエンスを学ぶために学校へ行ったんだけど、ドローイングの選択授業を取ったあと、大学のアート学科の人たちが、僕をアートの道へ進ませようと本当に熱心に働きかけてくれたんだ。最終的には専攻をグラフィックデザインに変更して、その在学中にアニメーションやモーショングラフィックスに取り組み始めた。

最初の仕事は、大手ブランド向けのCMを制作するプロダクション会社だった。それ以来ずっと、広告、ゲーム、ソーシャルメディアの分野で仕事をしてきた。今は独立したアニメーション&デザインのコントラクターとして、広告やエンターテインメント系のプロジェクトに携わっている。


――アニメーターとして、どんな作品やアーティストから影響を受けていますか?

Jayr:やっぱりディズニーは大きいね。あと、メビウス(Mœbius)のイラストスタイルは、「こんなにも多くのイラスト表現が探求できるんだ」と感じさせてくれた。

葛飾北斎も同じで、彼の絵には本当に動きがある。ハインリッヒ・クライ(Heinrich Kley)もそうだね。静止画なんだけど、比喩表現がすごく楽しくて、スタイルも面白い。

松本大洋も大好きだよ。『鉄コン筋クリート』は僕のお気に入りのグラフィックノヴェルのひとつなんだ。彼のキャラクターや、コマの細部描写が本当に好きなんだよ。あと、大友克洋も大好きだ。『AKIRA』を観て、「絵を描きたい、物語を語りたい」と思うようになった。

それに宮崎駿については、色彩、物語、魔法のようなリアリズム、そのすべてが素晴らしい。

最後に挙げるなら、ディエゴ・リベラ(Diego Rivera)とメキシコ壁画運動全体かな。あれだけの色彩や構図を実現したことには、いつも誇りを感じるし、自分も挑戦してみようという気持ちを与えてくれたんだ。


――そうだったんですね。もし良かったら、日本文化や、日本のアニメからの影響についてもう少し聞かせていただけませんか?

Jayr:日本文化は、ずっと僕の人生の一部だった。僕はシウダー・フアレスで育って、『聖闘士星矢』や『キャプテン翼』を観ていた。そして『AKIRA』に出会って、アニメや映像表現に対する見方が大きく変わったんだ。

僕のお気に入りの思い出の一つは、初めて『フリクリ(FLCL)』を観た時のことだね。当時の僕は美術学校にいて、夜遅くまで課題に取り組んでいた。そうしたら午前2時頃に、カートゥーン ネットワークで『フリクリ』が流れてきたんだ。それに衝撃を受けて、ルームメイトや友人たち全員にその話をした。次の週の土曜に、僕たちはみんなでスナックや飲み物を用意して、午前2時まで待って続きを観たんだ。

最初、もしかしたらあれは夢か幻覚だったんじゃないかと思ったよ。なぜかっていうと、『フリクリ』のベスパに乗った女性の話や、子どもの頭からロボットが出てくる話をすると、みんな僕のことをおかしな奴だと思ったからだ。

だからみんなでそれを観る午前2時が近づいてくると、僕は「あれは本当は夢だったんじゃないか」とかなり不安になった。でも実際に放送が始まって、みんながそれを観て、僕の方を見ながら「これはほんとにヤバいアニメだ!」ってなったんだ(笑)。

あのシリーズでは、制作における作業や労力の配分が、まるで魔法のように管理されている。それが、僕が日本のアニメーションから受けた大きなインスピレーションなんだ。


――では、Vulfpeckとはどのように関わり始めたのでしょうか?

Jayr:2014年に、XOXOというインディペンデント・クリエイター向けのカンファレンスで彼らと出会ったんだ。そこで初めて彼らのライブを観た。

その時、僕はフィルムカメラを持っていて、彼らの写真を撮っていたんだよね。その頃はまだ観客もそんなに多くなかったから、ライブの終わりにJoeが「そのカメラ見せてよ」と話しかけてきたんだ。

そこで僕がアニメーションをやっていると話したら、まずTheoを紹介してくれて、そのあと他のメンバーとも会った。その頃はまだWoody、Joe、Jack、Theoの4人だけだったね。

(筆者注:2014年のVulfpeck👇)


――最初のコラボは『Bandit Bird』だったと思いますが、あのプロジェクトはどのように始まったのでしょうか? また、なぜビジュアルに日本語を取り入れたのでしょうか?

Jayr:最初のコラボは確か『Birds of a Feather』だったと思う。『Bandit Bird』はTheoと僕の間で作られたものなんだ。

僕は「迷子になったトルタ(メキシコのサンドイッチ)」っていうアニメのアイデアをTheoに提案して、一緒に何かできないか話した。そのトルタの物語の中に、盗賊(Bandit)みたいな見た目の鳥たちが出てきて、Theoはそれをすごく気に入ってくれたんだ。

絵コンテを見せた時に、Theoが「その鳥の名前は何?」って聞いてきて、僕は「Bandit Birdだよ」と答えた。そうしたら、彼はその名前も気に入った。その「トルタ」のプロジェクトが、最終的にBandit Bird誕生のきっかけになった。

『Bandit Bird』は、メキシコとアメリカの国境地帯、メキシコのチワワ州シウダー・フアレスで育った自分自身の経験から生まれた。そして、あの街が治安が悪いことで有名な場所だと思われていることのステレオタイプも背景にある。

そしてビジュアルに日本語を使ったのは、僕が8分の1日本人で、日本のアートから強い影響を受けてきたからなんだ。

『Bandit Bird』

『Bandit Bird』の他の部分にも、日本的なコンセプトがある。たとえば金継ぎだね。金色の蛇がBandit Birdに切られる場面では、その蛇は、自分の舌で触れたものを金に変えることで傷を修復するんだ。

『Bandit Bird』

今は制作をストップしているけど、まだエピソードが2本残っている。いつか全部完成させたいと思ってるよ。


――では、「Birds of a Feather」の制作について教えてください。

Jayr:ある日Jackから電話が来て、これからリリースする曲の映像を手伝ってほしいと言われたんだ。時間はあまりなかったけど、自分の中ではやりたいことのイメージがあった。映像に鳥をトラッキングして入れ込むことだね。

僕は彼らのローファイな映像スタイルが大好きで、自分のスタイルとも完璧に合っていた。

映像素材を受け取って、たくさんの鳥のアニメーションを作って、それを映像にトラッキングしていった。最終的に、あれは僕が今まで関わってきた作品の中でも特にお気に入りのひとつになった。本当に美しい曲に関われたことを、心から光栄に思っているよ。

「Birds of a Feather, We Rock Together」


――あの鳥のデザインは、どのようにして生まれたのでしょうか?

Jayr:インスピレーションについて言うと、あの鳥たちは音符から着想を得たんだ。シンプルで、ピースフルな感じにしたかった。

この曲は本当に美しいし、特にAntwaunのヴォーカルが素晴らしい。だから、あまりごちゃごちゃした映像にはしたくなかったし、細部もシンプルに保ちたかった。観る人が、彼らの素晴らしいパフォーマンスに集中できるようにしたかったんだ。

僕が考えていたのは、あの鳥たちが、この美しい曲とそのパフォーマンスの中に現れる、楽しいサプライズみたいな存在になることだった。良いバランスになったと思うし、曲だけじゃなく、バンドの雰囲気にも合っていると思う。


――制作の中で、一番楽しかったこと、また一番大変だったことを教えてください。

一番楽しかったのは、鳥たちのデザインを思いついた時だった。僕は空港にいて、飛行機を眺めながら鳥を描いて、音符のことを考えて、ビールを飲みながら、何ページも何ページも鳥を描いたんだ。あれは、僕のお気に入りのスケッチの一つだよ。Tシャツか何かにするべきかもしれないね(笑)!

Illustration: Jayr Sotelo
Illustration: Jayr Sotelo
Illustration: Jayr Sotelo

一番大変だったのは、どこかで区切りをつけることだった。本当は入れたいものがもっとたくさんあったけれど、すべてを加えることはできなかったんだ。でも僕は、あのMVを見るたびに笑顔になるよ。やれることは限られていたけれど、そのぶん曲の優しいメッセージがまっすぐ伝わってくるからね。

このMVの話が僕に来た時、僕はある会社で働いていて、100%完璧にハッピーという状態ではなかった。でもそんな時にJackたちが僕に声をかけてくれて、自分の才能を活かすチャンスをくれて、彼らのファンキーな個性に合わせて制作する機会をくれた。それは本当に特別なことだったし、あのビデオのすべてのセルを描くのが本当に幸せだった。いつかディレクターズ・カットを作って、もう一度みんなに見せたいと思っているよ(笑)。

僕は日本のアニメーションから、与えられた時間の中で最高のものを作る方法を学んだ。つまり、与えられた時間をどの瞬間に使うべきかを選ばなければならない、ということなんだ。今回の場合、制約は時間だった。他のプロジェクトでは、それが予算になることもある。日本のアニメは、限られた時間や予算の使い方がいつも本当に賢いと思う。もちろん、宮崎駿はまた別格だけどね。いつか、彼の作品に半分でも近づけるようなものを監督すること、それが僕にとって最大の夢なんだ!

「Birds of a Feather, We Rock Together」


――ありがとうございました。では、「Earworm」の制作についても聞かせてください。

Jayr:あれは「Birds of a Feather」とすごく似た流れだった。Jackから電話が来て、「Earwormの仕事に興味ある?」って聞かれたんだ。彼らが映像素材を送ってくれて、制作の流れも「Birds of a Feather」とかなり似ていたね。

Vulfpeckと仕事をする中で僕が一番好きなことのひとつは、曲がリリースされる前に聴けることなんだ。そして、メンバー全員と関係性があることで、自分も何か大きなものの一部になれているように感じられる。


――私も『Schvitz』のライナーノーツ執筆などでJackと仕事の連絡をしましたが、彼は常に簡潔で的確なメッセージを送り、また全てを私に任せてくれました。誰とコラボするかを決めたら後はその人を尊重して任せるという、とても賢く勇気があるやり方だと思います。あなたにとって、Jackとの仕事はどんな経験でしたか?

Jayr:同感だ。Jackとコラボしてきたプロジェクトでは、彼は本当にシンプルに接してくれるし、「自分が合っていると思うことをやっていい」と任せてくれる。

Jackとのコラボレーションはすごくやりやすい。電話をもらった時点で、「何をすべきか」がすぐ分かるんだ。


――では、Woody Gossの『A Very Vulfy Christmas』はどんなプロジェクトでしたか?

Jayr:あれはWoodyが実現したかった、かなりクレイジーなプロジェクトだった。あの作品では、広告代理店の仕事で一緒に働いていたアニメーターたちにも参加してもらったんだ。

『A Very Vulfy Christmas』の物語を形にするには、本当にたくさんの作業が必要だった。でもWoodyは素晴らしいコラボレーターだったし、アルバムを事前に聴けたこと自体も、本当に素晴らしい体験だったね。僕がキャラクターデザインも全部担当したし、アルバムアートも制作したよ。


――『A Very Vulfy Christmas』のアニメーションは、Instagramで自由に使えるようになっていますよね。あれはどういう経緯だったのでしょうか?

Jayr:アニメーションの一部をGIPHYにアップするのは良いアイデアだと思ったんだ。GIPHYは、自分がこれまでのキャリアで作ってきたGIFアニメを投稿するために使っていたプラットフォームなんだよ。
(筆者注:GIPHYにアップされたGIFアニメはInstagramで使えるようになる)

Woodyもそれを良いアイデアだと思ってくれた。みんなが使ってくれるのを見るのは本当に嬉しいよ。「Birds of a Feather」で作った鳥たちも、いくつか使えるようになっている。

昔のプロジェクトを、ファンのみんながストーリー投稿などで使って楽しめる形で残せるのは、とても良いことだと思っているんだ。

インスタのストーリーズ、DMで「Vulfpeck」と検索すれば自由に使える


――Joey Dosikの「Emergency Landing」、Cory Wongの「Winslow」のMVでもアニメーションを担当していますね。それぞれどんな要望があり、どんな風に制作しましたか?

Jayr:ある年にVulfpeckがテキサス州オースティンのACL(オースティンの大型音楽フェス)に出演した時、Theoから電話が来て、Emo’sでのライブのチケットをくれたんだ。それで彼と一緒に時間を過ごして、『Bandit Bird』やいろんなことについて話した。その時にJoeyとCoryにも会った。

『Emergency Landing』は、自分にとってすごく特別な作品なんだ。というのも、僕もJoeyの大ファンだからね。

いくつか候補曲があって、その中から選ばせてもらったんだ。その作品では、最終的には映像に使われなかったアニメーションもたくさん作った。

映像ではいろんな物が飛び交っていて、僕たちはいつだって緊急着陸(Emergency Landing)に備えていなければならないっていうイメージを表現したかったんだ。初めて曲を聴いた時、本当に大好きになったのを覚えているよ。

「Emergency Landing」

Coryの『Winslow』では、彼が映像を送ってきて、「Birds of a Featherみたいなことできる?」って頼んでくれた。でも問題は、その映像にはレコーディングで鳴っているホーンが映っていなかったことなんだ。

だから僕は、ホーンパートを演奏するキャラクターたちを考え出して、それを映像にトラッキングして追加した。Coryの音楽は本当に大好きだし、一緒に仕事できたのもとても嬉しかったよ。


――どのMVのアニメーションも、あなたらしい空気感とVulfpeckらしい空気感が同居していて素晴らしいと思います。それはユーモアを愛し、暖かいコミュニティを大事にして、その上で実際の作品のレベルは非常に高いというバランス感です。あなたは彼らのそういった空気感を、どのようにアニメーションで表現しようと試みていますか?

Jayr:以前にもこのことを聞かれたことがあるんだけど、僕のスタイルとVulfpeckのスタイルって、本当に似ていると思うんだ。

僕は自分自身をそこまで深刻に捉えていない。でも同時に、アニメーションという技術や表現そのものは本当に愛している。そういう意味で、僕たちは似ているんだと思う。

これだけ尊敬しているバンドと仕事をするのは、本当に嬉しいし、やりやすいよ。それは音楽だけじゃなくて、彼らがインディペンデントで、自分たち自身のリズムで進んでいるという点も関係しているね。


――では最後に、あなたにとってVulfpeckの魅力とは何でしょうか?

Jayr:Vulfpeckを知らない人に説明する時、僕は「Silly Funk(お茶目なファンク)」って言うんだ。そこにさらに「音楽オタクのファンク」って付け加えるかもしれないね。

彼らは、演奏する楽曲の中で自分たちを表現する方法が本当に見事なんだけど、同時に遊び心もある。

運命が僕たちを引き合わせたんだと思っているし、また彼らとコラボできる日をいつも願っているよ。




Jayr Sotelo氏は今回のインタビューでも話があったように大の日本好きで、「いつか日本のブランドやアニメの仕事をしてみたい」とも語ってくれた。

彼のWebsiteから連絡も取れるようになっているので、もし興味がある方は是非とも、彼にコンタクトを取ってみていただきたい。

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インタビュー&著:Dr.ファンクシッテルー

宇宙からやってきたファンク博士。「ファンカロジー(Funkalogy)」を集めて宇宙船を直すため、ファンクバンド「KINZTO」で活動。「KINZTO」と並行して、音楽ライターとしても活動しています。


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