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育児の落とし穴 〜育児腰痛〜

自己紹介
私は、働く人の健康をサポートする「産業医」をしています。普段は、産業医活動の「落とし穴」や日々の実践・考えを、noteやX(Twitter)で発信しています。

育休・育児シリーズを始めます
2025年に第一子を授かり、合計4ヵ月ほど育休を取得しています。この経験を通して得た学びを、『落とし穴シリーズ』として発信していきます。特に、これから育休を取ろうと考えている男性に参考になればと考えています。諸先輩方からすれば鼻で笑われるような内容もあろうかと思いますが、こんな人間もいるんだと温かい気持ちでご笑覧いただければ幸いです。

育児腰痛はガチです。
私は育休をとった翌日にぎっくり腰を起こしました。原因は過去の腰痛経験から、恐らくは疲労の蓄積と睡眠不足が原因だろうと自分では思っていますが、その後も、腰はずっと重たい感じが続き、日々びくびくしながら育児に励んでいます。まさか、育児がこんなに腰に負担があるなんて考えていなかったです。育児の落とし穴は「腰痛」です。これガチです。

そこで、この記事では企業も腰痛対策にも取り組んでいる産業医である私が、育児に潜む腰痛の対策について書いていきます。腰痛を経験したことがない方にはなかなか分かってもらいにくい内容かもしれません(腰の痛みを知らない人にはなかなか理解されにくいんですよね)。が、腰痛めると、本当に大変なことになりますので、ぜひとも本記事を参考にして腰痛予防に活かしていただきたいです。

なお、私は身長177cmで、腰痛の持病あり・ぎっくり腰歴が3回あります。またこの記事では便宜上、育児の動きを「作業」と表現していることをご理解ください。

なぜ育児で腰痛が起きやすいのか
当たり前ですが、赤ちゃんそのものがとにかく重たいんです。産まれたては3kgほどですが、その後にどんどん重くなります。当初は慣れてくれば、力の入れ方が分かってくるのかと思ってましたし、首がすわれば楽になる、腰がすわれば楽になる、と言われましたが、これは嘘ですw。今のところの経過では全然楽にはなっていません。

さらに、単に重いこと以外にも、赤ちゃんは絶対に落とせないために慎重な取り扱いが必要になったり、動くので力が入りやすいこと、赤ちゃんの形状が持ちにくいことも腰痛を起こしやすい原因となります。

また、赤ちゃんは床面にいたり、低い位置にいることが多いです。そのため、持ち上げるたびに腰に負担がかかります。着替え、おむつ替え、沐浴、ベビーカーの上でなにかしようとする際など、あらゆる場面で腰に負担がかかります。

我が家の事情
沐浴は、キッチンでやると腰にいいよ、というアドバイスをもらったのですが、いかんせん我が家のキッチンはお湯が安定して出ないため、お風呂場でやらざるをえませんでした。苦肉の策として作ったのが、こちらの沐浴台です。

家に余っていた収納ボックスを組み合わせて作業台を構築。
赤ちゃんを落とさないように細心の注意が必要です。

また、我が家では、Apricaさんのココネルエアーを使っていますが、作業面は54cmの高さで、やはり腰を落とさざるをえない高さです(育児関連の設備・器具は日本の女性の身長に適合した高さになっているのかもしれません)。

基本的には使いやすく、とても助かっています。
https://www.aprica.jp/products/home/detail/bed/coconel_air_ab/



さて、ここから、育児の腰痛対策を説明してきたいと思います。

目次
①身体の中心で持つ・ひねらない
②下半身で持つ
③作業面の高さを上げる
④連続作業時間の防止
⑤協働、共同作業
⑥ストレッチ・体操
⑦補助具の活用
⑧寒くしない
⑨生活習慣を見直す
⑩ストレスを減らす

2022 職場における腰痛予防宣言!のポスターのオマージュ
https://www.pt-ot-st.net/index.php/topics/detail/1398

育児の腰痛対策
本来の安全対策の原則としては、重量物(ハザード)の除去・代替することが最優先ではあるものの、当たり前ですが育児においてはそれはできません。そのため、できることは作業の環境面や作業の方法、自身の健康管理になります。

まずは次の3つがおすすめです。
①身体の中心で持つ・ひねらない
赤ちゃんに極力近づく、身体の中心に寄せて抱えることです。柵やベビーカーの仕様上、手を伸ばさざるをえないことも多いので、極力近づきましょう。

②下半身で持つ
低い姿勢は膝を曲げる、腰を下ろす。抱え上げる際は逆に膝で持ち上げます。(下図の2ステップ方式)。面倒くさがらず、横着せずに、毎回丁寧にやりましょう。

③作業面の高さを上げる(落下防止の対策もセットで!)
作業面を高くします。腕の曲げ角度が90度から100度となる高さで作業することで腰への負担を最小化できます(=肘の高さで行うため「エルボールール」と言います)。

厚生労働省が公開している「まんがでわかる人や重量物の運搬作業の基本」が参考になります。

厚生労働省. まんがでわかる人や重量物の運搬作業の基本https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000957787.pdf
厚生労働省. まんがでわかる人や重量物の運搬作業の基本
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000957787.pdf

④連続作業時間の防止
育児では、パパッと済ませようとして気づいたらその2倍、3倍かかることもあり、気づいたら5分もきつい姿勢でずっと作業していることがザラにあります。そのため長くかかりそうな場合には、仕切り直したり、姿勢を正してから再度取り掛かることもありです。

⑤協働、共同作業
パートナーや他の人の手を借りることも非常に大切です。自分でやるからと無理をし続けると腰をやっちゃいます。特に低い位置での作業はパートナーの手を借りましょう。我が家では、車のチャイルドシートへの赤ちゃんの乗降は妻にお願いしています。また、ベビーカーで駅や店の階段を昇降する際にはスタッフの手を借りましょう。ここでカッコつけると後悔します。

⑥ストレッチ・体操
腰痛体操の資料や動画も出ていますのでご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/001103538.pdf

⑦補助具の活用
直(じか)持ちよりも抱っこ紐を使いましょう。試着してみて腰に良さそうなやつを買ってください。また、移動距離が長い場合にはベビーカーを活用することを勧めます。抱っこし続けてるのはマジできちいです。ここはしっかりとお金をかけるところです。腰痛で育児ができないどころか、仕事にも支障をきたしては目も当てられません。

なお、腰痛予防のコルセットやベルトなどの保護具も多く出回っていますが、効果には個人差がありますので、各自でご判断ください。育児は作業時間が集中しておらず、腰への負担がかかる作業が突発で予期せぬタイミングで発生するので、普段から装着しているわけにもいかず、そのため保護具が機能しにくい側面がある点にもご留意ください。

⑧寒くしない
寒さも腰痛の要因になるのでちゃんと防寒しましょう。クーラーが直撃した状態での作業は腰痛の原因になります。また、寒冷地への旅行中は注意が必要です。

⑨生活習慣を見直す
腰痛の原因として運動不足、睡眠不足、飲酒、喫煙などが挙げられます。腰痛を起こさないように育児をするためには、自身の生活習慣を見直しましょう(自戒を込めて・・・)。育児は長期戦ですしね。

⑩ストレスを減らす
腰痛の要因として心理的ストレスも挙げられます。パートナーとの不和によるストレスがあったり、やらされ感、役に立っていない感(感謝・褒めの欠如)、ワンオペによる孤独なども腰痛の原因になるかもしれません。解決は容易ではないかもしれませんが、要因として知っておくとよいと思います。

おわりに
育児は想像以上に腰に負荷がかかります。私以外にも多くの男性が腰を痛めながら育児にいそしんでいるのではないかと思います。特に、身長高めで腰の持病があル人ほどそれは死活問題なのではないかと思います。「育児の原因や対策を知っているかどうか」「備えているかどうか」が大きな分かれ道になります。

育児は少人数による長期戦です。だからこそ、戦線離脱せず、持続定に育児を行うためにも、腰痛を予防・低減するためには、少しでも本記事が参考になれば幸いです。


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過去の記事
育児の落とし穴〜そばにいる〜
育児の落とし穴〜まずは共感〜
育児の落とし穴〜パートナーのケア〜
育児の落とし穴〜記録に残そう〜  
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育児の落とし穴〜育児腱鞘炎〜 Coming soon

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