ととのえるとは、つながりなおすこと
ハイサイ。
ととのえ職人、五木田穣です。
ここまで、
「ととのえるとは何か」
「ととのえるとは、戻ること」
「ととのえるとは、足すことではなく引くこと」
「ととのえるとは、安心を思い出すこと」
と書いてきました。
整えることと、調えること。
頑張る前に、自分の場所へ戻ること。
足しすぎたものを少し引いて、
抱えすぎた力をほどいていくこと。
そして、
頭ではなく体が、
少しずつ安心を思い出していくこと。
その流れで、
もうひとつ、大切なことを書いてみたいと思います。
それは、
ととのえるとは、つながりなおすこと
だということです。
ととのえることは、自分ひとりの中だけで起きることではない
「ととのえる」というと、
どこか自分ひとりの中で完結することのように
思うかもしれません。
呼吸をととのえる。
暮らしをととのえる。
心をととのえる。
思考をととのえる。
もちろん、それらはとても大切なことです。
でも実際には、
人は、自分ひとりの中だけで乱れるわけでも、
自分ひとりの中だけでととのうわけでもありません。
人との関係の中で、緊張することがある。
場の空気の中で、呼吸が浅くなることがある。
誰かのひと言で、急に体が固くなることがある。
逆に、
ちゃんと聴いてもらえたことで、
ふっと力が抜けることもある。
ととのえるとは、
ただ自分を管理することではなく、
ばらばらになってしまった「つながり」を、
少しずつ取り戻していくことでもあります。
つながれないとき、人はばらばらになる
頭では、大丈夫だと思っている。
でも、体はずっと緊張している。
本当は、疲れている。
でも、口では「平気です」と言っている。
心の中には寂しさがある。
でも、それを感じる前に、
予定を埋めたり、頑張ったりしてしまう。
そんなふうに、
体と心と思考が、
同じ方向を向いていないことがあります。
本音と行動が、ずれていくこともあります。
感覚と判断が、離れていくこともあります。
本当は嫌なのに、
「これが正しいから」と進んでしまうこともあります。
こういうとき、
自分の中の「つながり」が、
一時的に見えない状態
になっているかもしれません。
ととのえるとは、
何かひとつを正すことではなく、
バラバラになったものたちを
整えて、調えて、
つながりなおしていくことです。
まずは、自分とつながりなおすことから
つながりと聞くと、
人とのつながりを想像したかもしれません。
そうです。
人とのつながり。
大事です。
でも、人とつながる前に、
もっと大切なことがあります。
それは、
自分とつながりなおすこと。
自分の呼吸とつながる。
体の感覚とつながる。
本音とつながる。
でもこれは、
案外むずかしいことでもあります。
頑張ることに慣れている人ほど、
考えることに慣れている人ほど、
外に合わせることに慣れている人ほど、
自分の感覚は後回しになりやすいからです。
本当は疲れているのに、まだやれると思ってしまう。
本当は嫌だったのに、気づかないまま過ぎてしまう。
本当は悲しかったのに、
「そんなことで傷つく自分がよくない」と思ってしまう。
そうやって、少しずつ
自分と離れ離れになっていってしまう。
まずは、
いまここにいる、自分の感覚に触れ直していくこと
が大切です。
足の裏の感じが戻る。
呼吸が少し深くなる。
肩の力みに気づく。
本当は無理していたとわかる。
そういう小さなことの中に、
自分とつながりなおす感覚があります。
安心の中で、人ともつながりなおしていく
前の記事で、
ととのえるとは、安心を思い出すこと
だと書きました。
つながりもまた、安心の上に育つものです。
人は安心していないとき、
人とのつながりを求めます。
ただ、、
つながろうとして
つながれていない場合がある。
相手の顔色を見すぎる。
嫌われないように合わせる。
本音を飲み込む。
正解を探す。
よく見せようとする。
傷つかないように、取り繕う。
そのような関わり方だと、
つながっているようで、つながっておらず、
孤独感を感じるかもしれません。
逆に、
急かされない。
否定されない。
ちゃんと話を聴いてもらえる。
そのままでいても大丈夫だと感じられる。
そういう安心のある場では、
人は少しずつ変わっていきます。
呼吸が変わる。
言葉の出方が変わる。
体の力みがほどける。
無理に何かを証明しなくてよくなる。
そのとき、
人はようやく、
誰かと少しつながれたような感覚を持てます。
無理に近づこうとすることではなく、
安心の中で、自然につながっていくこと。
自分らしくいられること。
自分とつながりだすと、
人とも自然とつながっていくものです。
つながるとは、誰かに合わせることではない
つながるとは、
誰かと、ただ近くにいることではありません。
ましてや、
自分を消して、合わせることでもありません。
本当は苦しいのに、笑うこと。
本音を飲み込んで、空気を守ること。
嫌なのに、「大丈夫」と言うこと。
そうすれば、
関係を保つことはできるかもしれませんが、
それは、本当の意味でのつながりではありません。
本当のつながりは、
自分をなくした先にあるのではなく、
自分とつながっているからこそ、
生まれてくるものです。
自分の感覚を置き去りにしない。
自分の本音を全部無視しない。
無理をしているときは、それに気づける。
そういう土台があるからこそ、
人と関わっても、自分を見失いすぎずにいられる。
つながるとは、
誰かに合わせることではなく、
ありのままの自分でいられることです。
世界との関係も、少しずつ戻ってくる
つながりなおすということは、
人との関係だけではありません。
自然とのつながり。
暮らしとのつながり。
時間とのつながり。
食べること、眠ること、休むこと、動くこと。
そういう日常とも、
人は簡単に離れてしまいがちです。
忙しさの中で、季節を感じなくなる。
疲れているのに、眠ることを後回しにする。
お腹が空いているのかどうかもわからないまま、
時間になったら食べる。
朝も夜も関係なく、
ずっと緊張の続きのような感覚で過ごしてしまう。
そういう状態は、
世界とのつながりも
薄くなってしまっているかもしれません。
逆に、
外の風にふれる。
季節の空気を感じる。
ちゃんと眠る。
温かいものをゆっくり飲む。
急がない時間を少し持つ。
そういうちょっとしたことに
意識を向けることで、
人はまた世界とつながりなおしていけます。
ととのえるとは、
自分の内側だけを見つめることではなく、
自分を取り巻く世界との関係を、
もう一度取り戻していくことです。
つながりなおすと、生きやすさが戻ってくる
つながりが戻ってくると、
人は少しずつ生きやすくなります。
体と心と思考が、
同じ方向を向きはじめる。
本音と行動のズレが少し減る。
頑張りすぎる前に、自分に気づける。
ひとりで抱え込みすぎる前に、
人と関われる。
自然の流れや、自分の暮らしのリズムを
少しずつ取り戻していける。
それは、
何か特別な成功ではありません。
でも、
生きていくうえではとても大切なことです。
どこかが途切れていても、
人は頑張れてしまうこともあります。
でも、頑張れることと、
生きやすいことは同じではありません。
私は、
ととのえるということを通して、
自分らしく生きられる人が
増えていったらいいなと願っています。
あなたがととのえば、世界がととのう。
と、思うからです。
ワーク①|いま、何とつながれていないかを見る
ここで、少しだけ自分を見つめる時間を置いてみてください。
まず、最近の自分が
「何と少しつながれていない感じがするか」
を書いてみます。
たとえば、
自分の体の感覚
本音
呼吸
休息
誰かとの安心した関わり
季節や自然
暮らしのリズム
食べること、眠ること
ひとりの静かな時間
思いつくまま、書いてみてください。
大事なのは、正解を出すことではなく、
いま自分の中でどんな“途切れ”が起きているかに
気づくことです。
ワーク②|少しつながりなおせることを、ひとつだけ選ぶ
次に、今の自分が
ほんの少しだけつながりなおせそうなことを
ひとつだけ選んでみてください。
大きなことではなくて大丈夫です。
深く息を吐いてみる
足の裏を感じてみる
温かい飲み物を飲む
空を見る
誰かに少し本音を話してみる
5分だけ静かに座る
ごはんをちゃんと味わう
スマホを閉じて、夜を過ごす
そういう小さなことが、
切れていたつながりを
少し戻してくれます。
おわりに
ととのえるとは、つながりなおすこと。
それは、
誰かに無理に近づくことではなく、
まずは自分の感覚に触れ直し、
体と心と思考のあいだにあるズレを、
少しずつほどいていくこと。
そして、
安心を思い出しながら、
人との関係、
暮らしとの関係、
自然との関係、
世界との関係を、
もう一度取り戻していくこと。
ばらばらになっていたものたちが、
少しずつもう一度つながっていくとき、
少し生きやすくなります。
それもまた、ととのいの形のひとつです。
つながることは、
合わせることではない。
自分をなくすことでもない。
自分に還った先に、
静かに生まれてくるもの。
自分とつながることで、
他者とも適切につながることができます。
人は関係性の中で、生きていく生き物。
今日もととのいましたか?
ととのえ職人、五木田穣でした。
また、次の記事でお会いしましょう。
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