五感が鈍ると、体の声が聞こえなくなる― 違和感に気づくために、感度を取り戻す ―
ハイサイ。
ととのえ職人、五木田穣です。
このnoteでは、心と体と思考のズレをやさしくととのえる話を、日々書いています。
先日、
「体が知らせてくれる違和感を、なかったことにしない」
という記事を書きました。
痛みになる前に、
体は小さなサインを出している。
なんとなく重い。
呼吸が浅い。
肩に力が入っている。
お腹が硬い。
胸がざわざわする。
眠りが浅い。
気が乗らない。
そういう小さな違和感を、
なかったことにしない。
そんな話でした。
今日は、その少し手前の話をしてみたいと思います。
そもそも、
なぜ私たちは、
体の違和感に気づけなくなってしまうのか。
なぜ、
痛みや不調が大きくなるまで、
体の声を聞き流してしまうのか。
そこには、
五感の鈍りがあります。
五感が鈍ると、
体の声が聞こえなくなる。
今日は、そんな話をお届けします。
痛みは、いきなり来るわけではない
痛みや不調は、
突然やってくるように感じるかもしれません。
ある朝、腰が痛い。
急に、肩がつらい。
突然、体が重くなる。
急に、眠れなくなる。
いきなり、気持ちが落ちる。
でも、
本当に突然だったのでしょうか。
痛みや不調が起きる前に、
体は何度も知らせてくれていたかもしれません。
少し、呼吸が浅かった。
少し、肩に力が入っていた。
少し、眠りが浅かった。
少し、胃が重かった。
少し、気分が乗らなかった。
少し、人に会うのがしんどかった。
少し、体が冷えていた。
少し、頭が働きすぎていた。
その「少し」を見過ごしているうちに、
体は、もう少し大きな声で知らせてきた。
それが、
痛みや不調。
痛みは、
体からの警告サインです。
でも、
できるならば、
痛みになる前の、違和感に気づけた方がいい。
さらに言えば、
違和感になる前の、小さなズレに気づけた方がいい。
そのために必要なのが、感覚です。
現代人は、感じる時間が減っている
今の暮らしは、
とても便利です。
スマホがある。
情報がすぐ届く。
空調がある。
移動も速い。
食べ物もすぐ手に入る。
音楽も動画も、
いつでも流せる。
予定も、連絡も、仕事も、
画面の中で進んでいく。
便利である一方で、
私たちは「感じる時間」を失いやすくなっています。
暑いのか、寒いのか。
お腹が空いているのか、
ただ口寂しいだけなのか。
本当に疲れているのか、
刺激が足りないだけなのか。
休みたいのか、
考えすぎているだけなのか。
体が緊張しているのか、
心が焦っているのか。
そういう感覚を確かめる前に、
頭で判断してしまう。
画面を見る。
予定を見る。
通知を見る。
数字を見る。
正解を探す。
人の反応を見る。
そうしているうちに、
自分の体の感覚で感じる時間が、
どんどん減っていきます。
頭ではたくさん考えている。
でも、
体ではあまり感じていない。
そんな状態になりやすい。
五感が鈍ると、自分の状態がわからなくなる
五感とは、
見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れる。
私たちが世界を受け取る入口です。
空の明るさを見る。
風の音を聞く。
雨上がりの匂いを感じる。
食事の味を味わう。
足裏で地面を感じる。
肌で湿度を感じる。
体で温度を感じる。
そうやって私たちは、
外側の世界を感じながら、
自分の内側の状態を感じています。
でも、
五感が鈍ってくると、
自分の状態がわかりにくくなります。
本当は、疲れているのに、
疲れに気づかない。
本当は、緊張しているのに、
力が入っていることに気づかない。
本当は、お腹が満たされているのに、
なんとなく食べ続ける。
本当は、眠いのに、
スマホを見続ける。
本当は、静けさが必要なのに、
音や情報を入れ続ける。
本当は、一人になりたいのに、
人に合わせ続ける。
五感が鈍ると、
体の声が遠くなります。
体の声が遠くなると、
違和感に気づけなくなります。
違和感に気づけなくなると、
無理をしていることにも気づきにくくなります。
そして、
気づいた時には、
体が、痛みや不調として、
大きな声を出してくる。
頭が先に動きすぎる
現代の暮らしでは、
どうしても頭が先に動きます。
効率よくしなければ。
早くしなければ。
ちゃんと考えなければ。
損しないようにしなければ。
正解を選ばなければ。
人にどう見られるか考えなければ。
先のことを考えなければ。
頭は、
いつも何かを処理しています。
もちろん、
考えることは大切です。
思考は、
人が生きるために必要な力です。
でも、
頭が先に動きすぎると、
体の声は後回しになります。
本当は疲れているのに、
「でも、やらなきゃ」と考える。
本当は嫌なのに、
「でも、断ったら悪い」と考える。
本当は休みたいのに、
「でも、今休んだら遅れる」と考える。
本当は違和感があるのに、
「でも、これくらい普通」と考える。
そうやって、
体が感じていることを、
思考で上書きしてしまう。
すると、
心と体と思考のズレは大きくなっていきます。
ととのえるために、
考える力をなくす必要はありません。
ただ、
考える前に、
少し感じる時間を取り戻す必要があるのです。
感度が鈍ると、無理が普通になる
感度が鈍り、怖いのは、
無理をしていることに気づけなくなることです。
疲れているのが、普通。
呼吸が浅いのが、普通。
肩に力が入っているのが、普通。
眠りが浅いのが、普通。
胃が重いのが、普通。
人に合わせるのが、普通。
自分の本音を後回しにするのが、普通。
いつも緊張しているのが、普通。
その状態が長く続くと、
本来は違和感だったものが、
いつの間にか日常になります。
そして、
普通だと思っているから、
調整しようとしなくなる。
でも、
それは、本来、普通ではないのです。
ずっと浅い呼吸。
ずっと入ったままの力。
ずっと休まらない神経。
ずっと飲み込んでいる感情。
ずっと先回りしている思考。
その積み重ねが、
ある時、痛みや不調として現れる。
感度を取り戻すことは、
自分の無理に気づくこと。
「これが普通」だと思っていた状態に、
少し問いを立てること。
本当に、今の呼吸でいいのか。
本当に、今の疲れ方が普通なのか。
本当に、この緊張を抱えたままでいいのか。
その問いから、
ととのえることは始まります。
五感を取り戻すことは、自分に戻ること
五感を取り戻すといっても、
特別なことをする必要はありません。
頑張る必要もありません。
日常の中で、
少し感じる時間を増やすだけでいい。
朝、窓を開けて、
空気を感じる。
スマホを見る前に、
空の明るさを見る。
食事をしながら、
味をちゃんと感じる。
歩く時に、
足裏が地面に触れる感覚を感じる。
お風呂に入った時に、
お湯の温度を感じる。
水の滑らかさを感じる。
風が肌に当たる感覚に気づく。
部屋の静けさを聴く。
雨の音や匂いを感じる。
お茶のあたたかさを、
手のひらで感じる。舌で味わう。
そういう小さなことです。
五感を取り戻すことは、
外側の世界を感じ直すことであり、
同時に、自分の内側に戻ることでもあります。
自分は今、
何を心地よいと感じているのか。
何を重く感じているのか。
何に疲れているのか。
何に安心しているのか。
どこに力が入っているのか。
どこがゆるんでいるのか。
五感を通して、
自分の状態が少しずつ見えてきます。
違和感に気づける体に戻っていく
大切なのは、
不調を完全になくすことではありません。
痛みが絶対に出ない体になることでもありません。
人が生きていれば、
疲れることはあります。
揺れることもあります。
崩れることもあります。
痛みが出ることもあります。
でも、
小さな違和感に気づける体でいられたら、
大きく崩れる前に、戻せるのです。
少し、疲れているな。
今日は、呼吸が浅いな。
最近、眠りが浅いな。
人に合わせすぎているな。
考えすぎているな。
体が冷えているな。
食べ方が雑になっているな。
静かな時間が足りていないな。
そう気づけること。
それだけで、
自分を調整する余地が生まれます。
違和感に気づくことは、
自分を守るための感度です。
感度があるからこそ、
無理をしすぎる前に、
少し戻ることができます。
今日の小さな実践
今日の小さな実践は、
五感をひとつだけ使ってみることです。
全部やらなくていいです。
ひとつだけでいい。
遠くを見る。
風を感じる。
お茶を味わう。
足裏を感じて歩く。
音を消して、静けさの中の音を聴く。
手のひらで、自分の腕に触れてみる。
食事の最初の一口を、ゆっくり味わう。
寝る前に、
今日の体の重さを感じる。
その時、
評価はしなくていいです。
良いとか悪いとか、
正しいとか間違っているとか、
そんなことは、一切考えなくていい。
ただ、感じる。
今、自分はこう感じている。
それに気づくだけでいい。
五感を取り戻すとは、
自分に戻るための入口です。
今日の小さな問い
最後に、
今日の小さな問いを置いておきます。
最近、体の小さな違和感に気づけていますか。
疲れていることを、
気のせいにしていませんか。
呼吸の浅さを、
いつものことにしていませんか。
本当は嫌なことを、
頭で納得させていませんか。
味わう前に、
急いで食べていませんか。
空を見る前に、
画面を見ていませんか。
体で感じる前に、
頭で判断していませんか。
今、あなたの五感は、
何を受け取っているでしょうか。
今日、ひとつだけ感度を戻すなら、
何を感じてみますか。
全部に答えなくていいです。
ひとつだけでもいい。
自分の体の声に戻るための問いです。
五感が鈍ると、体の声が聞こえなくなる
五感が鈍ると、
体の声が聞こえなくなる。
体の声が聞こえなくなると、
小さな違和感に気づきにくくなる。
違和感に気づけなくなると、
無理をしていることにも気づきにくくなる。
そして、
気づいた時には、
痛みや不調として体が知らせてくる。
だから、
ととのえることは、
五感を取り戻すことでもあります。
大きく変わる前に、
小さく感じること。
正解を探す前に、
今の体を感じること。
頭で納得させる前に、
心と体の声を少し聞いてみること。
それは、
とても静かなととのえ方です。
今日、少しだけ五感に戻る。
空を見る。
風を感じる。
味わう。
触れる。
聞く。
その小さな感覚の中に、
今の自分の状態を知る入口があります。
違和感に気づくために、
まず感度を取り戻す。
ととのえるとは、感じること。
今日、あなたが感じたことを大切にしてみてください。
ととのえ職人
五木田穣
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