【創作大賞2025】リリがくれた魔法のカツラ 第1話 #オールカテゴリ部門
【ストーリー・あらすじ】
リリのママは乳がんで髪の毛を全部そってしまう事にーー
リリは悲しむママを喜ばせたいと、どんなお願いもかなえてくれる『不思議な美容師・リスのアル』が住んでるトンボ森を訪れます。
しかしアルに、カツラを作るには、本物の髪の毛が必要と言われたリリは、自分の髪の毛の全部を使っていいから、ママにカツラを作ってほしいとお願いしますーーー
”自分が坊主になる代わりに、ママにカツラを作ってほしい”とお願いするリリに、アルは心を打たれて・・・
大切な人を思う気持ちが奇跡を起こす、希望に満ちたファンタジーストーリーです。
#創作大賞2025 #オールカテゴリ部門
📚 本文はこの下からどうぞ!
この作品は児童文学の為、子供が読みやすい漢字やひらがなを使っています。
第1章 ママ、どうして髪の毛きっちゃうの?
日曜日の昼下がり。
リリとママは、にぎやかなまちの中を、あるいていました。
リリはママの手をぎゅっとにぎって、にこにこ。
「ママ、きょうはどんな髪型にするの?」
リリがたずねると、ママはちょっといたずらっぽくわらいました。
「ふふっ、びっくりするくらい、すっごい髪型だよ!」
ママはそういって、リリの手をブンブンふりました。
いつものびよういんにつくと、ママは鏡の前にすわり、リリをよびました。「リリちゃん、じつはね・・・ママ、髪の毛ぜんぶきっちゃうの」
「えっ!?ぜんぶ?」
リリはおどろいて、ママの顔をみつめました。
「うん、ぜんぶ。ママの病気のちりょうがはじまれば、髪の毛がぜんぶぬけちゃうんだって。だからいまのうちに、きれいにきってもらうのよ」
ママはにっこりわらいました。
リリは不安げにまゆげを下げて、ママの髪の毛がきられていくのを見ていました。
ママの髪の毛がつぎつぎと、パサリ、パサリとおちていきーー
「ママの髪の毛・・・だいすきだったのに・・・」
リリの目からは、涙がぽろぽろこぼれました。
「だいじょうぶよ」
ママはやさしくわらって、リリをだきしめました。
「またのびてくるからね。リリちゃん、ママのあたらしい髪型もすきになってね」
リリは顔をあげて目をこすりながら、大きな声でいいます。
「もちろんだよ!どんな髪型でもママはママだよ。ママは、いつだってかわいいもん!」
ママは涙ぐみます。
「リリちゃん、ありがとう・・・」
ママは、静かにいすの背もたれに身をまかせます。
はさみの音だけが、びよういんにやさしくひびいています。
少しずつ、少しずつ、髪の毛が落ちて――
やがてママの髪の毛は、ぜんぶなくなってしまいました。
リリはママの髪の毛がなくなったを見て、大泣きしてしまいます。
「えーん、えーん。ママの髪の毛が・・・」
でもそこには、髪がなくなっても変わらない、リリのだいすきなママの笑顔がありました。
その夜、リリはママのことが、ずっと気になって、なかなかねむれません。するとトイレのほうから、すすり泣きが聞こえてきました。
リリがそ〜っとのぞくと、ママが鏡の前で、しくしく泣いていました。
「ママ・・・ほんとは、かなしかったんだ・・・」
リリはぎゅっとこぶしをにぎります。
「リリがママをげんきにする!そうだ、おばあちゃんに、ふしぎなびよういんのこと、きいてみよう!」
リリは、そっとベッドにもどると、おふとんにくるまりました。
「ぜったい、ママを笑顔にするんだ」
そう小さくつぶやくと、目をぎゅっととじました。
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▶︎ 第2話はこちら https://note.com/hana_fantasy/n/n000acd7fdfb7
▶︎ 第3話はこちら https://note.com/hana_fantasy/n/n451191b6c37c
▶︎ 第4話はこちら https://note.com/hana_fantasy/n/nb5c2acd83e2a
▶︎ 第5話はこちら https://note.com/hana_fantasy/n/nc1bc83146147
▶︎ 第6話はこちら https://note.com/hana_fantasy/n/n3542c6bf0093
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【作者のプロフィール】
出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、これまでに世界中の絵本を年間120冊以上、トータルで700冊ほど、娘と一緒に読み重ねてきました。
絵本の読み聞かせを通して「娘にどんな物語を(本)語ってあげたいか」、また「どんな言葉を残したいか」を考えるうちに、絵本に関係なく、「私が娘に伝えたい事は?」という気持ちが大きくなり、自ら児童文学を書き始めるようになりました。
私自身はこれまで、国際線CAや通訳、企業コンサル、飲食のブランディングなど、さまざまな仕事や起業を経験してきました。
その中で常に大切にしてきたのは、「異なる文化や人を理解し、自分や他者を受け入れること」でした。
そしてハーフである娘の成長を見つめながら、これからぶつかるであろう困難に立ち向かう為に、母親ができる事を模索しています。
これからは、子供達が成長の過程で苦しんだり悩んだりしなくていい様に、自分の周りの人との“違い”を肯定し、“他人と比べずに自分を愛する”事の大切さを語る様な、そんな児童文学を子どもたちに届けていきたいと思っています。
読んでくださった方に、優しい気持ちが届けば幸いです。
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