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【創作大賞2025】リリがくれた魔法のカツラ 第4話 #オールカテゴリ部門

【前回の話はこちら】
▶︎ 第3話を読む https://note.com/hana_fantasy/n/n451191b6c37c

#創作大賞2025  #オールカテゴリ部門
📚 本文はこの下からどうぞ!
この作品は児童文学の為、子供が読みやすい漢字やひらがなを使っています。

第4章 ほんとうに、きっちゃうよ?

リリのまっすぐなことばに、アルはしばらくなにもいわずに、しっぽをゆらしていました。
そしてやさしい声でいいました。
「まったく、人間ってやつは、どうしてこう・・・まっすぐなんだろうね」
そして、どこか遠くを見るような目で、ぽつりとつぶやきました。
「むかし、ここにきた、あの子もそうだった・・・」

しばらくして、アルはリリの顔をまっすぐ見つめ、やさしく言いました。
「わかったよ。きみのママに、カツラをつくってあげる」
その言葉に、リリの目がぱっと輝きました。
「ほんとに!? アルさん、ありがとう! ありがとう!」
リリは手をぎゅっと胸の前で握りしめ、涙をこらえながら笑いました。
アルも、にっこりと笑って、コクリとうなずきます。

アルは手をパン、パンと2回叩くと、大きな声でいいました。
「さあ、時間がないよ! いそいでカツラをつくっていこう!」
「うん!!」
リリは、きゅっと拳を握りしめ、椅子に座りました。

アルは奥のひきだしから、小さなバリカンをとりだしーー
「・・・じゃあ、ほんとうに君の髪の毛、ぜんぶきるよ・・・??」
リリはぐっと目をつぶりました。
「こわくない、へいき・・・ママのためだから・・・」

バリカンがぶぃぃんと小さく音をたてました。
アルがリリの頭に手をのばそうとした、そのときーー
リリの肩が、わずかにふるえました。
小さな手が、ぎゅっとイスのふちをつかんでいます。
アルは、その手を見て、ふっと目を細めました。
そして、ため息のように、ぽつりとつぶやきました。
「やっぱり・・・やめよう・・ぜんぶきるなんて、違う気がする・・・」
アルは手をひっこめて、バリカンのスイッチをとめました。
静かに流れていた空気が、ふっとやさしくゆるみます。
リリは、目をおそるおそるあけて、アルを見ました。
「アルさん・・・?」

アルは、リリの隣にちょこんとすわって、肩に手を置きました。
「リリ、君のママをたいせつに思う気もち、すっごくステキだよ。でもね・・・ママは、君がぼうずになったら、きっと悲しんじゃうと思う」
リリはハっとして、目をまるくしました。
「ママは、きっとリリの髪の毛もだいすきだと思うよ。だから、ぜんぶなくすことなんて、ぜったいにのぞんでないはず」
アルはにこっとわらいました。
「ほんとうはね、ぼくらびようしは、かんたんに魔法をつかっちゃいけないんだ。でも・・・」
アルはリリの目をまっすぐ見て、いいました。
「リリのママへの気もちがすごくあたたかいから、きょうは特別につかっちゃおう!」

アルはそういうと、手でそっとリリの髪の毛にふれました。
すると髪の毛が、ふわっ、ふわっとゆれて――
ゆっくり、ゆっくりと、のびていきます。
腰まで、お尻まで、そして足くびまで。
やわらかな光をまとうように、するすると長くなっていきます。
「わあ!なにこれ!!あはは」
リリは目をまんまるにして、大きな声でわらいます。
ふわり、ふわりと宙を舞う髪の毛は、リボンのようにゆれて、まるでダンスをしているみたいでした。

「これだけ長ければ、さきっぽの髪の毛だけ、ちょんちょんと切って、ママのカツラにつかえるでしょ?」
アルはハサミを持って、やさしく言いました。
「さあ、リリ!ママに、せかいでいちばんかわいいカツラをつくろう!」
リリは涙ぐみながらアルをみます。
「うん!」


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▶︎ 第1話はこちら https://note.com/hana_fantasy/n/n50f6434e3352

▶︎ 第2話はこちら https://note.com/hana_fantasy/n/n000acd7fdfb7

▶︎ 第3話はこちら https://note.com/hana_fantasy/n/n451191b6c37c

▶︎ 第5話はこちら https://note.com/hana_fantasy/n/nc1bc83146147

▶︎ 第6話はこちら https://note.com/hana_fantasy/n/n3542c6bf0093

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【作者のプロフィール】

出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、これまでに世界中の絵本を年間120冊以上、トータルで700冊ほど、娘と一緒に読み重ねてきました。

絵本の読み聞かせを通して「娘にどんな物語を(本)語ってあげたいか」、また「どんな言葉を残したいか」を考えるうちに、絵本に関係なく、「私が娘に伝えたい事は?」という気持ちが大きくなり、自ら児童文学を書き始めるようになりました。

私自身はこれまで、国際線CAや通訳、企業コンサル、飲食のブランディングなど、さまざまな仕事や起業を経験してきました。
その中で常に大切にしてきたのは、「異なる文化や人を理解し、自分や他者を受け入れること」でした。
そしてハーフである娘の成長を見つめながら、これからぶつかるであろう困難に立ち向かう為に、母親ができる事を模索しています。

これからは、子供達が成長の過程で苦しんだり悩んだりしなくていい様に、自分の周りの人との“違い”を肯定し、“他人と比べずに自分を愛する”事の大切さを語る様な、そんな児童文学を子どもたちに届けていきたいと思っています。

読んでくださった方に、優しい気持ちが届けば幸いです。

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