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【創作大賞2025】リリがくれた魔法のカツラ 第5話 #オールカテゴリ部門

【前回の話はこちら】
▶︎ 第4話を読む  https://note.com/hana_fantasy/n/nb5c2acd83e2a

#創作大賞2025  #オールカテゴリ部門
📚 本文はこの下からどうぞ!
この作品は児童文学の為、子供が読みやすい漢字やひらがなを使っています。

第5章 カツラは、こころで つくるんだ!

アルはリリの髪の毛の先っぽだけを、ザクザクときっていきます。
「ほんとうにその人にぴったりのカツラをつくるにはね、どんな人で、どんな見た目か、よく知らなきゃいけないんだ」
アルが、しずかにいいました。
「だからママのこと、ぼくにたくさんお話ししてくれるかい?」

リリは、コクンとうなずいて、ママのことを話しはじめました。
「ママはね、病気なんだ。にゅうがんっていうんだって。ママは『だいじょうぶだよ』って笑ってたけど・・・たぶん、ほんとうは、すごくこわかったんだと思う・・・」
アルは目をとじて、静かに耳をかたむけています。

「それでもね、ママはがんばり屋さんなの。おしごとも、おうちのことも、いつもどおりにしてて、体がいたい日にもごはんまでつくってくれたの。いつも、びょうきだっておもえないほどに笑いながら・・・」
リリはそういうと、ちょっとだけ口をつぐみました。
「髪の毛きるときだって、笑ってた・・・」
そして、まっすぐアルをみて、つづけました。

「そんなママが、このまえの夜、ひとりで泣いてたの。だれにも見られないように、しずかに、しずかに・・・。リリ、見ちゃったんだ。ほんとは、ママがんばりすぎてたの。「だいじょうぶ」って笑ってたけど、すごくがまんしてたんだよ。だから、リリ・・・ママに、うれしくなってほしくて・・・」アルは静かにうなずきます。

リリは涙が出そうな目をこすりながら続けます。
「ママはリリの自慢のママなの!髪の毛は、背中まである黒くてつやつやのロングでね、光が当たるとキラキラするの。前髪はちょっとだけ右に流れてて、おでこがすこし見えるのがかわいいんだよ・・!それから、それから・・・」
リリは、言葉があふれるように話し続けます。
「髪の毛をときどき耳にかけたり、しっぽみたいにむすんでる日もあったり・・・ぜーんぶ、だいすき・・・ママの髪の毛、だいすきだった・・・」
リリは一生けんめいに、ママのすきなところをひとつ、ひとつ、大事そうに語っていきました。

アルはリリのことばにじっと耳をかたむけながら、さっききった髪の毛をゆっくりと宙にうかべて、さわりはじめました。
アルのやさしくふれた指先から、まるで風が吹いてるかのように、毛のさきが、くるん、くるんと空中でまわり、やわらかく髪型をつくっていきます。ふわっとした前がみ、やさしいカーブのあるサイド、そしてつやつやした黒髪ーー

すべてが、リリの「ママの思い出」そのままに、カツラはすこしずつ、ママそっくりの形になっていきました。
アルは、そっとリリの目を見て、笑って言いました。
「リリ、ママは君みたいな子がいて、ほんとうにしあわせだ。きっと、このカツラ、よろこんでくれるよ!」
リリはうなずいて、やさしくわらいました。


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▶︎ 第1話はこちら https://note.com/hana_fantasy/n/n50f6434e3352

▶︎ 第2話はこちら https://note.com/hana_fantasy/n/n000acd7fdfb7

▶︎ 第3話はこちら https://note.com/hana_fantasy/n/n451191b6c37c

▶︎ 第4話はこちら https://note.com/hana_fantasy/n/nb5c2acd83e2a

▶︎ 第6話はこちら https://note.com/hana_fantasy/n/n3542c6bf0093

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【作者のプロフィール】

出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、これまでに世界中の絵本を年間120冊以上、トータルで700冊ほど、娘と一緒に読み重ねてきました。

絵本の読み聞かせを通して「娘にどんな物語を(本)語ってあげたいか」、また「どんな言葉を残したいか」を考えるうちに、絵本に関係なく、「私が娘に伝えたい事は?」という気持ちが大きくなり、自ら児童文学を書き始めるようになりました。

私自身はこれまで、国際線CAや通訳、企業コンサル、飲食のブランディングなど、さまざまな仕事や起業を経験してきました。
その中で常に大切にしてきたのは、「異なる文化や人を理解し、自分や他者を受け入れること」でした。
そしてハーフである娘の成長を見つめながら、これからぶつかるであろう困難に立ち向かう為に、母親ができる事を模索しています。

これからは、子供達が成長の過程で苦しんだり悩んだりしなくていい様に、自分の周りの人との“違い”を肯定し、“他人と比べずに自分を愛する”事の大切さを語る様な、そんな児童文学を子どもたちに届けていきたいと思っています。

読んでくださった方に、優しい気持ちが届けば幸いです。

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