【創作大賞感想文】心に残った「珠玉の仕事エッセイ」3選
先日の生活編に続いて、今日は「仕事エッセイ」を3編挙げることにする。
仕事がテーマのエッセイは好きだ。はじめて夢中になって読みふけったエッセイは、群ようこさんの『無印OL物語』だったと思う。
自分同様のフリーランスや、かつての自分と同じ会社員にだけでなく、まったく経験したことのない職種でも、いやだからこそ、仕事エッセイはおもしろい。
それは新しい世界を知ることのおもしろさでもある。しかし、「働く」ということは普遍的なものであり、どこかに自分を重ねることができるからなのだろう。
琲音さん「卵の洗礼」・・・新人時代の、生々しい手痛い失敗
琲音さんを知ったきっかけは、わたしのみんフォトイラストを使って下さったから。わたしのイラストは、多い日は10枚程度使われることもあるが、欠かさず目を通すようにしている。
そんな中で琲音さんのエッセイは、読みはじめてすぐに引き込まれてしまった。
さて、「卵の洗礼」である。ご本人も胸が苦しくなる、と書かれている通り、とてもつらい思い出についての話。よくぞこれを書き残そうと思われたと、まずはそのことに敬意を表したい。
卒業式の日、新人教師である琲音さんの紺色の車にぶつけられた生卵。一体誰が、どうして?ドキドキしながら、展開を追わずにはいられない。
おそらく、琲音さん自身が絶対に「こうなりたくなかった自分」を突き付けられた瞬間。そこから逃げずに生きて来られたからこそ、琲音さんの言葉は、人の心を打つのだろう。
中村昌弘さん「『明日つかえること』を追いつづけていたら、人生が貧しくなっていた」・・・金銭と心の豊かさのバランス
1,000名以上が在籍する「Webライターラボ」を運営されている、超有名ライターの中村昌弘さん。中村さんのエッセイはどれも、迷える子羊たちの「転ばぬ先の杖」として心に刻みたいものばかりである。
このエッセイを読んで、昔、あるライターさんが言っていた言葉を思い出した。
「いつも一緒に飲んでいたのは、売れてないライターばかりだった。売れる人は同業者との飲み会には来ないで、営業したり仕事したりしている」
そのライターさんは、「だから、飲み会にばかり参加してないで営業した方がいいよ」と言いたかったのだろう。確かに真理ではある。
でもそうして「仕事に必要ないこと」を切り捨てていった先に、何があるのか?その問いに答えたのがこのエッセイだ。
余談だが、わたし自身はインプットに余念がないタイプだ。けれど時間が有限な中で、どこに行き何を見るかは常に悩ましい。
もしかすると駆け出しの頃には、すべてを仕事に全振りして、ほかのことを切り捨てる時期も必要なのかもしれない。でもどこかで改めないとどうなるのか。
特にクリエイターには一読をオススメしたい。
しりひとみさん「問題社員のつくり方」・・・結局Aさんは、優秀だったのか…?
いうまでもなくプロのエッセイスト。こんなヨワヨワnoteで紹介するまでもない方だ。でも読んだら、やっぱりおもしろすぎて上げずにはいられなかった。
問題社員・Aさん、最強すぎる。
どんなに理不尽を突き付けて大騒ぎしても「こんなに優秀な人が言うんだから」ですべてが判断され許されていく。むしろ彼女に周りが合わせる。「機先を制するって大事だよな」と思わずうなずいた。
そのAさんの「メンター」の役割となるのが、我らがしりさんである。単なるオフィスでの「お世話係」で終わるかと思いきや、Aさんの行動はどんどんエスカレートしていく。
ところで、Aさんは「優秀だという触れ込み」だけで機先を制し、最後まで突っ走る。
……でも、本当に優秀だったのだろうか?
それだけが謎なのだが、それはきっと、このエッセイにおいても、しりさんにとっても、どうでもいいことなのだろう。
どれも仕事上の想い出にヒリリとさせられるエッセイだが、驚くほど読後感は違う。笑わせる、泣かせる、考えさせられる…エッセイに正解はない。でも、人の心を動かす作品には共通点があると思う。
やっぱりエッセイは難しい。
【創作大賞読書感想「仕事エッセイ編」・終わり】
わたしも今回、エッセイ部門に応募しています。もし興味があれば、こちらも読んでいただけたらうれしいです。
◎「幸せになりたくて選んだ人生」が、間違っていた話
幸せとは?を考え続けた人生の行きついた先。特に、昭和から平成にかけて青春時代を生きた女性には共感していただけるかも。
◎36歳からの人生の作り方
これからクリエイターになりたいという30代、40代、50代の方にこそ読んで欲しいエッセイ。しかし長いです(全25回)
なので、25回をテーマごとに分類して、興味あるページだけ読めるようにしました。
コチラ1話目。順番に読み進められます。
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