闇 635(三ヶ月に一度の張子の虎編)
闇 635(三ヶ月に一度の張子の虎編)

2026/08/09 sun
※ダイヤのカットをするのが商業用小説。俺は原石をみんなに見てほしいと掘り続けているのだろう。
前回の章

二千二十四年二月九日、金曜日友引。
インカジ『レディ』の業務中、九州のでったんからメッセージが届く。
『岩ヤン、「俺ってバカだねー」「俺ってダメだなー」って僕はいつも思っているよ。でも、またまた同じ失敗や後悔して、また同じ想いの繰り返し。まぁ深く考えずに飲もうよ! 三月は中旬の平日を考えています。 出口貴行』
一瞬急にどうしたんだと思ったが、すぐSNSで自虐的な記事を書いたのを読んだから、彼なりの励ましなのかと分かる。
深く考えず、俺だって本当は飲みたいよ。
ただこれまでの経緯を振り返ると、自分の決めた選択があまりにも酷かったので、二度と同じ失敗を繰り返したくないんだ。
三月の中旬って…、片屋敷の十五から十八日の休みにもろ被っちゃうじゃん……。
とりあえずその事だけはキチンと伝えておかないと。
『この四日間が、従業員が彼女と旅行での連休だから、どうしても俺が休み取れないの。それ以外なら何とかなるよ。 岩上智一郎』
『了解致しましたー。 出口貴行』
暇な時間を漫画を見ながら過ごす。
一つ気になった漫画があった。
檀蜜と結婚した漫画家清野とおるの作品『ゴハンスキー』に何度も出てくる立ち食いそば『かのや』。
あの辺は新宿駅南口にあるJRA場外馬券場があるから、何度も通った事あるけど、そんな蕎麦屋あったっけ?

仕事を終えると、帰り道だから早速寄ってみる事にした。
細長い立ち食いそばの店で、南口やドンキホーテの近くだったので、すぐに分かる。
むしろ昔何も考えず、入った事があったかもしれない。
メニューを眺めていても、中々見つからない。
ゴボウ天がどこにもないんですけど?
岩のりうどんとゴボウ天を頼もうとしたら、何とゴボウ天はやってないとの事。
数年前の漫画だから、メニューから無くなったのか?
もしくは新宿駅西口ステーキルモンドの通りにも、かのやはあるので、そっちの店ではあるのかも。
今さら向こうまで行きたくないしなあ。
仕方なく岩のりうどんと、ミニかき揚げ丼を注文。

岩のりの量が漫画で描かれていたように本当に凄い。

ミニかき揚げ丼は中々いける。
岩のりが大量に残るので、それを箸ですくい、ミニかき揚げ丼と一緒に食べてもいい感じ。
何だか平和な一日だったなあと、自称俳優マンションへ帰ると風呂へ入って眠った。
二千二十四年二月十日、土曜日先負。
川越のコロボックル真紀美から、引っ越し祝いで入浴剤が届いた。

えーとバスボムというやつだっけ?
見た目がまるでお菓子みたいだ。
一回で一つだから、三回分。
彼女らしい気遣いへ感謝すると共に、使うのが惜しくなる。
特別な日に使用する事にして、しばらくは持っている入浴剤で我慢しよう。
二千二十四年二月十一日、日曜日仏滅、建国記念の日。
連日送った入浴剤のバスボムを使った映像が見たいとせがむコロボックル真紀美。
三つの内、それをしたら残りが二つになってしまうじゃないかと説明するも、無くなったらまたプレゼントするからとうるさい。
心の準備があるから明日使うと約束して、今日は別の入浴剤を使った。
二千二十四年二月十二日、月曜日大安、振替休日。
セブンスターに火をつけて大きく煙を吐き出す。
「岩上さん、これ見て下さいよ」
「ん、何ですか、これ?」
「雪かきです」
「え、ヤバいね、これ……」
普通に庭で固まった雪をスコップでかいていると、突然上から階段のような雪の塊が落っこちて襲ってくる映像。
そういえば北海道の倶知安にいた頃、外で雪かきをしていたら屋根から落ちてきた雪の下敷きになって亡くなったというニュースを聞き、当時ビックリしたもんな。
以前宮古島へ行った時、建物のほとんどが平だったけど、あれって雪が降らないからこその構造だよね。
あの時停まったマンションの上から見た街の様子を思い出した。
マンションと聞いていたが、かなりの高級なもので、部屋は広いし八階の高さ。
早速ベランダへ出て景色を眺める。
様々な家や建物を見ながら、気になったのがみんな四角い事。
何で屋根のある家がないのか不思議だった。
おそらくこのポカポカした南国で、宮古島は雪が積もる事などないのだろう。
だから全部がこのような造りになっている。
勝手にそんな事を考えながら、セブンスターに火をつけた。
室内は禁煙らしいので、旅行でも窮屈な時代になったものだと感じる。

今日から四日間、ここを拠点に過ごす。
もう一度ベランダへ出てタバコを吸った。
右端まで行き、覗き込むように眺めると、すぐ近くに海が見える。
本当に地図通りの小さな島に来たのだなと実感した。

達彦と斉木が部屋に来て、そろそろ出掛ける準備をするように言われる。
当初スケジュール管理が凄いと言っていたのは、この事か。
時間通りこの場所へ向かえ、次はここで食事しろと雁字搦めらしい。
確かにこれではミサキが例え宮古島に住んでいたとしても、会える時間を作るのは難しそうだ。
仕事を終え帰り道、寒い中先ほどの雪かきのヤバい動画が蘇り、余計に寒く感じた。
マンションへ着くと、早速温かいお風呂に入る。
せっかくだから、真紀美のバスボムを使ってみよう。

赤、黄色、カフェオレみたいな色の三色に分かれたバスボム。
見掛けは派手なアイスのようだ。
カフェオレみたいなのは最後まで取っておきたい。
俺は黄色を使う事にして、熱い湯を張った湯船にバスボムを沈める。
その様子を映像で撮りながら、ゆっくり風呂へ浸かった。
少し身体が温まると、ふと東中野へ行こうと着替え始める。
何となく大きな浴槽へ浸かりたくなったのだ。
健康浴泉へ再び行き、本日二度目のお風呂。
帰り道、焼肉食べようと入った焼肉げんき。
当初そこまで期待していなかった分、とても美味しかった!
肉がいいのかな?

タレがいいのかな?

とにかく一発で気に入った。
軽く食べるつもりがとにかく追加して思う存分食べてしまう。
うん、俺はこの店が大好きなようだ。
また来よう。
ツイッターで俺のかのや記事にいいねしてくれた五島さんの記事を見ていて、東中野に弁当屋がある事を知る。
来たついでに行ってみる事にした。
その弁当屋の名前は『とんぼ食品』。
焼肉でお腹一杯だったけど、でもね、寝て起きたら目の前にお弁当あったら幸せかなーって思ってね。
だからお風呂上がりだけど、近いだろってつい行っちゃった。
中々つかないなあと思って地図を見ると、駅からそこそこある。

東中野から中野まで、半分くらい距離あるじゃない。
でもね、挫けず向かった。
住宅街の中にあるようなので、本当にこんなところに弁当屋などあるのかとグーグルマップを疑い始めたほど。
ようやくとんぼ食品の看板が見えてくる。
すっかり身体が冷えてしまったよ。

「え、ガビーン……」
着いたら今日は休み。
休みって何?
『二月十一日日曜日、十二日月曜日休み取ります。 とんぼ』

え、今日から何故か連休?
とんぼって略して書いてんじゃねえよ……。
俺が悪いのは自覚してるんだけどね、湯冷めしたし、弁当手に入らないし……。
うわわわわーっ!
頭を両手でグチャグチャに掻き乱し、ドラゴンクエストの呪文メダパニに掛かったような状態になる。
この辺りは俺にとって、おそらく禁忌な地域だったのだろう。
自称俳優マンションへ帰ると、真紀美のバスボムを使い三度風呂へゆっくり浸かった。
二千二十四年二月十三日、火曜日赤口。
フェイスブックを見ながら、今日は谷原愛穂の誕生日なのを知る。
永遠に歳の取らない君へ。
『谷原愛穂さん、誕生日おめでとう! 岩上智一郎』
あの忌々しい横浜の二俣川から生還し、二千十六年の十二月再び歌舞伎町へ戻ってきた俺。
当時、愛穂は約束通り、本当にグレンリベットを彼女の店『豚の華』で残しておいてくれた。
一年以上経っていたのにね。
金銭的な余裕はなかったものの、その行為に対し感謝を覚えた俺は何回か豚の華へ行った。
そしてクリスマス……。
彼氏だった中川から一本の電話が掛かってきた。
「彼女が…、高いところから落ちてしまって……」
泣き崩れながら俺にそう言った中川。
原因は分からない。
俺は聞こうともしなかった。
一つだけ理解したのが、ビルから身投げをして谷原愛穂は亡くなったという事だけ。
特別仲良くしていた訳ではない。
少し天然だったけど優しい子だった。
野良猫のにゃん太を土砂降りの雨の中拾ってきた時も、彼女は可愛がってくれた。
異性的なものはお互いなかったが、人間としての彼女を俺はとても好きだったのだろう。
そんな彼女が自殺。
中川からリアルタイムでの訃報を聞き、正直ショックだったが、自分でもどう対応していいか分からなかった。
まだ二俣川から戻ってきたばかりで、金も力も余裕も無い頃というのもある。
ハッキリ記憶しているのは中川の泣き叫ぶような悲痛な声だけ。
以来、俺は彼に対しまた心を開くようになった。
未だ心中は複雑なものがある。
ただそんなつまらないもの以上にもっと悲しいものを抱えた人間が踏ん張っているという事実。
今となってはもう豚の華も谷原愛穂もいない。
生き残った人間同士、身を寄せ合うしかないのだろう。
あの子の年齢は、八年前で止まったまま。
それでも俺は、毎年彼女の誕生日には祝福のコメントを送り続けよう。
二千二十四年二月十四日、水曜日先勝。
世間巷ではバレンタインデー。
甘い時間など皆無な俺にとって、どうでもいい日常に過ぎない。
そんな中、池袋のちかからLINEが届く。
『行き慣れてない街は危ないよね。私恐らく杉並区とかの辺りは絶対迷子になるな…。ゆかりのない区は絶対迷子になる。来てないから逆に覚えてたんかなあ? 岩上さん悪やったとか。フェイスブックで繋がって久しぶりに会えるのって素晴らしいね。岩上さんから何回かそゆところ聞いてるから、羨ましく思う。 ちか』
フェイスブックというよりはSNS全般だよね。
岩上整体の時はミクシィで飯野君と繋がった。
そして先ほどのフェイスブックで神田と無駄な繋がり。
ツイッターででったんといった感じだ。
素晴らしい一面もあるが、毒になる一面もある。
そういえば新宿の地下街サブナードの話をしていたっけ。
俺は悪やった?
学生時代悪かったかという意味合いだろうな。
『俺、二十数年経ってようやく新宿の地下街分かるようになったの。今まで新宿駅から西武新宿駅まで何度トライしても、アルタ裏に出てしまったけど、ようやく何故そうなったのかカラクリが分かったよ。俺はつっぱった事はないよ。部活行かず、ただゲームセンターで遊んでいただけ。久しぶりに会うってこの年齢になったからというのもあるんじゃないかな。若い内は会っても、やれ宗教、やれマルチ商法とかそんなの多い時代ではあったしね。 岩上智一郎』
『地下街の洋食屋行くって言ってたもんね! あそこの地下街難しいよなあ…。この前の撮影前にそこ行って靴買ったよ。可愛い。ゲームセンターでは何してたの? 格闘ゲーム系かなあ? 私ももう少し歳重ねたらあるかな? 結構周り遮断して生きて来てさ。久しぶりに連絡くる人とかそゆのあるよね。 ちか』
彼女とやり取りを時計を見る。
もう少しで十二時になるところだった。
二千二十四年二月十五日、木曜日友引。
『駅からだと、右に進んでから左に曲がるんだよね。真っ直ぐ進もうとするから、アルタ裏で終わっちゃう。俺が中学生の頃は格闘ゲーム自体ないよ。ストⅡとかは二十歳くらいになってから。SNSとかネットの発達で便利な世の中になってきてるからね、いくらでも昔のとかあると思うよ。まあそれに関わるか関わらないかはすべて自分自身の判断なだけなんだけどね。俺が中学の頃は、グラディウスとか、パックランドとか、まだドット絵の時代。 岩上智一郎』
まるで恋人のように他愛ない日常のやり取りを交わす俺たちであるが、実態は飲み屋の女とたまにしか行かない客というだけ。
ちかとはそのぐらいの距離感を保っていた方がいいだろう。
『どの辺やろ…、サブナードのところが難しいよね。ストⅡ懐かしい! 私が小学生の時に流行ってたなあ。間違いないね….、私未だにSNSも遮断してる気がするなあ…。とゆうか、SNSの方が遮断してる気がする。よくないね…。パックマン懐かしい! 格闘ゲームではないけど、レバーとボタンぽちぽちするやつよね? ちか』
彼女へサブナードの行き方のコツを教えてあげる。
『いや、SNSは無理してやるもんじゃないし、俺もミクシィ時代、一度辞めてるもん。パックマンでなく、パックランドね。パックマンから発生した別ゲームだけど、このゲームはレバー無くて、前後のボタンとジャンプボタンの三つしかないの。 岩上智一郎』
懐かしの連繋寺にあったピープルランド、そしてニチイにあった四階の意地悪そうなジジババのゲームコーナーの思い出。
『あ、そゆことか! 私いつも一回上上がってからサブナード通ってたかも。いつも地下街迷う。なんか嫌になるよね。見張られてる感とゆうか。そうなんや、そしたら初めてみたなあ…! あれやんね、五十円ワンプレイ的なところのゾーンにあるよね! ちか』
『俺もこれ分かるまで二十年掛かった。見られてるのはいいんだけど、当時小説の論争で作者はこうでなきゃいけないとか、馬鹿な奴多かったの。だからそれで一度嫌気さしてね。五十円一ゲームもあったけど百円でニクレジットの店もあったよ。往年のゲームセンターの雰囲気が当時大好きでね 岩上智一郎』
『むずいよね。多分未だに一回も外出ずに駅構内だけで歩くの不可能やもん…。なるほど…勝手な読者や周りのイメージがね。今なんかはかなり自由度が高いやろうけど。男の人好きな人多いよね! あのゾーンは中々女一人じゃ入れへんかったなあ。もう今じゃないよね? ちか』
『一回構造分かると、「あっ、こんな事だったんだ」ってなるよ。この作品を書いた作者には、こうあってほしいとか押し付けが酷かったね。当時のゲームセンターで、女性見た事無いかも。もうあの頃のあの雰囲気のゲームセンターは無いだろうね。 岩上智一郎』
『今度一回も外出ずに行ってみよう…毎回区役所通り行くのに迷うからさ。勝手なイメージよね。漫画読んでアニメの声優がイメージと違う!みたいな無茶クレーム的なね。 ちか』
『一度分かると、こうなんだって分かると思うよ。しまいには「岩上先生は人に謝った事あるんですか?」とか、お門違いな事まで言われたからね。ストⅡからだよね、斜め型のテーブル筐体出始めたのは。昔は全部平らなテーブル式筐体しかなかったよ。 岩上智一郎』
『新宿マスターに俺はなる! て感じで探索してみよ。え、なんでそうなった? 自分の非を認めなさいよみたいな感じ? イメージと違うことが非なわけないだろ! そうなんや…! 私ストⅡからしか知らんなあ…。今なんか斜めのやつもないもんね。 ちか』
改めて彼女へ送った自分の文章を見直すと、いかに支離滅裂化分かる。当時のミクシィの記憶が、未だ心の根底の片隅にこびりついているのだ。
一時は小説の師として崇めたしほ。
彼女は俺の小説に対し、何を求めたのか?
人間性まで色々言われ、ムキになった俺は彼女との関係を壊す方向へ走ってしまった。
あれから十数年経つが、未だにあのやり取りを思い出す。
先日の『。』の一連の騒動。
あれで高校時代の同級生というセクラクララはマイミクを外れ、俺の前から去っていった。
しほさんが、あれでいかに怒ったメールを寄越したか何となく想像で分かる。
しほちゃん
じゃあ私も正直な感想を。
女性だからかばってるわけじゃないんですよ。
本当に何で、トモさんがあのコメントでそんなに怒るのか、さっぱり判らないんです。
間違った事ひとっことも言ってないですよね?
他の人達のコメントはただ、トモさんの言った事に関して「頑張ってね~」って応援コメント言ってるだけですよね。
あの人もあの人なりに考えて、応援コメント言ってるとしか読み取れないんです。
悪意なんて感じません。
それをなぜあそこまで歪曲して捉えるかが、さっぱりわかりません。
ぎーたかさんにしても、あの人の意見にしても、私言ってる事も、間違っていないと思います。
それをトモさんが吊るし上げみたいにして、わざわざ日記に取り上げて非難するような記事を書いてるのを見ると、正直「何でそこまで?」って思います。
他の人に対しても、そうなのかなと。
ちょっとでも気に障るような事、触れて欲しくないような事、否定的な事を言っただけで、頭がおかしい人扱い?
ちゃんとしたコメント返してるのは、どっちなんでしょうか
トモさんはいつも調子よく頑張ってね!って言ってくれる人しか嫌なんでしょう?
ネットの付き合いは、それでもいいと思いますよ。
でもね、付き合うか付きあわないかは別として、方法がないですか?
自分が嫌だと思ったら、つべこべ言わずにアクセス制限して何食わぬ顔してればいいじゃないですか。
別に取り上げて、皆の前で公表しなくてもいいでしょう?
ああいう記事を見て、どれだけの人がトモさんに共感すると思いますか?
表面上「大変ね~」「色んな人がいるよね~」「気にしないほうがいいよー」っていうけど、内心は「この人面倒くさい人だなっ」って思うのが関の山です。
自分が同じ目に遭うのが嫌だから、適当な付き合いをするか、付き合いを避けるか、どっちかですね。
結局、トモさんが損をしてるんですよ。
人の悪口を言う人って、友達になりたくないでしょう?
こういう事を言うのすら、きっと面倒だからそのままマイミク切っちゃうと思います。
私もね、あんな記事ばかりだと正直コメントするのも嫌なんです。
見るのもやだ。
だから自然とトモさんに批判的で冷たい対応になるんです。
行くのやめようかなとか、このままフェードアウトしようかなとか思いました。
でも、わざわざメッセージ送ってくれたので返しておきます。
もう一回良く考えてみて下さい。
色んな人がいる世界です。ネットの世界は言葉だけです。
だからこそ、言葉が与える意味を考えて。
自分がちょっとした事言われて嫌ならば、自分の書いた記事が人にどんな影響を与えるかも考えて。
これを見て、何だこの女…って思ったら、私もマイミク外してもらってかまいません。
岩上智一郎
正直、分からないですよ、人間が。
いつ裏切られるかとか、またニコニコ近づいてきて土壇場で利用しようとしているんだろうなとか。
確かにネット上でああいった記事は良くないなと感じました。
だから前に辞めようと思ったんですね。
俺には協調性なんて無いし、いても周りを嫌な気分にさせるだけだし。
ぎーたかに関しては、感謝すらしていますよ。
彼女のところの紹介文にそれは書いたつもりです。
ちえみに関しては、粘着でずっとしつこくされたあと、あのコメントだったんで、嫌がらせにしか見えませんでした。
だって開業してて、三日客が来なかったらそっちに本腰入れるのは当たり前だと思うし。
それをブログにまでしつこく来たから、いい加減にしろよ、この女ってあのように怒ったんです。
セクラクララにしても、ぎーたかにしても、しほさんにしても、何でマイミクを俺から切って下さいって言うのか分からないです。
散々嘲笑され、罵倒されてきたので、結果を出した事にまであれこれ言われるのが嫌いなんです。
だから過剰反応してしまうのかもしれません。
確かに見苦しいだけですよね。
別にイエスマンだけを求めている訳じゃないですよ。
ちゃんと意見するなら、俺は聞く耳は持っているつもりでした。
ただ、みんなのコメント見ると、やはりミクシィとかからは、消えたほうがいいのかなと考えています。
しほちゃん
何故だか分かりませんか?
トモさん、いままで自分が間違ってた、御免なさいって謝った事ないでしょう。
取り敢えず私と出会ってから今まで。
ネット上だけでいいです。
言葉をくれた事に感謝はしてるって言っても、そんな言葉じゃ意味ないんです。
皆、トモさんに本音を言ってもどうせ聞いてくれないんだろうなって思ってるからです。
諦めてるというか、見限っちゃうんですよ。
この人、駄目だって。
だから変わらないんだったら、もういいよ。
性格が合わないんだな。
縁がなかったんだな。
考え方が違うんだな
仲良くは慣れないんだなって思ってるんです。
それでも自分からバイバイって言わないのは、トモさんの事が好きだからです。
トモさんが「そうだね。俺がいい過ぎたよ。ごめんね、嫌な思いさせて。」って一言でも言ってたら、「こっちこそ言い過ぎて、ごめんなさい」ってなるんです。
反論に反論しか返してこないから諦めるんです。
分かります?
私はトモさんの作品が好きです。
凄く可能性を秘めた人だと思います。
だからこそ、人を攻撃して傷つけるようなトモさんを見るとがっかりしてしまう。
好きだから、がっかりするんです。
好きだから意見するんです。
でも聞いてもらえないから去っていくんです。
まだわかりませんか?
もちろん好きって言っても、色恋の意味じゃないですよ。
みんな、どこかトモさんに惹かれてきた人じゃないですか。
作品とか、人柄とか。
色恋も利益もしがらみもなんにも絡まない人たちの言葉がどれだけ真実か。
トモさんにはわかりませんか?
わかりますよね。
だから去っていくのが分からないし寂しいですよね。
自分がいつも正しいと、思わないでください。
いつでもどこでも自分だけが正しいなんて思ってないでしょう?
本当は。
でも文章読んでるとそんな風に思っちゃうんです。
だから、よく考えて欲しいって言ったんです。
反論よりも真正面から謝ることっ!
できます?
しほさんには本当に感謝している。
でも、このメールに関しては苛立つ自分がいた。
俺は『。』について怒っただけだ。
それに対して周りは、俺が違うとコメントしてくる。
当然俺の事を思ってというのは自覚していた。
ただ、みんな何故俺を表現者だからと、これは駄目、あれは駄目と型に嵌めようとするのだろうか?
考えれば考えるほど、酷い苦痛だった。
謝った事ぐらい、いっぱいある。
そこまで俺は頑固じゃない。
しほさんは何故、俺に謝罪を要求するのだ?
自分自身そこまで悪い事をしたと思っていない件で、みんなの前で頭を下げる……。
表現者、物書き、小説家、作家…、色々な呼び方はあるだろう。
ただ俺は小説で、まったく金をもらえていないんだぞ?
小馬鹿にしてくる奴をミクシィで晒して、何が悪いんだ?
『。』の一連のコメントが、悪意を感じない?
そんな事さえ、俺は思っちゃいけないのか?
表現者だから、受け入れろ?
だったら小説家などそんな邪魔な称号なんていらない。
俺はこのメールに対し、しほさんへ返信をできなかった。
俺なりの変なプライドが出たミクシィの記事。
しほさんの言うように、とりあえず謝る。
そのあとに謎の空白をかなり入れた。
この空白にはみんなに見せてはいけない見えない俺の本音が凝縮している。
せめてもの俺の矜持だった。
この記事を見た彼女は、そっと俺のマイミクから消えた。
「……」
しほさんへ何の返事も出せない俺。
もっと作品を指摘してもらい、もっと感想を色々言って欲しいのに……。
ただ、俺は操り人形ではない。
作家の前に、一人の意思を持った人間なのだ。
自尊心が自身の動きを止める。
彼女は以前言っていた。
本当に頭に来たら、何も言わずにそのまま消えると。
俺の行動に対し、ガッカリさせてしまったのだな……。
大切な何かの破れる音が体内から聞こえた。
その現実を目の当たりにした俺は、しほさんとの師弟関係が終焉したのだなと悟る。
随分小説家としての成長をさせてもらった。
本当はこれからだって、もっと成長したかった。
感謝だって数え切れないほどしている。
でも、現状の俺からしたら、酷く辛い。
家の事も加藤皐月が出て行ったにしろ、月に一度は戻ってくる。
弟の貴彦と内緒で養子縁組した叔母さんのピーちゃんとは、仲良くするのは絶対に無理だ。
親父は相変わらず傍若無人。
俺は無職なまま。
こんな状況下にいて、まだみんなの前で謝らなきゃいけないのか?
しほさんを失いたくなかったから、あのような謝罪記事を書いた。
意味のない空白をあえて入れたのは、俺のせめてもの意地。
それにしても、本当につまらない意地を張ったものだ。
一番失いたくなかった人を俺のエゴで、根底から呆れさせてしまったのである。
小説の師匠と仰いだ人間との決別。
何だか淋しいなあ……。
いつまで経っても俺は馬鹿なまま。
本当に馬鹿は罪である。
あれほど意固地になった自身の作家への矜持。
それさえもそれから十三年間、文学から離れている自分がいた。
あの三十代半ばだった俺と、五十二歳になった俺。
まだ小説へ向き合っていた分だけ、昔のほうがマシだったのではないだろうか?
先日斉藤龍顕先生と会った時、またいずれ俺は作品を書くようなニュアンスを言われた。
しかし現実は宙ぶらりんなまま、悪戯に時間だけが過ぎていくだけ。
明日は赤心堂病院で、心筋梗塞の定期健診。
こんな俺に生きる価値などあるのだろうか?
答えを見つけられないまま、俺は明日川越へ帰るのだろう。
二千二十四年二月十六日、金曜日先負。
電車に揺られながら川越まで向かう。
これで何回目になるのだ?
コロナワクチン接種後、翌日の心筋梗塞、そして一週間後に二度目の心筋梗塞で死に掛け命を失い掛けたのが、二千二十一年十月二十五日。
あれから三年近く俺は心臓の薬を飲み続け、三ヶ月に一度のペースでこのように通う。
自殺願望もないくせに、生死について自問自答を重ね、永久に答えの出ないものをダラダラと考えるだけ。
神がいるとしたら、何故こんな俺をあの時生かしたのだろうか?
本当に今でも不思議だ。
赤心堂病院で心筋梗塞の定期検診が始まり、いつものように採血を取る。
一時間辺りで検査の結果が出るのでそれから診断になり、薬をもらう。

あとは処方箋を出してもらい、薬を作るのに時間が掛かるので、後輩のヤスのカガヤカフェへ向かう。
地元へ帰るとお決まりの定番コース。
そこでコーヒーを飲み、加賀屋でおばさんと最近の日常を伝える。
手島さんのまことやで太麵焼きそばを食べて、カテーテル談義。
お互い心筋梗塞を経験しているので、あの時はどうだったと体験者しか分からないであろう話を笑顔でする。
これもこうして生きているからこその会話。

再びカガヤカフェに戻り酒を飲んでいると、久しぶりにタロッチ先生と遭遇。
いつだったかこの店の路地裏でタロット占いをしてもらった事がある。
確かここ数年のゴールデンウイークで岡部さんと来た時だった記憶があるものの、ハッキリ覚えていない。
占いで支離滅裂になり現在は休んでいると聞いていた彼女の顔を見て、一発で何か深い悩みがあると分かる。
会話をしていても焦点が定まらず、どこか夢遊病者のような感じに見えるのだ。
間違いなく病んでいる。
それが分かっていても、こうした一期一会の遭遇ではできる事など限られてしまう。
俺はなるべく明るく馬鹿げた話題をしながら大いに笑い、彼女を笑顔にさせるように心掛けた。
帰る際「元気を分けてもらえました」とお礼を言われたが、実際の俺も張子の虎のようなもの。
何の根拠も実態もないくせに、余裕あるように笑顔を見せ周りに格好をつけているだけなのだ。
三ヶ月分の薬を取りに行き、自称俳優マンションへ戻る。
また明日からインカジ『レディ』の日常は始まるのだ。
俺はちかとやり取りをしながら、いつの間にか眠ってしまった。
二千二十四年二月十七日、土曜日仏滅。
暇な業務中インターネットを眺めていると、北朝鮮関連のニュースを目にする。
北朝鮮キム・ヨジョン氏 “岸田首相の本心見守る” と談話発表。
北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記の妹、キム・ヨジョン(金与正)氏は「すでに解決された拉致問題を両国関係の障害物としないのであれば、岸田首相がピョンヤンを訪れる日が来るかもしれない」などとする異例の談話を発表しました。
「岸田首相の本心をもう少し見守るべきだ」として、日本側の今後の出方を見極める姿勢を示しています。
岸田総理大臣は、2月9日の国会の衆議院予算委員会で北朝鮮による拉致問題をめぐり「今こそ大胆に現状を変えていかなければならない。さまざまなルートを通じて絶えず働きかけを行っており、結果につなげるよう最大限努力したい」と述べました。
これについて、キム・ジョンウン総書記の妹、キム・ヨジョン氏は15日夜、国営の朝鮮中央通信を通じて談話を発表しました。
談話では「すでに解決された拉致問題を両国関係の障害物としないのであれば、両国が近づけないわけがなく、首相がピョンヤンを訪問する日が来るかもしれない」と指摘しました。
ただ「これまでのところ、わが国の指導部は日本との関係改善のためのいかなる構想も持っておらず、接触にも何の関心もないと理解している」としています。
一方で談話は「岸田首相の本心をもう少し見守るべきだ」として、日本側の今後の出方を見極める姿勢を示し、含みも残している形です。
キム総書記の意向を踏まえてメッセージを発することが多いキム・ヨジョン氏は、今回の談話について「個人的な見解であり、公式に朝日関係を評価する立場にはない」としていますが、日朝関係について談話を発表するのは、極めて異例です。
拉致問題が解決?
何抜かしてんだ、コイツ……。
ミサイル何度も打って、拉致した人間を返さないような国など相手にするな。
別に俺は右翼でも何でもないが、同じ日本人の横田めぐみさんを始め、複数の人間が北朝鮮へ拉致されたのを知っている。
あまりにもあり得ない非人道的な行為をしながら、何十年も経って未だ解決できない不可解さ。
それを解決せずに、友好関係もクソもないだろう。
イライラしながら肉でも食べるかと東中野へ向かった。
またギンザ通りにある焼肉げんきへ入る。
前回は老夫婦で営んでいたが、今日はショートカットの可愛い子がホールで働いていた。

活発に明るく動く姿を見て、俺は小川誉志子を連想させる。
あれはまだ自分が二十代前半の頃……。
浅草ビューホテル時代、可愛いなと思っていた小川誉志子とは辞める前に連絡先を交換していたので、たまにデートを重ねている。
何度も会っているのに、フラレるのが怖く、いまいち仲は進展しない。

異性に対し、どこか臆病な俺。
一度彼女を連れ、歌舞伎町西武新宿駅のところにある新宿プリンスホテルへ行かないか誘う。
一緒に向かい、地下のイタリアンレストランのアリタリアへ行った。
「いらっしゃいませ」
出迎えるホテルマンの顔を見た瞬間、俺も相手も思わず大声を出して固まる。
出迎えたホテルの支配人は毎日プロへ数名で来る集団客の一人である鎌田さんだったのだ。
彼は俺が女性を連れてアリタリアへ来店したのを快くもてなしてくれ、二人なのに八人掛けテーブルへ通される。
コース料理を頼んだだけなのに、テーブルに置ききれない量の料理や酒をこれでもかと並べた。
大食漢の俺が半分も食べられない量。
他のホテルマンも鎌田さんが報告したのか、俺の席へ笑顔で挨拶に来た。
そのすべてプロに来る人たちである。
帰りにいくら請求されるのか冷や冷やしたが、鎌田さんは「六千円ちょうどでいいですよ」とかなり安くしてもらう。
誉志子に対して本当に格好良く見えるようお膳立てしてくれたのだ。
あの子は今頃どうしているだろう?
俺の確か三つ年下だったから、誉志子も五十歳になっているのかよ。
イギリスへ行くとか当時言っていたけど、本当に無縁になってしまったな。
肉を焼きながら、げんきの女性店員を眺め、若かりし頃の誉志子の姿に重ねる。
何だか俺も、本当に歳を取ってしまったのだなと痛感した。
二千二十四年二月十八日、日曜日大安。
俺にとってそこそこゲンのいいレースであるフェブラリーステークスが開催される。
あれはいつだったろうか?
確か二千二十年のラッキーハウスの時代だから、もう四年も前になるのかよ……。
当時横浜のパチンコ屋で打ちながら当てたあのレースの回想。
それにしても回らなくなったシンフォギア。
金が減っていく一方だ。
もうこれで帰ろうかな……。
あ、フェブラリーステークスそろそろ終わり、結果が出ているだろ。
俺は携帯電話でレースの結果を確認した。

あれ、当たっている?
六万五千六百円賭けて、十四万二千八百七十円になっているぞ。
12ー15の馬連とワイドが三百円ずつ当たっただけで、十四万になったのか?
ケイティブレイブ、頑張って二着に来たのかよ!
9番のサンライズノヴァも、単勝三番人気なんだから、三着に来るなら買っておけばよかった。
まあ後の祭りか。
俺の買い目は、一着二着四着。
まあいいか。
ズバリまではいかないが、取ったぜフェブラリーステークス!
見たか、ラッキーハウスの馬鹿共め。
しかし最終オッズで見てみると、四着ハナ差で負けた16番ワンダーリーデルが、もし三着に来ていたら、三連単オッズ12-15-16で、百円の馬券が五千二百七十九万。
俺は各三百円買っていたから……。
一億五千万取れてたのになあ!
この事を悔しくてフェイスブックへ投稿すると、すかさず佐藤バンさんがコメントをしてくる。
『七十六万。千九百五十掛ける三だよ。 佐藤 直樹』
桁が三つも違うじゃん。
俺、馬鹿な事書いてしまったなあ。
考えてみれば、最下位人気のケイティブレイブが絡んだから万馬券になっただけで、あとは一番人気のモズアスコットと七番人気のワンダーリーデルだもんな。
いくら三連単とはいえ、五千万何て配当つく訳がないのだ。
それにそもそもこの組み合わせは来ていないし……。
あれ以来俺、まるで当たっていないからなあ。
それでも今回はそろそろ当たりが来るような気がした。
それも恐ろしいほどの荒れ方で決まるような倍率が……。

虎視眈々と都合のいい想像をしながら馬券を買う。
仕事を終えてからレース結果を見てみる。
「え、ちょっと待ってよ…。何これ?」
思わず漏れる独り言。
7番ガイアフォースと8番セキフウは買えても、9番のペプチドナイルは買えないでしょ……。
三連単配当が、百五十三万五百円。
五百円買っていれば、七百六十五万二千五百円……。
11番、5番、13番人気の馬なんて、そんなの買える訳ねえじゃねえかよ。
夢破れて山河も何もないが、俺はこれからもまた地道に生きていかなければならないようだ。

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