スタディングからTACに乗り換えた結果【税理士試験の現実】
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税理士試験は、どの予備校・教材を選ぶかで合格までの道筋が大きく変わる。2022年に受験を決意し、初年度はスタディングだけで簿記論と財務諸表論に合格。このときは「このペースで税法も全部行けるだろ」と思っていた。
しかし2年目に税法3科目(法人税法・相続税法・消費税法)を受験して全落ち。計算問題の複雑さと理論暗記の範囲の広さに完全に打ちのめされた。3年目は腹を括り、TACのWeb通信講座(消費税法・経験者コース)に乗り換え。1年間使った結果と、他校との比較を整理する。
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① 授業内容・教材の質
TACに切り替えてまず感じたのは、講師のレベルの高さ。知識量だけでなく、説明の順序や例え方が的確で、「なぜそうなるのか」が腑に落ちる瞬間が多い。特に税法の計算では、数字の流れや税制改正の背景まで噛み砕いて説明してくれるので、暗記ではなく理解ベースで定着する。
この教え方の上手さは想像以上で、もし今回合格できていたら、わざわざ東京の校舎まで行って直接お礼を言いたいくらい。関西在住でも行きたいと思わせるほどの価値はあった。
教材構成はかなり充実している。1月以降はテキスト4冊、トレーニング(問題集)4冊、理論マスター、理論ドクター、直前対策用のテキスト、小冊子の「合格情報」が届く。経験者コースの年内部分は紙ベースのレジュメと問題が中心で、基礎固めの段階から紙教材に慣れていける仕様になっている。
テキストは通達もある程度カバーされており、講義の中で講師が「これは試験で必要」「これは不要」と取捨選択を明確にしてくれる。このフィルタリングがあるおかげで、学習範囲の優先順位がつけやすかった。
自分は受講前に市販の理論マスターを先に購入していたので、講座申し込み後に届いた講座配布版と合わせて2冊になった。違いとして、市販版は重要部分が赤字で印刷されており、暗記の際に赤シートで隠せる仕様。一方、講座配布版はすべて黒字で印刷されているため、赤シートは使えないが見やすい。
理論マスター
理論ドクター(こっちもレイアウトは市販と講座配布版で違う可能性あり)
理論マスター(理マス)の更新スピードも早く、法改正や新論点の反映が速い。2024年試験で出題された媒介者特例も、翌年版の理マスにはきっちり追加されていた。こうした改訂対応の早さは安心感につながる。
一方、スタディングも今後に動きがある。2025年9月(2026年受験向け)から大原から講師を招くという話があり、この体制強化は正直期待している。これまでのスタディングは効率重視で講義がコンパクトな反面、応用的な説明が少ない印象だったが、大原系の講師が入ることでその弱点がどこまで補強されるか注目している。
② 学習サポート体制(質問しなくても得られる支援)
TACでは一度も質問をしなかったが、それでもサポートされている感覚はあった。理由はカリキュラムの作り込み。講義の進行と答練スケジュールががっちり組まれていて、「この週はこれをやる」が自動的に決まる。復習課題や模試の日程も全て織り込まれており、やる順番に悩む時間がほぼゼロ。
スタディングは自分のペースで進められる自由さがあるが、スケジュール管理も自己責任。忙しい時期は「今月ほとんど進んでない」事態になりやすい。質問をしないタイプにとって、TACの“やることが決まっている環境”は目に見えないサポートとしてかなり有効だった。
③ 学習形態の選択肢
TACは通学・Web通信・DVD通信・資料通信と形態が豊富。Web通信では倍速再生が可能で、試験直前までアーカイブ視聴できるため復習もしやすい。
最終的に講義動画は2回視聴。1回目は学習初期のインプット用、2回目は試験前1か月ほどの時期に総復習として見返した。同じ講義でも、最初と最後で理解度や着眼点が大きく変わっていた。
スタディングは完全Web完結で、スマホやタブレットからいつでも学習できる。特に移動中や外出先での勉強に強く、机に向かえない日でも講義視聴や問題演習が可能。ただし短時間学習が得意な設計のため、長時間腰を据えて学ぶスタイルとは少し相性が分かれる。
④ 料金と割引制度
TACの消費税法経験者コースは定価145,000円。入会金免除(▲10,000円)+株主優待券(▲14,500円)を利用して、最終支払額は130,500円。安くはない。
スタディングは5万円程度と圧倒的に安く、簿財レベルならこのコストが最大の武器。ただし税法で必要な演習量や講師サポートを考えると、TACの価格にも意味はある。
⑤ 合格実績・模試の活用
スタディング時代は模試を一度も受けず、実力を客観的に測る機会がなかった。本番での立ち位置も分からず、ぶっつけ本番感が強かった。
TACでは、Web受講だと模試は自宅受験がデフォルトだが、あえて校舎受験に切り替えた。知らない受験生と同じ空間で受ける緊張感は本番に近く、自宅受験では得られない集中状態になる。
TAC生が大原など他校の模試を受けるのは計算練習としては有効だが、理論面ではやや危険。TACの理論マスターと大原の理論サブノートは構成や表現が微妙に異なり、暗記の型がぶれる可能性がある。理論対策の終盤期にやるなら慎重に。
最終的に模試はTACで1回だけ受けたが、それでも「人前で時間内に解く」経験は本試験の精神面で効果があった。
⑥ 演習・アウトプット機会
TACの強みは答練・模試の量と質。毎週の演習で基礎を固め、応用問題も早い段階から繰り返し解く流れになっている。税法は「分かる」より「時間内に解ける」が重要で、その練習量を確保できるのは大きい。
ただし、TACは「答練は3回繰り返そう」という方針ながら、送付される問題用紙は2回分だけ。解答用紙はPDFで入手できるが、特に計算問題は紙の問題がないとやりづらい場面がある。自分でコピーするか工夫が必要。
スタディングは問題もPDF形式で提供されるが、A4サイズ前提で作られており、計算スペースやレイアウトはやや微妙。短時間演習や隙間学習には向くが、本番形式の書き込み練習には少し物足りない。
⑦ 他校との違い
大原は条文をより噛み砕いた形で進める傾向が強く、理論暗記のフォローも厚い。TACよりも授業進行はゆったりで、全体的にアットホームな雰囲気。講師との距離感も近く、対面でのやり取りがしやすい。
クレアールは短期合格狙いの効率型カリキュラムで、必要最小限の範囲に絞って徹底的に反復するスタイル。
スタディングは完全Web完結型で、低コストかつ開始までが速いのが強み。簿財のような計算科目には十分対応できるが、税法では計算・理論ともに演習量と深掘りが不足しがち。講師は科目ごとに外部から招いており、消費税法は大原から、相続税法は別の学校から、という形になっている。今後は2025年9月からの体制強化で質の底上げがどこまで進むかがポイント。
TACはその中間で、演習量・理論・計算をバランス良く鍛えるタイプ。条文解説は大原よりやや実務寄りの角度で進み、模試や答練を通じた競争環境が整っている。通信でも力は付くが、通学はさらに質問機会が増える。
⑧ 実際に使ってみた感想
良かった点
講師の説明レベルが高く理解度が上がった
計算・理論の両方を体系的に整理できた
模試や答練で全国順位が出るため位置が把握できた
最新論点への対応が早い
微妙だった点
割引を使っても価格は高い
講義が長めで効率重視派は退屈に感じる可能性
模試・演習の量が多く、こなせないと消化不良になる
まとめ
スタディングは効率とコストの面で強く、簿財のような計算科目では十分戦える。ただし税法は理解と演習量がものを言う領域で、TACの強みが活きる。
乗り換えの価値はあったが、財布には優しくない。それでも、合格に必要な環境を整える意味では悪くない投資だった。
本番の手応えは正直微妙。ただ、不思議と「もう一回消費税を受けても苦ではないかも」と思えている。講義や演習での学びが楽しかったからで、受験科目への苦手意識が減った証拠かもしれない。
※この記事は2025年8月12日時点の記録。消費税法の合否は2025年11月28日(金)に発表予定で、結果が出次第アップデートする。
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