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ドナルドのバカ ~あるアメリカ大統領の愚行録~ その②ドナルド、見習い時代に師と出会う

この物語は、架空のアメリカ大統領ドナルド・カーズが主人公の完全なる創作フィクションです。実在する国、人物、団体、組織などとは一切関係はありません。あらかじめご了承ください。

学校を卒業したドナルドは、父の不動産会社で見習い(アプレンティス)となる。
ただ、父は優秀だったドナルドの兄を高く評価し、ゆくゆくは自分の後継者にと考えていて、ドナルドには管理するアパートメントの家賃徴収の仕事しか与えなかった。
ドナルドはこの仕事に強い不満を感じていたが、父に物申すことはできなかった。
そこでドナルドは、閉鎖された古いホテルの土地に新しいホテルを建て、父に自分を認めさせようと考えた。
しかし父はハナからドナルドをバカにしていたため、まったく相手にしてくれない。
さらに、管理するアパートメントが人種差別をしていると、N.Y.市から訴追されてしまう。
そんな八方ふさがりだったドナルドを救ったのは、偶然バーで知り合った弁護士のローンだった。
このローンとの出会いが、その後のドナルドの人生を大きく変えることになる。

ローンは1920年代後半に生まれ、元々は検察官だった。
厳しく犯罪者を追求するその姿勢が評価され、彼は戦後にアメリカで吹き荒れた「赤狩り(レッド・スケア)」の中心的人物となる。
彼によって、ソ連のスパイとして処刑台に送られた者は数多く、その厳しい尋問手法も恐れられていた。
ローンは単純に被疑者を尋問するだけではなく、審議の場である公聴会に向けてさまざまな工作を行い、都合のいい情報だけを意図的にリークしてメディアへの情報操作も行った。
さらにローンは、連邦政府内の同性愛者も国家の安全保障上重大なリスクとなっている、と主張し、同性愛者を糾弾する「ラベンダー・スケア」も行った。
これにより数千人単位の連邦職員が職を失っている。
だが、あまりにも強引なローンの手法に次第に国民が引き始め、ローンが知人の徴兵時に特別待遇を求めた事が引き金となり、失脚することになる。
その後ローンは弁護士となるが、「赤狩り」時代に築いた政治家、司法関係者、メディア関係者との強い人脈を活用し、主にロビイストして暗躍した。
歴代大統領のエクソンやリーガン周辺とも強い関係を持ち、同時にN.Y.を仕切る裏社会とのつながりも強く、まさに無敵のフィクサー状態だった。

ドナルドがローンと出会ったのは、1970年代前半だ。
ドナルドの父は、黒人は家賃を滞納する可能性が高いから、できるだけアパートメントに入れるな、追い出せ、とドナルドに指示した。
父の言うとおり、ドナルドは難癖をつけて黒人住人を追い出そうとしたが、その事で州政府から人種差別をしていると提訴されてしまう。
ドナルド的には、人種差別ではなく単純に家賃の支払いリスクで住民を選別しているつもりだったが、父親から「黒人」と指定され、実際黒人を排除しようとしていたのだから、その抗弁は通用しなかった。
州政府は入居に対する黒人差別の排除を求めてきたが、その要求を受け入れれば父の怒りを買う事は間違いなく、いつまでたっても父に認めてもらえない。
困りはてたトランプを救ったのが、ローンだった。

ローンはまず、州政府を逆提訴するようにアドバイスする。
ここで重要なのは、逆提訴で勝利する事ではなかった。
訴訟を起こされたら必ず逆に訴訟を起こすことで、相手が容易に訴訟を起こさないようになる、それが目的だった。
ローンの戦略は以下の4つだ。

・先制攻撃をする
・先に攻撃されたら必ず即座に反撃する
・絶対に間違いや負けを認めない
・有利に立ったら容赦なく相手を完膚なきまでに叩き潰す

ローンはさらにメディアを駆使し、州政府との訴訟合戦がもめにもめているように報道させる。
結果、「ドナルドは面倒なヤツだ」と言う印象が広まり、真っ向からケンカを仕掛けてくる者はいなくなった。
この訴訟が、のちのドナルドの人格形成に大きく影響を与えた事は間違いない。
ひょっとするとドナルド、この逆提訴による成功体験によって、常に訴訟を抱えていないと不安になる強迫観念に、今でもとらわれ続けているのかもしれない。

③に続く
ドナルドのバカ ~あるアメリカ大統領の愚行録~ その③ドナルド、「無敵の不動産王」と呼ばれる

最初から読む
ドナルドのバカ ~あるアメリカ大統領の愚行録~ その①ドナルド、学生時代にカリスマになる

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ラーメンと競馬と映画がたまらなく好きです。 こんな辺境の文章を読んでいただきまして、本当にありがとうございます!