毎日、夫に恋する生活を。― すれ違いの中で見つけた、たった一つの習慣 ―|2026.02.01
毎日、夫に恋する生活を。
― すれ違いの中で見つけた、たった一つの習慣 ―|2026.02.01
はじめに
このエッセイは、
国際結婚と、海外生活と、マルチリンガル育児の中で、
私が日々つまずきながら、
「わたしらしく生きる」ための実験の記録です。
「毎日、夫に恋する生活を。」
2026年の元旦に、そう決めて、
「今日の夫の好きなところ」を、
一つだけ、言葉にしています。
それだけで、同じ一日が、
少し違って見えることがあります。
完璧な妻でも、理想的な母でもありません。
それでも、結婚と子育てを通して、
女性として、妻として、母として、人として、
成長していきたいなと。
今日もこの記録が、
誰かの生活の中の、
小さな呼吸になりますように。
「毎日夫に恋をする」を始めて、一ヶ月。
今日は、少しだけ特別な記事を書きます。
普段は、恋する視点から切り取った日常を静かに綴っていますが、
今日は少し違う角度から。
今の私たちに至るまでの道のりを、
うまくいっていなかった頃の話も交えながら、
まっすぐ書いてみようと思います。
もしあなたが今、
パートナーとの関係に少し疲れていたり、
産後の変化の中で自分を見失いかけていたり、
喧嘩ばかりの毎日に「もうダメかも」と思っていたりするなら。
この記事は、そんなあなたに向けて書きました。
カウンセリングでも、ノウハウでも、
「こうすれば夫婦円満になれる」みたいな正解の話でもなくて。
ただ、うまくいかなかった私たちが、
どうやって少しずつ日常を取り戻していったのか。
その生々しい記録です。
きれいごとだけじゃ、たぶん届かない。
だから今日は、恥ずかしいところも、情けないところも、
そのまま書くことにしました。
去年の今頃、私たちは旅行に行っていた。
「去年の今ごろ、私はどんな毎日を送っていたんだっけ」
そんなことを思いながら、携帯の写真アルバムを遡っていました。
ちょうど一年前の同じ時期、
私たちはベトナム南部のフーコック島へ、
家族三人で旅行に行っていました。
生後間もない新生児を連れての、慣れない家族旅行。
観光地としては有名だけれど、便利とは言えない。
でもその不便さも含めて、
非日常を味わえる場所でした。
走る夫と、待つ私。
当時の夫は、トレイルランニングにすっかりハマっていて、
時間さえあれば走っていました。
フーコック島でもある朝、
2リットルの水を背負い、まだ暗い朝3時に走りに出ていって。
8時になっても帰ってこない。
9時になっても連絡がない。
10時を過ぎたころ、さすがに心配になっていたところで、
ようやくメッセージが届きました。
「今からホテルに戻る」
それだけ。
新生児のお世話で寝不足の私を置いて、
何の連絡もなくお昼前まで帰ってこない。
家族三人で楽しみに来ているはずの旅行なのに。
すでにモヤモヤした一日が始まっていました。
全部が崩れていく感覚の中にいた。
その頃の夫は、正直に言って、
育児対応力がまだレベル1か2くらいの時期。
同じ時間に同じ量のミルクをあげているはずなのに、
なかなか覚えてくれない。
泣いているんだからおしゃぶりでしょう、
ということがわからない。
母親としてはほとんど無意識にわかることが、
父親にはまったく伝わらない。
そのギャップに、私はとにかくイライラしていました。
頭では、父親のスタートラインが違うことはわかっていたりして。
でもその頃の私は、
一日中子どものことを考えているか、
何かに対応しているかのどちらかで。
今まで自分だと思っていた人格そのものが、
音を立てて崩れていく感覚の中にいました。
4カ国語が飛び交う環境で、
会社も売って、MBAも産後に取って、
それなりに自分を持っていたはずなのに。
全部剥がれたところに残ったのは、
何もできない自分だけでした。
「もう続かないかもしれない」と思った。
友達と遊びに行くとか、
ジムで体を鍛えるとか、
おしゃれをするとか。
そんなことはもはや別世界の話。
「寝たい」「食べてない」
生きるための基礎が崩壊している状態でした。
そんなタイミングで夫の言動にイライラが重なって、
気がつけば、
お互いの粗探しをするような
ピリピリした空気が漂っていて。
改善、改善、改善。
どちらが正しいか、どこを直すべきか。
そればかりを考えながら、一年を過ごしました。
「これは、もう続かないかもしれない」
そんな言い争いを、何度も繰り返しました。
新婚一年目なのに。
産後一年も経っていないのに。
地獄みたいだった、年末の夜。
改善を求め続ける生活は、
尖った先をさらに尖らせるようなもので、
今振り返ると、とても息苦しいものでした。
「分かってもらえないのは、説明が足りないからだ」
そう思い込んで、
夜寝る直前まで不満を説明し続ける。
どちらかが「ごめんね」と言うまで終わらせない。
子どもが寝た後のリビングで、
二人とも疲れ切っているのに、
目を見れないまま、
低い声で正論をぶつけ合う。
今思えば、あれは本当に、地獄みたいな時間だったと思います。
息子が、4つの手をくっつけようとした夜。
ある夜、屋上で親子3人座っていた時のことです。
1歳の息子が、私と夫の手を片手ずつとって、
4つの手をくっつけようとしたんです。
さすがに、はっとしました。
こんな家族って、
私がなりたい家族と、全く逆だって。
「私たち、何のために一緒にいるんだっけ」
はっきりとした出来事があったわけじゃない。
もう同じことでぶつかり続けるのがしんどくなって、
これ以上続けられないと思った、
というのが正直なところかもしれません。
2025年の年末。
ふと、「私たち、何のために一緒にいるんだっけ」
という、とてもシンプルな問いに立ち返りました。
答えは、拍子抜けするほど簡単で、
「一緒に幸せでいられたらいい」
それだけだったはずなのに、
いつの間にかその原点から
ずいぶん遠くまで来てしまっていたりして。
改善を求めることに疲れた私が、
最後にやってみたのは、
改善の真逆でした。
直すところを探すのをやめて、好きなところを探すことにした。
一ヶ月で、何が変わったか。
毎日、相手の良いところを一つだけ見つけて、言葉にする。
すると不思議なことに、
今まで見えていなかった彼からの小さな思いやりが、
日々の生活のあちこちに転がっていることに気づくようになって。
子どもの靴をさりげなく揃えていること。
私が疲れている日に、黙って洗い物を済ませてくれていること。
私の話を遮らずに最後まで聞こうとしてくれること。
気づくと、「ありがとう」が自然と増えていました。
そして相手の優しさに気づくと、
今度は自分も同じように返したくなる。
その小さな循環が、夫婦の間で静かに回り始めたりして。
一ヶ月前は、顔を合わせるたびに粗探しをしていた私が、
今は、朝起きた瞬間から、
「今日はどんな好きなところが見つかるかな」
と考えている。
同じ人を見ているのに、
見える景色が、ここまで変わるとは思っていませんでした。
私が実際にやっている、7つのこと。
偉そうなことを言うつもりはありません。
これが正解だとも思っていません。
ただ、この一ヶ月で「これは続けていきたい」と思えたことを、
正直に書きます。
① 毎朝、夫の好きなところを一つだけ探す
「今日はこれを見つけよう」という意図を持つだけで、
見える景色が変わります。
粗探しをやめて、いいところ探しにシフトする。
それだけで、同じ一日がまったく違って見えてくる。
② タイミングと伝え方を選ぶ
今、この空気を壊してまで言う必要がある話なのか。
感情が高ぶっている時は、
その日は何も言わないという選択肢も持つようにしました。
③ 話し始める前に、一言だけ添える
「これは解決策が欲しい話」なのか、
「ただ聞いてほしいだけの話」なのかを伝える。
被害者でも加害者でもなく、
同じチームとして話せるようになりました。
④ 小さな愚痴を、溜めない
日常の小さな不満を普段から溜め込まずに話していると、
大爆発する前に、小さく出せる。
それだけのことが、去年はできていなかったと思います。
⑤ 相手が何かをしてくれた時、必ず声に出して言う
「ありがとう」を、心の中で思うだけにしない。
言葉にすることで、
お互いの存在が少しずつ、丁寧に扱われていく気がしています。
⑥ 自分の時間を、先にスケジュールに入れる
自分を後回しにしている間は、
どんどん余裕がなくなって、夫にぶつけてしまうことが増えていた。
自分の時間を先に確保することが、
結果的に夫婦関係を守ることになると気づいてから、
罪悪感なく自分の時間を取れるようになりました。
⑦ 週に一回、話す場所を決める
日常の中で感情的に話し合おうとすると、
タイミングが悪くてうまくいかないことが多かった。
だから「この時間は話す時間」という場を作ることにしました。
責めるんじゃなくて、今の状態をシェアする場所。
それだけで、日常の中で急に爆発する場面が
ぐっと減りました。
それでも、順調じゃない日もある。
もちろん、毎日が順調なわけじゃありません。
疲れている日もあれば、
心の中がどす黒く染まっている日もあります。
そういう日は、今でも、
夫にネガティブをぶつけてしまうことがあります。
完璧になんて、なれません。
ただ以前と違うのは、
日常の中に、彼がどれだけたくさんのやさしさを
散りばめてくれているかを、
私はもう、気づき始めてしまったということ。
だからこそ、
お互いの気分を必要以上に傷つけないように
配慮しようと思えるようになりました。
今朝、屋上で言われた言葉。
今朝、屋上でコーヒーを飲んでいたとき、
夫がこちらを見て、不意に言いました。
「I am happy to see you happy. That makes me happy too. You are peaceful, and beautiful when you are happy like this.」
「君が幸せでいる姿を見ると、僕も幸せになる。
こんなふうに幸せな君は、穏やかで、美しい」
その言葉が、胸の奥に、静かに残りました。
正解かどうかは、わからない。
外国人同士のカップルが海外で生活しているんだから、
正解のない毎日に、
この先もきっと迷うんだと思います。
でも今は、
それを不安だけで埋め尽くしたくないと思っています。
去年の私がそうしてしまっていたみたいに。
明日何が起きるかわからないからこそ、
今日の穏やかさや、
目の前にある小さな幸せを、
置き去りにしたくない。
「どう決めるか」よりも、
「どんな空気の中で決めるか」。
毎日、夫に恋をして、
相手のいいところを探して、
今日の幸せをちゃんと拾い上げる。
その積み重ねの中にいれば、
たとえ未来が少し不確かでも、
人生の美しい部分をちゃんと大切にしながら
歩いていける気がしたりして。
だから今日もまた、
夫に恋をしたいと思います。
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