東京タワーが大阪出張したら─「とうきょうタワー おおさかへいく」
少しずつnoteに上げている「子守話」。
子守話とは、子どもを寝かしつけるとき、羊を数えるかわりに、羊を数えるかわりに即興で語り聞かせていたおはなしのこと。
大阪出張+寒空はだかさんの歌
新幹線で大阪方面に向かいながら、東京タワーが大阪へ行く子守話があったなと思い出した。
日記によると、当時わたしがちょくちょく大阪へ出張に行っていたのと、親子向けライブで聴いた寒空はだかさんの「東京タワーの歌」が合体し、
「とうきょうタワーがおおさかしゅっちょうにいったの」
という子どもの一言から話を膨らませた。
東京で聞かせ、子連れで大阪に帰省したときに堺の実家でも聞かせ、旅する東京タワーと同じく、東京と大阪を股にかけて完成。
日記に公開した日の3つの良かった出来事は
1.金馬さんと米朝さんの落語をCDで
2.図書館へ本を返す
3.子守話を更新
とある。113話目「おえかきかさ くるくる」以来、ひと月余りぶりの新作だった。
ひらがなだらけで読みにくいので漢字入りバージョンも。
子守話114「とうきょうタワー おおさかへいく」
とうきょうタワーは たいくつしていました。
くるひも くるひも とうきょうです。あちこちから いろんな ひとが けんぶつに きますが とうきょうタワーは とうきょうから いっぽも でたことが ありません。それどころか いっぽもうごいたことがありません。とうきょうタワーの あしは じめんに しっかりと つきささっています。
あるひ おおさかの こどもが やってきて
「おおさかには おいしい たこやきと ぶたまんが あるんやで」
と おしえてくれました。
とうきょうタワーは おおさかへ いってみたくなりました。
たこ! やき! ぶた! まん!
かけごえとともに じめんに つきささっている あしを ひょい ひょい ひょい ひょい と ひっこぬいて おおさかへ むかって あるきはじめました。
たびに でるのは はじめてですが とうきょうタワーに やってくる おのぼりさんたちが おおさかから しんかんせんに のってくることは しっていました。
とうきょうタワーは とうきょうえきまで たどりつくと あとは しんかんせんの せんろを またいで しんおおさかいきの しんかんせんを おいかけて のしのし のしのし あるいていきました。
とうきょうタワーが あるいているぞと みんな おおさわぎしながら ゆびをさしました。そんなことより とうきょうタワーは はじめて みる とうきょうの そとの せかいに うきうきしていました。
とうきょうタワーが おおさかに つくと しんせつな おっちゃんが 「つうてんかく」という タワーの ところへ つれていってくれました。
つうてんかくは おおさかでは それなりに のっぽですが とうきょうタワーに くらべると まだまだです。
「こんにちは。つうてんかくタワーさん。おなかまですね」
とうきょうタワーは ていねいに あいさつをしました。
でも つうてんかくは「おなかまでも なんでもあらへん」と なまいきそうに とうきょうタワーを みあげました。
「たこやきと ぶたまんを たべにきました」と とうきょうタワーが いうと
「たこやきも ぶたまんも そこらへんに なんぼでもあるがな」
つうてんかくは そういったきり いねむりした ふりをして みちあんないを してくれませんでした。
しかたがないので とうきょうタワーは あるきまわって たこやきやさんと ぶたまんやさんを さがしました。
とうきょうタワーへ あそびにいったことのある おおさかの ひとたちが ちかづいてきては いっしょに しゃしんを とっていきました。
とうきょうタワーは たこやきをかうと そのたこやきを おなかの エレベーターに のっけてもらって てっぺんにあるくちで ハフハフと たべました。
それから ぶたまんを たべました。からしをたくさんつけすぎたので てっぺんからあしもとまで ますます まっかっかに なって てっぺんが すこし まがってしまいました。
からいよーと なきながら はしって とうきょうへ かえったので かえりは いきよりも じかんが かかりませんでした。
子守話114「とうきょうタワー おおさかへいく」漢字入りバージョン
東京タワーは退屈していました。
来る日も来る日も東京です。あちこちからいろんな人が見物に来ますが、東京タワーは東京から一歩も出たことがありません。それどころか一歩も動いたことがありません。東京タワーの足は地面にしっかりと突き刺さっています。
ある日、大阪の子どもがやって来て、
「大阪にはおいしいたこ焼きとぶたまんがあるんやで」
と教えてくれました。
東京タワーは大阪へ行ってみたくなりました。
たこ! 焼き! ぶた! まん!
かけ声とともに地面に突き刺さっている足を、ひょい、ひょい、ひょい、ひょいと引っこ抜いて大阪へ向かって歩き始めました。
旅に出るのは初めてですが、東京タワーにやって来るおのぼりさんたちが大阪から新幹線に乗ってくることは知っていました。
東京タワーは東京駅までたどり着くと、あとは新幹線の線路をまたいで、新大阪行きの新幹線を追いかけて、のしのし、のしのし、歩いていきました。
東京タワーが歩いているぞと、みんな大騒ぎしながら指を差しました。そんなことより、東京タワーは初めて見る東京の外の世界にうきうきしていました。
東京タワーが大阪に着くと、親切なおっちゃんが「通天閣」というタワーのところへ連れて行ってくれました。
通天閣は大阪ではそれなりにのっぽですが、東京タワーに比べると、まだまだです。
「こんにちは通天閣タワーさん。お仲間ですね」
東京タワーは丁寧に挨拶をしました。
でも、通天閣は「お仲間でもなんでもあらへん」と生意気そうに東京タワーを見上げました。
「たこ焼きとぶたまんを食べに来ました」と東京タワーが言うと
「たこ焼きもぶたまんも、そこら辺になんぼでもあるがな」
通天閣はそう言ったきり居眠りしたふりをして、道案内をしてくれませんでした。
仕方がないので東京タワーは歩き回って、たこ焼き屋さんとぶたまん屋さんを探しました。
東京タワーに遊びに行ったことのある大阪の人たちが近づいて来ては一緒に写真を撮って行きました。
東京タワーは、たこ焼きを買うと、そのたこ焼きをおなかのエレベーターに乗っけてもらって、てっぺんにある口でハフハフと食べました。
それから、ぶたまんを食べました。からしをたくさんつけすぎたので、てっぺんから足元まで、ますます真っ赤っかになって、てっぺんが少し曲がってしまいました。
からいよーと泣きながら走って東京へ帰ったので、帰りは行きよりも時間がかかりませんでした。
「東京タワーの歌」と「はだしになって」
「♪タワータワー、東京タワーにのぼったわー」と「タワー」の連呼が楽しい寒空はだかさんの「東京タワーの歌」。
ライブでは子どもが真似して歌い出して大合唱になったし、大人のわたしも一度聴いたら口ずさんでしまった。
現在は入手が難しい様子。
一度聞いたら忘れられない名前の寒空はだかさん。落語協会所属。寄席などで生の「東京タワーの歌」を聴ける機会があるかもしれない。
「東京タワー」の歌を聴いたのは、広告代理店マッキャンエリクソン時代のコピーライターの大先輩、浜田哲二さんがご自身のギャラリーで開かれた親子向けライブ「チャイルド・オアシスLIVE」。
「アンクル☆させ&ちくわぶバンド」による歌と演奏も楽しかった。「アンクル☆させ」こと佐瀬寿一さんは「およげたいやきくん」や「いっぽんでもにんじん」を手がけた人。
浜田さんの紹介で書かせてもらった歌詞に佐瀬さんが曲をつけてくれ、林家たい平さんと朝ドラ「つばさ」に出演していた畠山彩奈ちゃんでレコーディングもしたのだが、世に出ず眠っている。
「はだしになって」という歌で、春が近づくと思い出す。
これまでの子守話
📙11話「ふみきりん」
📙48話「ひつじが100ぴき」
📙58話「あかいろのありんこたち」
📙59話「アラブのあぶらうり」
📙74話「チョコレートのちきゅう」
📙104話「ちょうちょの木」
📙108話109話「ドラキュラとあかいチョコレート」
タイトル画像は「みんなのフォトギャラリー」で「東京タワー」を探して出会った一枚。写真家、映像作家の塩川雄也さん撮影。高層ビルよりも頭ひとつ飛び出してる東京タワー。ほんとに東京のど真ん中に刺さってるんだなと伝わります。塩川さんありがとうございます。
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目に留めていただき、ありがとうございます。わたしが物書きでいられるのは、面白がってくださる方々のおかげです。