自分らしさを大事にしたい。女の生き方を感じる作品を紹介【創作大賞感想】
女性らしいって何だろう。よく「みくさんって、宇宙人みたい」といわれるたびに思います。
女の生き方、気になります。むしろ「女」に限らずいろんな方の生き方が気になります。今回は「女の生き方を感じる作品」「この生き方、かっこいいなぁ」と感じた方の作品を紹介します。
めぐみ、絶対連絡してきちゃダメだよ。/たこやきまゆこさん
まゆこさんの作品をはじめて拝読したのは、昨年の創作大賞です。最初に読んだ時に「なんて完成度が高く、潔い生き方をしているのだろう」と驚いたと同時に、体に電流が走ったことを記憶しています。
今だからいえる話ですが、当時はオンラインオフ会があった際に
「今年、まゆこさんという方の創作大賞応募作品が凄くいい!!」
と、いろんな方に話していた記憶があります。今でも、はじめて読んだ記事の内容を覚えています。記憶に残るエッセイを書ける方だと感じます。技術力も非常に高いです。
今回紹介するエッセイには、どこか気まぐれな野良猫のような雰囲気をもつ「めぐみ」が登場します。このめぐみさんが、なかなか魅力的です。挨拶代わりの独り言が独特の大阪弁です。同時に、どこか危険な香りも……。
みなさんは「近づいてはいけない」と感じていても、その人が困っていたら……あなたはどうしますか。助けますか?
あなたは騙されるかもしれませんよ??
魅力的なのに、どこか危険。こういう方って、どこか自由奔放です。そして、不思議と妙なところが「きっちり」していたり、優しかったりします。
めぐみさんには、「お米粒を残すのはよくない」という信念や、食べ物に対して感謝を向ける姿勢があります。そして、ふとした瞬間に「しあわせになるんやで」という思いを周りの人へそっと向けることもできます。
そのさりげない優しさが、とても魅力的なのですが、中盤で彼女から「ある提案」がさらりと起こります。いや「提案」というか、さらりと「お金かしてくれへんかな」という一言をこぼします。
「お金が足りへんくなってさ。もーほんま絶望。まあそのおかげで、あんたにまた会えたんかな」
彼女は不思議と「助けたくなってしまう一言」を残す人です。
「お金貸して」と言われても、人は貸したくないもの。けれど、困っていることをさらりと伝えた上で、相手への感謝まで添えられたら、つい手を差し伸べてしまう気がします。策士です。
人によっては「ずるい」と映るのかもしれませんが、私はむしろ彼女に「提案力の高さ」を感じました。
私も婚活時代、「あなただけ」と言ってくれる殿方に何名か出会いましたが、実際は幾多もの女性に「あなただけ」と言っていました。それでも、ものすごくモテるんですよね。特別感を人に与えられる人って。
たとえば彼とか。商売する方は、いちどモテ男、モテ女に近づいてみてください。きっと、顔だけではないです。人を喜ばせ、断れないように提案する力がすさまじいですから。いろいろと学ぶところがあるはず(※よい子は真似しないでください)
「あなただから」と頼まれて、「詐欺師か?」と疑う人はいるかもしれませんが、嫌な気になる人は、ほとんどいません。めぐみさん、人の心をつかむのが流石だなと思いました。「お金貸して」は流石によくないですが、誰かにちょっとしたお願いするときには、この手法を真似するといいのかもしれません。(※よい子は真似しないでください)
一方で、そんな彼女を助けてしまったまゆこさんの懐の深さも、驚くほどです。普通なら「私、だまされていたのかな」とか「お金返してほしい」とか、人間不信になってしまうかもしれない。
それでも最後まで彼女を信じて、別れたあとも、「彼女」をせめるのではなく、むしろ自分自身を内省していく。そこに、あらためてまゆこさんのすごさをひしひしと感じました。
めぐみの絶望を都合よく利用して、まるで彼女たちのように正しい綺麗な人間であるかのように、自分の存在価値を買い取ったのだ。
ここで、自分をしっかり内省できるまゆこさんの人間力の高さよ
私は、人生や人とのコミュニケーションを豊かにできるかどうかは、「どれだけ許せるか」にかかっていると思っています。なぜなら、人との出会いには、良いことも悪いことも少なからずあるからです。
コミュニケーションをとる中で「その方のいいところ」を見つけたり、許したりできるかどうかで、関係が長く続くか、深いものになるのではないかと感じます。
これは人づきあいに限らず、物事や仕事、書くことにもつながっている。嫌なことと向き合うことはつらいし、誰かのせいにしたくなる夜もあるし、目の前につらいことがあれば逃げたくもなる。
そんな時こそ、まゆこさんのエッセイを読んでほしいです。とくに、少し嫌なことがあるとすぐにリセットボタンを押したくなる方へ。向き合うことの大切さが、ひしひしと胸に届くはず。
ギャル、家訓に穴を開ける/本田すのうさん
すのうさんと出会ったのは、2年前の創作大賞でした。最初に声をかけたのは私のほうです。当初から、「読者」に向けて文章を書ける方でした。最初に文章を読んだ時に「継続すれば、着実に『ファン』のつく方だ」と感じた覚えがあります。
すのうさんとは、何度かオンラインでお話しています。とても美しい方です。インターネットの世界は、美人とイケメンが多いです。これまで幾多もの美男美女と遭遇しましたが、私の中の「美人さんで、めちゃくちゃびっくりしたランキング」で暫定1位です。(当時のアイコンがお母さんっぽさが強かったから、よりそう思ったのかも)。
最初はアイドルかと思いました。初めてオンラインで顔を合わせたとき、あまりの可愛さに驚いて
「どうして顔出ししないの?もったいないよ!」
なんて言ってしまった記憶があります。今思えば、なかなかのセクハラでした。
隠しきれない美人オーラと、スタイル
本当に、あのときはすいませんでした。でも、あれから2年経った今、思うのです。
彼女は顔を出さなくても、文章だけで愛され、売れていく人だと。
彼女のすごさは、文章だけではありません。企画力も高く、案内文にはさまざまな人への配慮が隅々まで行き届いています。
だからこそ、人は安心して企画に参加できるのではないかと感じます。なぜなら、企画に参加するって、意外と勇気が必要だからです。せっかく応募したのに、嫌な思いなんてしたくないじゃないですか。(※私も、いろんな経験があるので)
本田さんの企画なら「絶対楽しめる」っていう安心感が群を抜いています。
文章のうまい人がたくさんいるnoteという海の中で、彼女を応援する人が絶えないのは、この「企画力」と「配慮力」の絶妙なバランスゆえではないかと思います。意外と、この両方を備えている人は多くありません。
私はライター界隈で長く活動していますが、ベテランほど企画力と配慮力に長けています。彼女は、初めて出会ったときからその力を持っていて、noteで記事を見るたびにさらに磨かれている印象です。これからも、きっとどんどん成長していくのだろうと予想しています。
さて、エッセイの感想に戻します。導入文はピアッサーを使わずに、安全ピンで穴をあけた話からはじまっています。私はピアッサーも使うのが怖いと感じて「絶対安心の皮膚科」しか耳で穴を開けたことがないので、安全ピンで穴を開けるのは未知の領域です。
エッセイの中では、お嬢様だった過去にも触れています。以前のnoteでも、海外旅行へ家族にいかれているエピソードを多数見かけたことがあり、きっとお嬢様だと予想していました。
本文の中では、両親からの「ピアスだけは開けないで」と言われていたものの、お父様との「とあるエピソード」にも触れられていました。想像以上にお父様から怒られていたので、きっとしっかりしたご家庭だったのかなと存じます。
我が家は逆だったので(女はね、ピアスを開けるといいわよ、と母に言われて育った私)、もしかしたらお父様的にも「体を大切にしてほしい」とかいろんな想いがあったのかなぁと思いつつも、親に言われると「逆」のことをやりたくなる気持ちもめちゃくちゃわかります。
私も今ピアスを開けていて、彼女と同じように金属アレルギーです。すのうさんは、特別な時には「耳がただれる」のが分かっていても、気分をアゲるためにピアスを通すことをエッセイの中で伝えていて、潔くていいなぁと思いました。
金属アレルギーの私は、ピアスに18金以外は使わないのですが、それでも赤く腫れることもあります。でも、ピアスが好きなので無理矢理通しています。皮膚科の人に「もうやめてください」と言われたこともありますが、やめられません。
もちろん、肌は大事なので無理はよくないですが「何が何でも、私は絶対!!」という強い意志を持つ人の文章には力強さがあり、心引かれるものがあります。彼女のエッセイはいつも、生き様が滲んでいます。だからこそ、多くの人の心を引きつけるのかもしれません。
ルナクリスタルじゃない/塩野ぱんさん
塩野さんとの出会いは、昨年の創作大賞です。当時、作品を初めて見たときに「すごい才能だ!!」とびっくりした記憶があります。
これからの人という感じで紹介したところ、実は二年前に中間選考を通過されている方と気づき「す……すいませんでした!」という気持ちになった思い出も……。あのときは、本当にどうもすいませんでした。
本作は、恋人の裏切りで婚約も新居も失った、40歳の未散が「家を買う」ことと、勝利との恋愛ストーリーです。
女性が一人、家を建てるのは大変です。不動産を購入した時に、私もいろんなところに顔を出しましたが、不動産屋って足元を見ます。いい人にはいい物件を紹介し、私たちは「余り物」と一目でわかる曰く付きの物件ばかり薦められ、途中で不動産を頼るのはやめた記憶があります。
本作では、不動産屋との切実なやりとりもありつつ、主人公・未散が予算も踏まえた上で日当たりの良さ、土地の形、眺望(東京タワーは見えるのか、とか)、広さなどを考えたりしながら「自分が納得できるお買い物」を模索していきます。
家を買うというより「建てる」ので、迷いもたくさん登場しますが、まるで本当にあった話なのかなと思うくらいに、会話のやりとりも大変リアルです。不動産や家を建てる際に役立つ情報へのリサーチ力も流石です。
佐倉のキャラクターも、凄く魅力的です。お金がなくても、家を建てるのが難しくても「東京タワーが見える家にすみたい」というこだわりを大事にしつづけているところ。どんなときも明るく突っ込んでいく芯の強さも魅力を感じました。ぶっきらぼうだけど、心に影をもつ勝利も魅力的でした。
キレのいいユーモアもふんだんに取り入れられていて、そのたびにくすっと笑いながら楽しめるところもよかったです。とくに細長い土地をすすめられた時に、「カニ歩きをしなければならない家」を想像して会話が展開するシーンなど、細かい部分に作家さんのユニークな目線がちりばめられています。
そして、家をいざ迎えた時に「やったぁ」という感情よりも引き返せないと覚悟を決める様も、不動産を実際にお迎えした時の私のあの頃の気持ちをふと思い出し、リアルだなぁと感じました。細かい設定や背景も丁寧にリサーチが行き届いていて、情景が浮かびやすく、とてもリアリティのあるヒューマンドラマだと感じました。
本編を通じて、幸せに生きるには「自分はこうありたい」「何がなんでも、私はこれが大事」という思いを大切にすることなのかも、と考えさせられました。
※塩野さんには、私の小説のレビューもいただきました。ありがとうございました。
戦いの地はいつだって東京だった/ ひつじだ|読書家・エッセイストさん
ひつじださんは、noteやXなどを通じて仲良くなりました。最近では、岡本さんが運営する専属編集者でもご一緒させていただいております。これからもよろしくお願いします。
本作では、就活のこと、講談社のオーディション「ミスiD」でファイナリストに選ばれた時のこと、アナウンススクールに通っていたころ、そしてテレビ局で報道記者として働いていた時のエピソードが綴られています。
ひつじださんとは、まだ顔を合わせたことはありませんが、以前からアイコンや文章を拝見しながら「きっと美人さんだ……」「あえて声高には掲げていないけど、いろんな経験が豊富で、経歴が凄そうだなぁ。きっと『隠れ凄い人』だ!!」と感じていました。(※それにしても、美人とイケメンへのセンサーが高すぎる)。
そこへミスコンの経歴まで出てきて、思わず「やっぱり、凄い方だ」とうなってしまいました。エッセイを読むと、目標に向けて凄く努力家で、行動力の高さも感じます。
アナウンサーになりたくて誰よりも努力をしたと思う。そのうちの一つが大阪と東京のアナウンススクールに掛け持ちで通っていたこと。
エピソードの中では、コンテストの場で受けた「大人たちによる、無言の評価」といった、切実な経験も描かれていました。私の場合はミスコンではなく「集団面接」の時に「この子はないわ……」という目線を面接官から受けたことが多々ありますが、あれつらいですよね……わかる……。
私の友人にも、ミスコンやオーディションに何度か挑戦していた方がいまして。レースクィーンで、めちゃくちゃ綺麗な方で一緒によく飲んでました。芸能界における評価となると、いろんな業界ならではの事情など、さまざまな要素が絡んでくると聞いており、大変な世界なんだろうなぁとぼんやり聞いていた記憶があります。
自分は当時、地方のOLだったので、メディアのお仕事なんて縁遠いものだとばかり。友達の話を聞いて「東京って、芸能界って凄いなぁ」って目をキラキラ輝かせていました。そんな私も、今はエンタメ系の記事を書いたりしているので、人生どうなるかわかりません。
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— リアルサウンド映画部 (@realsound_m) July 9, 2026
さて、話が飛んだので戻します。
個人的には、オーディションで着物に着替え、自作の落語を披露するところ、独自性が高いというか。最高にロックでかっこいいなぁと思いました。私だったら、何を披露するんだろ……。自作のポエムや、エッセイの朗読とかでしょうか。

いずれにしても、大勢の人の前で何かを披露するって、すごく勇気のいることだと思います。それだけでも、ぜひ自分を誇りに思ってほしいです。
残念ながら結果には繋がらなくても、結果や審査員から受けた態度を「前向き」に受け止める姿に、彼女のすごさをひしひしと感じました。
私は自分で作ったんだぞ!やり切ったぞ!ということに誇りを持っていた。
負けることは、ダメなことでも恥ずかしいことでもない。
負けないように戦いから逃げることより、正面から挑んで潔く負けた方が、私らしくて好きだ。
コンテスト、オーディション、試験。結果が必ずしも自分の望む形になるとは限りません。そして、そこから次につなげられるかどうかは、「その結果をどう受け止めたか」にかかっている気がします。
もちろん、悔しさを覚えることが悪いことじゃないです。でも、結果をきちんと受けとめ、自分を誇りに思える彼女なら、これからどんな挑戦をしても、きっと成長へとつなげていける気がします。
ひつじださんは、これからエッセイ教室に通われるとのことで、ますますパワーアップしていくはず。これからのエッセイも楽しみにしています。
【完】
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☆創作大賞に応募しています。感想など書いていただけると、泣いて喜びます!!
