ビジネスコンテストへの挑戦で事業の解像度が上がった話
こんにちは。ミセリクの橋本です。
普段は会社員としてUX/UIデザイナーをしていますが、副業でまちづくりプラットフォーム『ミセリク』を開発・運営しています。
このたび川崎市産業振興財団が主催する「かわさき起業家オーディション」というビジネスコンテストに応募しました。
応募にあたって事業計画書の提出が必要となるため、事務局指定のフォーマットで作成することになりました。
実は、事業計画書を書くのは今回が初めてではありません。
昨年末にも、AIエージェントに演じさせた4人の審査員との壁打ちを繰り返して作成しています。
そのときの計画には、市場規模の試算も競合との比較も価格も書いてありました。
ただ、当時は事業計画書を作った経験がなく、AIが立てた仮定の妥当性を評価できていませんでした。
また、具体的な出典がなく、第三者に根拠を聞かれても説明できない状態でした。
今回は、応募書式を埋めていく中で、市場規模や販路や財務といった全ての数字に公的統計や実集計データなどの根拠を用意しました。
事業の方向性や内容は変わっていませんが、8ヶ月前には曖昧だった根拠や数値の裏付けを客観的に説明できるようになったことが今回一番の収穫でした。
この記事では、応募書類の作成に向けて取り組んだことと、指定書式と向き合う中で事業の解像度をどう上げていったのかを書きます。
経営相談でビジコン挑戦をすすめられた
きっかけは川崎市産業振興財団の無料経営相談でした。
当時も今も、プラットフォーム特有の「鶏と卵問題(需要と供給をどう同時に集めて初期利用を拡大するか)」に直面しています。
ミセリクは住民・出店検討者・不動産事業者の三者が揃って初めて成り立つため、それぞれに接点を持つ地域の団体(地域おこし協力隊や商店街など)に協力してもらうことで、この壁を越えようとしています。
しかし、実績のない個人が突然アプローチしても、信頼の裏付けがないため門前払いされるリスクが高い。
その悩みを経営相談でぶつけたところ、提案されたのが「かわさき起業家オーディション」への応募でした。
挑戦や受賞を通じて第三者からの信用や認知を得られれば、同じアプローチでも話を聞いてもらえる確率が上がるというお話を伺ったので、挑戦することにしました。
計画を書く前に、サービスの価値を問い直した
事業計画書を書き始める中で、「ミセリクは住民・出店検討者・不動産事業者にとって本当に価値があるんだろうか?」という不安が頭をよぎりました。
これまで私は価値のあるサービスだと信じて作り続けてきましたが、体系的なコンセプト検証は一度もできていませんでした。
本来はペルソナに近い複数名の人物にインタビューすべきですが、時間的・予算的制約からAIエージェント同士で仮想のインタビューをやらせました。
結果は概ねインタビュー前に立てた仮説通りでしたが、各仮説に具体的な裏付けを得ることができ、マッチング通知機能の実装にもつながりました。
計画の実現性を高めるために、協力者へのアプローチを広げた
事業計画書の指定書式には販路や実行スケジュールを書く欄があります。
計画を具体化するために、協力をお願いしたい地域おこし協力隊へのアプローチを広げることにしました。
実は今年2月にもアプローチをしていて、地域おこし協力隊全国サミットでは19名の方と名刺交換しました。
そのうちのお一人とご縁がつながり、2月末には福岡県みやま市で開催された空き家活用ワークショップに参加させていただきました。
その場でミセリクに私自身のリクエスト3件を投稿し、他の参加者から出たリクエスト11件は後日代理投稿させていただきました。
ただ、そこから先に広げる活動ができていませんでした。
そこで今回、総務省の地域おこし協力隊全国ネットワークプラットフォームの事例紹介から19名にご連絡し、2名からお返事をいただきました。
1名は現役隊員の方で、住民向けセミナーで紙のアンケートを集めていただき、それを私がミセリクに代理投稿する形でご協力いただけることになりました。
また、地元のまちづくり団体や他の協力隊への紹介、地域の不動産事業者への情報共有、役所の商工担当課への共有もしていただけるとのことでした。
もう1名は今年3月に任期を終えられた方でしたが、その方が担当された空き店舗改修プロジェクトの貴重な体験談をお伺いすることができました。
アプローチできた人数は少ないですが、地道にご連絡していけば協力者は現れるということを実感できました。
まだアプローチできていない地域おこし協力隊員の方はたくさんいらっしゃるので、今後もアプローチを続けることにしました。
また、地域おこし協力隊と並行して協力をお願いしたい商店街と商工会議所/商工会へのアプローチ方法も調査しました。
それぞれ全国商店街振興組合連合会、日本商工会議所、全国商工会連合会という全国組織のサイトがあり、それらから各地方組織サイトへのリンクが張られているので、各サイトの問い合わせフォームからご連絡することにしました。
第三者に根拠を説明できるように、すべての数値に客観データを用意した
指定書式を埋める中で、これまでの計画に論理的な裏付けが欠けていたことに気づかされました。
市場規模
「いくら市場があるのか」を客観的に示すため、公的統計や公開データをもとに算定根拠を3段階で組み直しました。
理論上の最大市場規模(TAM)
国土交通省の宅建業者数や、厚生労働省・総務省の開業統計から店舗型事業者の数を算出して掛け合わせました。実際にアプローチ可能な市場規模(SAM)
全日本不動産協会の公開会員名簿の実数や、全国の商工会議所・商工会が年間に扱う創業指導実績をもとに算出しました。現実的な到達目標(SOM)
公開されている名簿数に対し、海外のメール送信データ集計などを参考にした反応率・有料転換率を設定して割り出しました。
価格設定
「なぜその金額なのか」を論理的に説明するため、相場やユーザーが得られる価値と比較して設定根拠を整理しました。
住民
需要データの供給源であり、声が集まらなければ価値が生まれないため無料を維持します。出店検討者
開業費用の相場と比較して少ない負担に抑え、立地選定を誤るリスクや損失に比べて導入しやすい水準に設定しました。不動産事業者
顧客獲得単価や他社ツールの相場と比較して少ない負担に抑え、問い合わせ1件分と同等のコストで利用できる水準に設定しました。
競合調査
「他のサービスと何が違うのか」を明確にするため、既存サービスを以下の6カテゴリーに分類し、ミセリクとの違いを整理しました。
出店希望者起点の物件マッチング(さかさま不動産、TENALEAD、飲食店ドットコム等)
住民要望の地図投稿(My City Report、GISAp for Cities Community等)
自治体の空き店舗バンク・市民参加型プラットフォーム(自治体空き店舗バンク、Decidim等)
人流データ分析(KDDI Location Analyzer等)
スペース・ポップアップ(SHOPCOUNTER、軒先ビジネス等)
物件掲載型のポータル・掲示板(SUUMO、アットホーム、ジモティー等)
例えば物件掲載ポータルは「今ある物件を探している人」に向けた情報ですが、ミセリクは「まだ店がない場所に何が欲しいか」を住民から集めて届ける逆方向の構造です。
また、調査の過程で海外の類似サービスが過去に撤退していた事例も見つかり、採算性等の課題を改めて確認する機会にもなりました。
売上高の算定根拠を作り、仮定が外れた場合のリスクも検証した
今回、最も頭を悩ませたのが売上高の算定根拠でした。
アプローチ件数から契約に至るまでの各段階を数字で裏付けるため、以下の手順で整理していきました。
公的統計の活用 : アプローチ先の団体数など根拠が存在するものは、各団体の公表名簿や公的統計の実数を採用しました。
民間企業データの活用 : メール返信率など公的統計がないものは、民間企業のデータなどを参考に、保守的な数値を設定しました。
仮説(仮置き)の設定 : 統計もデータもない項目は仮定を置いて数値を決定し、いつ実測値に置き換えるかという見直し時期を明記しました。
リスクシミュレーション : 置いた仮定が外れた場合に損益や手元資金がどうなるかを試算しました。
また、前提の数字を1つ変更すると連動する十数箇所を計算し直す必要があります。
最初はAIに直接計算させていましたが、推論に頼ることで計算間違いや無駄なトークン消費が発生していました。
そこで、計算用のスクリプトをAIに作らせたことで、安心して計算ロジックの修正を繰り返すことができました。
応募書類の指定書式を埋めることで、事業の解像度が上がった
書類作成に着手する前は、応募書式に合わせてまとめ直すだけだと思っていました。
しかし、実際には市場規模も価格戦略も流通戦略も競合分析も根拠の薄い状態だったことを、書式を埋める中で気付かされました。
事業の方向性は、昨年末に作った最初の計画から大きく変えていません。
変わったのは、一つひとつの主張や数字に客観的な根拠とロジックがついたことです。
そして解像度が上がると、次に取るべき行動が具体的に決まります。
昨年末の計画に書いていたのは「不動産・まちづくり関係者のパートナーを募集します」という抽象的な記述でした。
今は、地域おこし協力隊/商店街/商工会議所・商工会の数、アプローチ方法、順番、期日まで具体的に決まっています。
想定した反応がなかった場合に次にどう動くかのプランBも用意しました。
審査結果を待ちつつ、今回作成した計画に基づいて着々とアプローチを進めていきます。
事業のアイデアはあるけれど計画が漠然としている方は、ビジネスコンテストへの応募を検討してみて下さい。
指定書式を埋めることで、事業の解像度を上げられる良い機会となるはずです。
おわりに
私の夢の実現には、皆さんの協力が欠かせません。
もし「面白そうだな」「応援してみようかな」と思っていただけたら、以下の形で関わっていただけると本当に嬉しいです。
地域おこし協力隊・自治体関係者の皆様へ
空き家対策や賑わい創出の現場で、ミセリクを実験的に使ってみませんか?
「住民の声」というデータを武器に、地主さんへの説得やテナント誘致をサポートさせていただきます。
不動産事業者・出店検討者の皆様へ
「決まらない物件」や「出店場所探し」に、ミセリクのデータを活用してください。
現在、無料モニターを募集中です。
住民の皆様へ
無料・匿名で利用できますので、あなたの街の「ほしい!」を教えてください。その1つのピンが、街を動かすきっかけになります。
応援してくださる皆様へ
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また、もしお知り合いに不動産屋さんやお店を開きたい人がいたら、「こんなサービスがあるよ」と声をかけていただけると有難いです。
これからもミセリクをよろしくお願いいたします!

