【Advent企画】12/11:雪だるま【410字小説】
一番あったかい服を着て来た。真っ白いダウンコート。
色が白いうえ、サイズが大きめだから、これを着ると雪だるまみたいだと薫子たちには笑われる。
いつ来るかわからない相手を、じっと待っている姿は、たしかにちょっと、雪だるまみたいだったかもしれない。
「あ、酒は無しな。俺、来週からしばらく本番続き」
当たり前の顔で、隣を歩きながら言えば、
「そんな時期になんで来てんだ!」
と、妹尾が焦り出した。
ぐい、と腕を引かれて立ち止まる。
妹尾の手がべたべたと遠慮なく、俺の顔に触れる。至近距離なのに目は合わない。本気で慌てているときの顔だ。
「冷たっ、どんくらい待たせた!?」
約束していたわけでもないのに。
「大して待ってねえ」
「なんで無茶するかな……」
無茶と言われるほどの無茶だとは思わない。
だって。
「こうでもしなきゃ、お前が俺に会えない」
勝手に一人で考え込んで、連絡もできないでいたんだろう?
「妹尾が俺に会えないのは可哀想だから、来てやっただけ」
--------------------------
本文410字。
#いつきちゃんのアドベントカレンダー
この二人の話です。
Advent:0日目
Advent:1日目
Advent:2日目
Advent:3日目
Advent:4日目
Advent:5日目
Advent:6日目
Advent:7日目
Advent:8日目
Advent:9日目
Advent:10日目
Advent:11日目
