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さまざまな日本語文法モデル(3)山田文法モデル

山田孝雄は明治6年生まれの国語学者で、独学の人としてもよく知られています。東北大学の教授を務めていました。

山田の文法観は、学校文法の基礎となった橋本文法のように言語の形式や機能を分析の判断基準として文法を組み立てるのではなく、言語の内容としての思想と人間の心理の働きをベースとして文法モデルを組み立てています。

非常にあらっぽい言い方をすれば、橋本文法モデルが日本語を日本人からきりはなして客観的に扱うのに対して、山田文法モデルは日本語を日本人の心のあり方そのものとみなして主観的に扱うものだといえます。

分析の基本単位として橋本文法モデルでは「文節」という言語形式を基本単位としているのに対して、山田文法モデルでは単一の思想を表すものを「句」として文法の基本単位としています。なお「思考の翻訳」モデルの基本単位である「思考の基本単位」は、山田文法のいうところの「単一の思想を表す心理的な統覚作用」とほぼ同じ概念だと考えていただいてけっこうです。また山田文法モデルでは複数の句からなる文を「複文」と呼んでいますが、「思考の翻訳」モデルではこれを「思考の複合単位」と呼んでいます。

 「野山に花が咲く。」= 単一の思想を表す「句」からなる「単文」

 「春を迎えた野山に名も知らぬ花々が咲く。」= 複数の「句」からなる
                       「複文」

また山田文法モデルでは、文を終わらせる心理的・主観的な要素を「陳述」と呼んでいますが、橋本文法モデルでは、こうした心理的・主観的要素を文法に組み入れることはしません。山田の「陳述」という概念は時枝文法モデルにも引き継がれて「零の陳述」という新たな概念にまで発展しました。

山田文法モデルの品詞表は以下のようなものです。橋本文法モデルとは異なり、実質、主観、発作、関係といった心理的な概念が組み入れられていることが分かります。

山田文法モデルの品詞表

さまざまな日本語文法モデル(1)はじめにhttps://editor.note.com/notes/n88be39839091/edit/
さまざまな日本語文法モデル(2)学校文法・橋本文法モデル
https://note.com/naruseyukio/n/nf048940c6733
さまざまな日本語文法モデル(4)時枝文法モデル
https://note.com/naruseyukio/n/n0d532a4e1725
さまざまな日本語文法モデル(5)松下文法モデル
https://note.com/naruseyukio/n/n4199578815bf
さまざまな日本語文法モデル(6)三上文法モデル
https://note.com/naruseyukio/n/n8718ca0aa894
さまざまな日本語文法モデル(7)日本語文法の特徴
https://note.com/naruseyukio/n/n404909917678

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