【ウチノハハ伝説 #22】3メートルのコードを伸ばして。黒電話と母の愛おしき青春時代
こんにちは☆
4歳の娘を育てている、もちこです。
今日は、ちょっと変わったうちの母の話をひとつ。
先日、母と何気なく「昔の電話」についての話をしていたのですが、聞けば聞くほど今とは別世界で、なんだか映画のワンシーンを覗いているような気分になりました。
うちの母が高校生くらいの頃、実家の電話はまだ現役の「黒電話」だったそうです。
そう、あの重厚感のあるボディに、指でダイヤルを回すタイプの電話です。
「0」が戻るまでの絶望タイム
今でこそスマホの画面を数回タップするだけで繋がりますが、当時は番号を一つずつ、じわじわと回してかける時代。
母いわく、黒電話は一番遠い数字の「0」を回すと、ダイヤルが元の位置に戻るまで結構な時間がかかるのだそうです。
そのため、もし最後の最後で番号を回し間違えたりしたら、また最初からやり直し。
「あの時の絶望感は、今の若い人には分からないよね(笑)」と母は笑っていました。
もちろん、当時は「連絡先登録」なんて便利な機能はありません。
よくかける友達の番号は、分厚い住所録にメモしておくか、頭の中に暗記。
電話をかけるだけでも、なかなかのエネルギーが必要だったようです。
3メートルのコードを伸ばして、秘密の倉庫へ
当時、祖父が自営業を営んでいたこともあり、実家の黒電話の近くには広めの倉庫部屋があったそうです。
家族に会話を聞かれたくない多感な女子高生だった母。
ふと見ると、なぜかその黒電話には、信じられないほど長いコードが繋がっていました。
母はそのコードをずるずると引っ張り、なんと3メートルほど先にある倉庫部屋にこっそり立てこもって、長電話を楽しんでいたというのです。
薄暗い倉庫の中で、長いコードの先にある受話器を握りしめてヒソヒソ話をしている若き日の母……。
想像するだけで、ちょっと微笑ましいですよね。
もどかしい時間さえも、青春だった
ただ、当時は今のように「今着いたよ!」「ちょっと遅れる」といったリアルタイムの連絡が一切できない時代です。
待ち合わせ場所に相手が来なかったら、できることといえば二つだけ。
・相手を信じて、ひたすらその場で待ち続ける
・近くの公衆電話から、相手の「家」に電話をかけてみる
「連絡が取れなくて、せつない時間を過ごすことも多かったなぁ」と、母はしみじみと振り返っていました。
そこで私が、「もし今みたいに、すぐ連絡が取れる時代だったらどうだったと思う?」と聞いてみたのです。
すると母は、
「うーん……でもね、あれはあれで良かったと思うよ。あの携帯がなくて、もどかしかった時間も全部、あとからいい思い出になるのよね」と。
効率や便利さが最優先される今から見れば、当時は不便でじれったいことばかりだったのかもしれません。
けれど、相手の声を待つ時間、会えない時間に相手を想うこと、その不便さ丸ごとひっくるめて、当時のきらめく「青春」だったんだな、と感じました。
母の甘酸っぱい青春時代、ちょっとタイムスリップして覗いてみたい気もしますが……。
あ、でもやっぱり、娘としては覗かないでおくのが正解かもしれませんね。
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