ヌープ(2)あるひき逃げ
◆(2)9月8日 22時41分 あるひき逃げ
リカルド・モントーヤはしたたか酒を飲んでいた。ようやく連勤が明けた。ずっと、何時間も、バカにコンピューターの使い方を説明する。コンピューターを買い換えただけで、どうして前のコンピューターのデータが引き継がれると思うのだ。クラウドのサービスも受けてない上、バックアップやデータ移行もしていない。古いコンピューターではできていた? そういう問題じゃない。
こちらの事情も考えず、今直ぐ自宅に来て説明しろと連絡してくる客。あるいは、皮肉、嫌味、酷い場合は、怒鳴りつけてくる客。こんな事の繰り返し、もう、うんざりだ。アルバイトで始めたオペレーターの仕事で、疲れ切ってしまう。役者になる夢を忘れそうになる。
どん!
リカルドは衝撃で、我に返った。そうだ、俺は運転をしていたんだ。リカルドは車を降りた。
黒っぽい服を着た、男が転がっていた。口から血を吐いて、目を見開いている……
これは……
ああ、神さま!
誰も見ていない。リカルドは、車に戻ると大急ぎで、その場を離れ自宅に戻って震えていた。自首するという事を思いつきもしなかった。一週間、仕事も休み、とにかく……ゲーム、いや、集中できない。酒を飲んで忘れようと思って、飲み続けた。しかし、冷蔵庫のビールもすぐなくなってしまった。
しかし、奇妙に思った。事故の報道がされない。何がどうなったんだ? あの男は死んでいなかったのか?
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■第1部 ノイズ
(1)石板/(2)あるひき逃げ/(3)ある娼婦の死/(4)通信障害/(5)アンティークショップ/(6)襲撃/(7)遺跡/(8)石/(9)遺跡の異変/(10)石板のメッセージ
