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ヌープ(4)通信障害

◆(4)9月12日 9時23分 通信障害

 

 ジョン・コーラルが、その石を見つけたのは、小さなアンティークショップだった。これは、掘り出し物だと思っただけでなく、何か不思議な気持ちが安らぐ感じがした。信じられないほどの精巧な細工のある石で、最初、象牙かと思った。相当、古いもののようだが……しかし、とても硬い白い石のようだ。こんなに硬い鉱石をどうやって緻密に彫刻したのだろうか。赤い幾何学模様も入っていて面白いと思った。安くもないが買えない値段ではない。

「ジョン! また、趣味の悪いものを買ってきたの? いくつ買ってくる気? 考古学者にでもなるの?」

部下のアイリス・ミラーが、皮肉を言った。アイリスの皮肉は、今に始まった事ではない。

「デザインの参考になるのさ。それに、ここは俺のオフィスだ。別に何を買って置いておこうが、仕事をやり遂げるなら、何の問題も無いはずだ。君も、自分の仕事をしろよ!」

ジョンのオフィスには、奇怪な仮面や、彫刻、土偶といったものが置かれていた。

 ジョンは、自分の机の上で、その精巧な遺物を置いて楽しむつもりだった。しかし、それを楽しむどころではなくなった。ネットが繋がりにくくなり、ついに繋がらなくなってしまった。

 アイリスは「オフィスで、無線LANなんかにするからよ!」と言った。ケーブルがごちゃごちゃしているのは、好きじゃない。できれば、コンピューターを使わないで仕事をしたいくらいだ。ジョンは、子どもの頃、紙に絵を描いた頃を思い出した。友人たちは、ペンタブで絵を描いていたが、ジョンは紙に描く方が好きだった。でも、それでは、生活が回らない。ジョンも、いつしか、全てをコンピューターで描くようになった。

 電話サポートに連絡をした。電話に出た担当者は、こんなことを言った。

「電子レンジとか近くにありませんか? 何か、強い電波の出るものを置いたとか。突然なったのですか? いつ頃からですか?」

 オフィスに電子レンジがあるかよ。一番目の質問に対しては、即座にNOだったが…… いつ頃からか……何かを置かなかったか?

 ひょっとして、この石か? ジョンは、その石を駐車場の車の中に置いてきて、部屋に戻った。ネットが繋がった。安定している。彼ならわかるかもしれない。ジョンは、友人のカイ・デソーサに電話をした。

「聞いたことがないな…… 別に電源が繋がっているわけじゃないんだろ?」

「家電製品じゃないんだ。アンティークショップで買った年代物の細工が施された石だ。これは、何百年前とか、相当古いんじゃないかな……」

「電源が無い状態で、通信に干渉するほどの何かの電波を出す鉱物は聞いたことがないし、あったとしても、その辺のアンティークショップでは売ってないな。しかし、もしそれが本当なら、とても興味深い。原理をぜひ知りたいものだ」

「はいはい。ありがとう。そのうち見せに行くよ」

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(5)アンティークショップ

■第1部 ノイズ

(1)石板(2)あるひき逃げ(3)ある娼婦の死(4)通信障害(5)アンティークショップ(6)襲撃(7)遺跡(8)石(9)遺跡の異変(10)石板のメッセージ


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