【第332回】 Marketing Cloud Next : 見込み客(プロスペクト)の活用
Marketing Cloud Next(Marketing Cloud Growth & Advanced Edition)では「見込み客(プロスペクト)」を活用することで、マーケターはより確度の高いリードだけを営業担当者に引き渡すことが可能になります。
「見込み客(プロスペクト)」とは、まだ商談化前ではあるものの、サインアップフォームなどを通じ、メールアドレスなど何らかの連絡手段(チャネル)を取得済みで、営業担当者にはまだ割り当てられていない状態の見込み客を指します。
一方「リード」は、潜在的な見込み客の中から、マーケティングの結果、スコアリング等の基準を満たし、営業担当者に割り当てられた段階です。さらに「取引先責任者」は、そのリードが進展し、商談化して、具体的な取引に進んでいる状態を表します。

人の状態
見込み客(プロスペクト):営業担当者に割り当てられる前の状態
リード:営業担当者に割り当てられた後の状態
取引先責任者:商談化して取引が開始している状態
商談化の可能性
見込み客(プロスペクト):低~中(担当者:マーケター)
リード:中~高(担当:営業担当者&マーケター)
見込み客の追加とインポート手順
まだリードとしては適格ではないけれど、将来的に購入の可能性がある人がいる場合、その人を「見込み客(プロスペクト)」として Marketing Cloud に追加することができます。
注意:見込み客(プロスペクト)を追加するだけでは、マーケティング配信を行うことはできません。マーケティング配信を行うためには、各チャネルにおける 同意レコード の作成が必要です。
追加方法
イベントトリガーフローで追加
手動で新規追加
CSV ファイルで一括追加
1. イベントトリガーフローで追加
フォーム送信イベントトリガーフローを用いて、サインアップフォームから見込み客(プロスペクト)を作成します。

注意:標準のサインアップフォームテンプレートを使用した場合、リード作成用の要素が自動で生成されます。そのため、見込み客(プロスペクト)作成用の要素を作成するには、手動で調整・変更する必要があります。
サインアップフォームの作成手順は、以下の記事をご確認ください。
2. 見込み客(プロスペクト)を 1 件ずつ追加する場合
Marketing Cloud の画面から見込み客(プロスペクト)を 1 件ずつ登録します。

「見込み客」タブを開きます。
右上の「新規」ボタンをクリックします。
フォームに見込み客の情報を入力します。
※ 送信のためには、少なくとも「姓」「メールアドレス」または「電話番号」のいずれか「通貨」の登録は必須です。入力が終わったら、「保存」をクリックして完了です。
3. 複数の見込み客(プロスペクト)を一括で追加する場合
複数人の見込み客(プロスペクト)の情報をまとめて登録したいときは、CSV ファイルを使って一括インポートできます。

「見込み客」タブを開き、右上の「インポート」をクリックします。
「ファイルからインポート」を選択し、「次へ」をクリック。
「ファイルをアップロード」をクリックして、CSV ファイルを選択 → 「次へ」をクリック。
CSV の各列を Salesforce 側の項目に対応づけます。
対応づけが終わったら、「インポートを開始」をクリックします。
「完了」をクリックして作業終了です。

見込み客の変換
見込み客(プロスペクト)からリードや取引先責任者への変換は、手動、もしくはフローを活用することで実行できます。
Tips:Summer '25 の新機能リリースで、見込み客(プロスペクト)から「取引先責任者」への変換が可能になりました。
見込み客(プロスペクト)の変換方法
見込み客を手動でリードに変換する
見込み客を手動で取引先責任者に変換する
見込み客をトリガーフローでリードや取引先責任者に変換する
1. 手動でリードに変換する
エンゲージメントスコアの条件を満たした見込み客(プロスペクト)を特定し、リードに変換します。

「見込み客」タブで、対象の見込み客(プロスペクト)を選択してレコードページを開き、右上の「変換」をクリックします。
新規リードとして入力するか、既存のリードを選択します。
※ 既存のリードに変換する時は、既存のリードの空の項目のみが見込み客の項目の値で上書きされます。レコード所有者や会社名など、必要な情報を入力します。
「変換」をクリックします。
→ 入力された情報がすべてリードレコードにマッピングされます。
注意:リードで「カスタム必須項目」が有効になっている場合、見込み客(プロスペクト)をリードに変換することはできません。

2. 手動で取引先責任者に変換する
資格のある見込み客(プロスペクト)を特定し、取引先責任者に変換します。取引先責任者は、新しい取引先または既存の取引先に関連付けることも可能です。

「見込み客」タブで対象の見込み客を選択してレコードページを開き、「変換」をクリックします。
「見込み客の変換」ウィンドウで、「取引先責任者」をクリックします。
取引先責任者および取引先を入力または選択します。
※ 既存の取引先責任者を選択した場合、新しい取引先の作成はできません。(オプション)新しい商談または既存の商談にこの取引先責任者を関連付けます。商談を作成したくない場合は、「変換時に商談を作成しない(Don’t create an opportunity upon conversion)」を選択します。
取引先責任者のレコード所有者を入力し、「変換」をクリックします。
注意:取引先責任者で「カスタム必須項目」が有効になっている場合、見込み客(プロスペクト)を取引先責任者に変換することはできません。

3. トリガーフローでリードや取引先責任者に変換する
Data Cloud トリガーフロー、イベントトリガーフロー、フォームトリガーフローなどを用いて、自動的にリードや取引先責任者に変換することができます。以下の記事で設定手順を説明しています。
リードの割り当てルールの設定
見込み客(プロスペクト)がリードに変換された後は、リードの割り当てルールによって自動的にレコード所有者が決定されます。
リードごとに異なるレコード所有者を割り当てる場合は、新しいルールを自分で作成する必要があります。
「設定」から「リードの割り当てルール(Lead Assignment Rules)」とクイック検索し、「リード割り当てルール」を選択して、新しいルールを登録します。
リード割り当てルールの例

✅ ルール 1: NOT(ISNEW())
条件:レコードが新規作成でない(=既存のリードが更新されたとき)
割り当て先:現在の所有者(Same User)
目的:既存リードの編集では割り当てを変更しない
✅ ルール 2: Lead: State/Province equals CA
条件:州または都道府県が「CA(カリフォルニア州)」の場合
割り当て先:キュー「Sales - Leads West」
目的:西海岸担当者に割り当て
✅ ルール 3: Lead: Lead Source equals Website
条件:リードソースが「Website」の場合
割り当て先:キュー「Sales - Lead」
目的:「Website」経由のリードは特定チームに割り当てる
✅ ルール 4: Lead: Email not equal to null
条件:Email アドレスが入力されている
割り当て先:キュー「Sales - Lead」
メール送信:オン
目的:メールがあるリードを Sales - Lead に割り当て、かつ担当者に通知
見込み客に関する考慮事項
Marketing Cloud で見込み客(プロスペクト)を操作するときは、次の考慮事項に留意してください。
リードに変換された見込み客(プロスペクト)はリストビューに表示されません。
データエクスプローラーでは表示されます。Converted = True の条件を指定しても、リストには表示されません。見込み客(プロスペクト)のセグメント作成時には、変換済みの見込み客を除外する条件を明示的に指定する必要があります。
たとえば、Prospect Status != Converted を指定しないと、変換済みの見込み客もセグメントに含まれてしまいます。見込み客(プロスペクト)はキャンペーンに直接追加できません。
キャンペーンメンバーとして追加できるのは、リードまたは取引先責任者のみです。見込み客(プロスペクト)はデータインポートウィザードからインポートできません。
見込み客(プロスペクト)のコピーや一括削除はできません。
見込み客(プロスペクト)の変換後のリードや取引先責任者との関連は、見込み客オブジェクトの「Converted Lead」項目にリードIDが格納されるほか、Identity Match データモデルオブジェクトにも関連レコードが作成されます。以下に活用方法の記載があります。
見込み客(プロスペクト)の変換後は、エンゲージメントスコアや、エンゲージメント(Email、Web など)の履歴などは、統合 ID が共通である限り、引き継がれます。(ID 解決、計算済みインサイトの更新の後)
参考ヘルプ:フローを利用して取引開始したリードの情報を取引先責任者レコードに転記する方法
いかがでしたでしょうか。
商談化前の見込み客が営業チームで十分に対応できる範囲であれば、無理に見込み客(プロスペクト)を活用する必要はないかもしれません。しかし、見込み客の数が多すぎて全てに対応するのが難しい場合は、営業効率を高めるためにも、見込み客(プロスペクト)を積極的に活用することをおすすめします。
マーケティングエンゲージメントスコアとフローを組み合わせることで、確度の高い見込み客のみを自動的に営業チームに引き渡し、より精度の高い連携が実現できます。
今回は以上です。
