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【第331回】 Data Cloud : 2025 年 7 月 新機能リリース ハイライト

現在、Data 360(Data Cloud)では 他の Salesforce 製品とは異なり毎月新機能がリリースされています。その数の多さに加え、内容も高度であるため、私自身キャッチアップに苦戦しています。

そこで、毎月の Data Cloud 新機能リリースのハイライトをまとめてあります。日頃の学習に活用してください。


2025 年 7 月リリース ハイライト

この 7 月、Data Cloud は 19 件もの新機能と機能強化のリリースを発表し、大きな注目を集めています。特に注目すべきアップデートは以下です。

  • DLO(Data Lake Object)内で、セカンダリインデックスを定義できるようになり、大量データ処理のクエリパフォーマンスが向上、コスト削減も実現

  • Zero Copy による Data Cloud 間の共有が可能となり、組織をまたいだ接続性と新たなユースケースの実現

  • 非構造データベースへの画像処理対応、テキスト処理のファイルサポート拡張とチャンク処理手法の改良

  • アクティベーション時の関連属性の複数パス対応

  • ID 解決における世帯(Household)サポートの導入

各機能の簡潔なまとめを以下にご紹介します。より詳しく知りたい方は、Data Cloud Video Hub で公開されている以下の 4 時間のフル動画をご覧ください。



デジタルウォレットの詳細な消費データ

これまでの集計ベースの消費メトリクスに代わり、より詳細なリソースベースのメトリクスへの移行が始まりました。この新しい仕組みにより、管理者はどのプロセスがどの程度の Data Cloud サービスクレジットを消費しているのかを、より正確に把握できるようになります。

具体的には、TenantBillingUsageEvent データレイクオブジェクトに、ResourceIdOrApiName__c と ResourceType__c という新しい 2 つのフィールドが追加され、Digital Wallet のデータテーブルで、利用量の異常行動を引き起こした特定の定義の「実際の値」と「タイプ」を直接確認できるようになります。

※ 段階的リリース中です。


コンパニオン組織でのセマンティックレイヤーの表示

Data Cloud One によって、複数の Salesforce 組織が Data Cloud 上のデータを 閲覧・編集・共同作業 できるようになりました。今回のアップデートにより、セマンティックレイヤーがコンパニオン組織からも閲覧可能 となり、Tableau Next や Tableau Cloud でのレポート作成が可能になります。

セマンティックモデルの作成や編集機能は今後のリリースで提供されます。


セキュリティ強化:データレジリエンス管理機能(DRMC)

規制が厳しい業種のお客様向けに、Data Cloud はデータの可用性・整合性・復元性を最高水準で維持するため、DRMC(Data Resiliency and Metadata Catalog)の活用を可能にします。

DRMC は、サイバー攻撃やハードウェア障害といった脅威からミッションクリティカルなデータを保護するために設計されており、以下の特長があります。

  • AWS ベースの S3 レプリケーション

  • 変更不可なバックアップ(イミュータブル)をセキュアな「バンカーアカウント」に保存

  • 継続的なデータレプリケーションリアルタイムに近い自動復旧対応

  • データの改ざん防止ロック

この機能により、Data Cloud はセキュリティと信頼性のさらなる強化を実現しています。


Zero Copy による Data Cloud 間データ共有(ベータ)

新たに登場した Zero Copy 共有機能(ベータ)により、異なる Data Cloudテナントまたは組織間でのセキュアかつほぼリアルタイムなデータ共有が可能になります。この機能では、データの複製や再取り込みを行うことなく共有できるため、ストレージコストの削減、ELT プロセスの重複排除、レイテンシの低減が実現されます。

Zero Copy アーキテクチャはクエリフェデレーションを利用し、対象組織がソース組織の共有オブジェクトへ仮想的にアクセスできるようにします。これにより、クリーンルーム環境におけるプライバシーを保ったコラボレーションや、組織横断の高度な分析やアクティベーションシナリオの実現が可能になります。


新しい Marketing Intelligence コネクター(ベータ)

Marketing Intelligence 向けに、新たに 3 つのベータ版コネクターが追加されます。

  • Instagram

  • YouTube Insights

  • Google Ads Manager

これらのコネクターにより、人気プラットフォームからの主要なマーケティングパフォーマンスデータをスムーズに取り込み、変換し、統合することができます。


画像処理:非構造データ対応の拡張(オープンベータ)

画像処理機能が Feature Manager からオープンベータとして利用可能になります。これにより、現在の非構造データパイプラインにおいて、テキスト・音声・動画に加えて、画像の理解もサポートされるようになります。

新機能では以下の処理が可能です:

  • OCR(画像からテキストを抽出)

  • 画像キャプション生成(GPT-4o を活用し、画像内容を説明)

  • 画像類似性検索(カタログから視覚的に似たアイテムを検索)

これにより、CRM やクラウドストレージなどから取得した画像を解析・インデックス化し、エージェントやアプリケーションで検索可能なインサイトとして活用できます。対応フォーマットには、JPEG、PNG、JPG、PDF(埋め込み画像付き)が含まれます。

検索インデックス作成時に「画像処理オプション」を有効にすると、処理済みの画像データがチャンク DMO 内の新しいチャンクとして表示されます。


Amazon Kinesis コネクターのフェデレーテッド認証(ベータ)

Kinesis との接続に必要な AWS 認証情報を Data Cloud に保存する必要がなくなるベータ機能が登場しました。代わりに、Salesforce を AWS IAM におけるアイデンティティプロバイダーとして登録することで、管理者は最小限の権限に絞った IAM ロールを作成できます。

IAM ロールが作成された後は、ARN(Amazon Resource Name)のみでData Cloud との接続を確立可能です。これにより、

  • 認証情報の管理を AWS 側に集約できる

  • 最小権限のセキュリティ原則に則った運用が可能

  • ロール変更も AWS 側のみで対応可能(Data Cloudでの再設定は不要)

といったメリットが得られます。


コネクター・フレームワーク:パートナー向け(ベータ)

Salesforce パートナーは、既存の Data Cloud コネクターをホワイトラベル化し、AppExchange を通じて配布することが可能になりました。これにより、自社製品の可視性とブランディングを強化できます。

例えば、Apache Iceberg コネクターなどの汎用的なコネクターを、一から構築せずにブランド付きのバージョンとしてパッケージングできます。これらのカスタムコネクターは、ベースコネクターのアップデートを自動で継承し、元のコネクターと同等またはそれ以下のリリースステータス(GA、ベータなど)で提供できます。

今後のバージョンでは、ゼロから新しいコネクターを構築する機能もフレームワークに追加予定です。


データグラフ:参加 DMO 内でのルートキーのタグ付け

ネストが深い Data Graph において、下層の DMO 内でルートキー(例:Individual Id)を直接タグ付けできるようになりました。これにより、グラフの更新時に複数の外部キー関係をたどる必要がなくなりリフレッシュ時間とコストが大幅に削減されます。

方法としては、ルート DMO の主キーを参加 DMO 内のフィールドとして追加し、「ルートキー」としてタグ付けするだけです。これにより、システムは更新対象の Data Graph レコードを即座に特定でき、多階層グラフで頻繁に更新される DMO において特に有効です。


非構造データ:新しいファイル形式とセクション認識型チャンク化

Data Cloudのベクトルデータベースが新たに以下のファイル形式に対応しました。

  • Microsoft Office ファイル(.docx、.pptx、.xlsx)

  • メールファイル(.eml、.msg ※添付ファイル付き)

  • XML ファイル

さらに、セクション認識型チャンク化(Section-Aware Chunking)も導入され、関連する段落やセクションを意味のある単位でまとめて処理できるようになりました。
テキストが重複するようにチャンクを作成できるため、文脈がより保たれ、従来のパッセージ抽出型手法による過剰な分割の課題が改善されます。

これにより、より正確なベクトル埋め込み(embedding)が可能となり、検索の精度と Agentforce による回答の完全性が大幅に向上します。


非構造データ:検索インデックスの処理履歴の表示

検索インデックスに「Process History(処理履歴)」タブが新たに追加されました。ここでは、以下のような詳細なジョブメトリクスを確認できます。

  • タイムスタンプ

  • 処理/スキップされたレコード数

  • 総データサイズ

  • 作成・削除されたチャンク数

  • ジョブステータス

この情報は、2025 年 6 月以降に完了したすべてのジョブに対して提供され、直近 1,000 件の履歴が保持されます。

この機能により、インデックス作成プロセスの透明性が向上し、新しい非構造データが正常にベクトルデータベースに取り込まれたかどうかを検証しやすくなります。また、全体的な消費量に影響する重要な指標も確認できます。


ID 解決における世帯(Household)サポート

ID 解決により、個人を世帯単位でグループ化できるようになりました。これには、パーティ ID(識別子)や連絡先住所の詳細が活用されます。これにより、個人やアカウント単位ではなく「世帯単位」での分析やアクティベーションといった新たなユースケースが可能になります。

Unified Individuals や Accounts と同様に、Unified Households はブリッジレコード「Household Member Link」を通じて個人と紐付けられます。1 人の個人が複数の住所を持っている場合、複数の世帯に属することも可能です。

なお、初回リリースでは 1 つのルールセットにつき 1 つのマッチングルールのみ設定可能で、過度なグルーピングの複雑化を防いでいます。

次回のリリースでは、Unified Household を対象としたセグメント化とアクティベーションが可能になる予定です。


DLO のセカンダリインデックス対応

この機能により、主キー以外のフィールド(例:グローバルアカウント ID)でのフィルタリング時に、クエリパフォーマンスが大幅に向上し、クレジット消費の削減が可能になります。

仕組みとしては、Batch Data Transforms を利用して対象フィールドでパーティション分割されたインデックス付きの DLO を複製し、全件スキャンせずに一致する行だけを直接取得できるようにします。インデックスは毎日再構築され、戻り件数が少ないクエリ(選択性が高いクエリ)に最適です。

処理コストが増えるため、1 つの DLO に対して 1 日あたり 1 万件以上のクエリがあるような高頻度シナリオで ROI が見込めます

初期リリースでは DLO あたり 1 つのインデックス・1 フィールドのみの指定が可能ですが、ガバナンスやデータスペースの権限制御には完全対応しており、大規模テーブルに対するクエリ高速化とコスト削減をスケーラブルに実現できます。


セグメントのスケジューリング拡張

セグメントのリフレッシュに関して、より柔軟なスケジュール設定が可能になりました。

従来は手動またはフロー経由での更新が必要でしたが、今回のアップデートにより、

  • 毎日/毎週/毎月の間隔で自動更新が可能

  • 曜日・時間・期間の指定が細かく設定可能

となり、より戦略的かつ正確なセグメント管理が実現されます。


セグメンテーションデータのプレビュー

この新機能により、セグメント作成時に本番公開前にサンプル結果を確認できるようになりました。これにより、不必要な処理コストや遅延の発生を未然に防ぐことが可能になります。

新たに導入された「Data Lens」コンポーネントを使うことで、Tableau Prep のような構造化データのプロファイリングと可視化が実現されます。

  • 最大 1,000 件のサンプル行をテーブル表示

  • 上部のプロファイルペインには、最大 100 万件のレコードを使った属性分布の概要を表示

これにより、セグメントのフィルター検証、データ品質確認、属性の探索が容易になり、自信を持ってセグメントを確定できます。

この機能はデフォルトで有効化されており、追加ライセンスは不要。処理された 100 万レコードあたり 2 クレジットで課金されます。

※こちらの機能は現在リリースが延期しています。


関連属性の複数パス対応

従来は、アクティベーション時に単一の属性パスしか選択できない制限がありましたが、このアップデートにより複数の Data Model Object(DMO)パスから属性を同時に抽出可能になりました。

これにより、購入履歴・エンゲージメントデータなど異なる領域のデータを組み合わせたパーソナライズ施策が、データのフラット化や後処理なしで実行可能になります。

主な強化ポイントは以下のとおりです。

  • マルチパス対応:複数の DMO パスから属性を選択可能

  • フィルターの独立適用:フィルター対象属性をペイロードに含めずに指定可能、不要なデータ転送を削減

  • 新しいグルーピング UI:ペイロードの最終 JSON 構造を視覚的に表示

  • DMO カウンター:(中間結合を含む)アクティベーションに関わる DMO 数を表示(上限 8 DMO


アクティベーショントリガーフロー

このパイロット機能により、手動エクスポートや複雑なミドルウェアを使用せずに、セグメントを外部システムにアクティベート(連携)できるようになりました。マーケターは Data Cloud 上でアクティベーションを定義し、生成されたオーディエンスデータを任意の API エンドポイントに自動送信できます。これらの処理は Salesforce Flow によってオーケストレーションされます。

この機能では、外部システムとの接続方法として以下の 2 つのオプションが用意されています。

  • 外部サービス + 名前付き認証情報
    認証情報(API キー、OAuth 2.0、またはベーシック認証)を 名前付き認証情報として設定し、外部サービスを作成。新しい「Activation Trigger Flow」で HTTP コールアウトアクションを追加します。

  • Mulesoft のコネクタを使用する Flow 連携
    HubSpot、Twilio、Zendesk などの Mulesoft 標準コネクタを活用し、Data Cloud の属性をターゲットシステムのスキーマに直接マッピングできます。

アクティベーション対象には「Data Cloud」を指定する必要があります。アクティベーション実行後、Audience DMO が更新されるとプラットフォームイベントが発火し、Flow がトリガーされてペイロードをエンドポイントへ送信します。

現在のパイロットでは以下の制限があります。

  • 対応:バッチアクティベーションのみ

  • 対象:Individual および Unified Individual DMO

  • レート制限:1 時間あたり最大 10 万件

  • 関連属性:最大 2 ホップまで

  • GA(一般提供)では数百万件レベルの対応予定


GetSegment Connect API の拡張

開発者はこれまで、セグメントの詳細情報を取得するために、まず API 名を調べたうえで別の API 呼び出しを行う必要がありました。

今回のアップデートにより、セグメント ID を使って 1 回の API コールでセグメント詳細を取得できるようになりました。これにより、自動化や統合用途における手順が簡素化され、開発者の作業効率が向上します。


GetAll Segment フィルター機能の強化

「Get All Segment」Connect API において、より高度なフィルタリングが可能になりました。今回追加された内容は以下の通りです。

  • 新しいフィルターフィールド

    • SegmentStatus

    • LastPublishedEndDateTime

    • SegmentOn

  • 新しい演算子

    • !=(等しくない)

    • in(指定した値のいずれかに一致)

  • 1 リクエストあたりのフィルター数の上限が 10 個に増加

  • LastPublishedEndDateTime フィールドでは != 演算子のみ使用可能

  • フィルター条件はすべて AND(大文字)で連結する必要あり

これらの拡張により、API 構造を変更せずに、より精度の高い・効率的なセグメントの取得が可能になります。


今回は以上です。


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