見出し画像

【第345回】 Data Cloud : 2025 年 8 月 新機能リリース ハイライト

現在、Data 360(Data Cloud)では 他の Salesforce 製品とは異なり毎月新機能がリリースされています。その数の多さに加え、内容も高度であるため、私自身キャッチアップに苦戦しています。

そこで、毎月の Data Cloud 新機能リリースのハイライトをまとめてあります。日頃の学習に活用してください。


2025 年 8 月リリース ハイライト

2025 年 8 月、Data Cloud の最新リリースが登場し、驚異的なコスト削減強化されたセキュリティ接続性の向上、そして AI による生産性アップ を実現しました。

  • コスト削減
    構造化された Salesforce データの取り込みが完全無料化され、CRM、Commerce、Marketing Cloud ソースでのクレジット消費はゼロに。

  • セキュリティ強化
    Databricks、Snowflake、BigQuery コネクタ向けの Federated Authentication により、静的な認証情報が不要に。

  • データコラボレーション & AI
    ベータ版の Data Cloud Clean Rooms で、安全かつプライバシー準拠のデータ共有が可能に。
    Document AI(GA)では、複雑なドキュメントから構造化インサイトを抽出。

  • マーケティング機能の進化
    「取引先」や「統合取引先」から「統合個人」を有効化し、より豊かで的確なターゲティングを実現。
    Web SDK と Google Ads/DV360 を活用した匿名訪問者のリターゲティングや、新しい Member Verification Agent によるセグメントメンバーシップの確認も可能に。

  • 統合機能の拡充
    Workday コネクタ、プライベートな Amazon MSK ストリーミング、さらに Line Ads、Reddit Ads、SA360 向けの新ベータコネクタを追加。

  • 開発者向けアップデート
    Streaming Audit DMO、Einstein 搭載 Draft Calculated Fields、ストリーミング変換の結合強化、DC1 向け Data Graph 読み取り専用アクセスなどを提供。
    Accelerated DMO サポートにより、BYOL レイクハウスデータをリアルタイムアクティベーションに活用可能に。

より詳しく知りたい方は、Data Cloud Video Hub で公開されています。



主な機能概要

Salesforce データ取り込みの完全無料化

Salesforce CRM、Commerce Cloud、Marketing Cloud Personalization、Marketing Cloud Engagement からの構造化データの取り込みが完全無料になり、クレジット消費はありません。

これはストリーミングモードとバッチモードの両方に適用され、Internal Data Pipeline の使用タイプとして処理されます。本番環境 および Sandbox のいずれの組織でも Digital Wallet に課金として表示されません。
※非構造化データ(ファイルなど)は対象外です。


Data Cloud Clean Rooms(ベータ版)

2 つの組織間で、生の情報を公開することなく、ファーストパーティデータを共同活用できる安全かつプライバシー準拠の環境を提供します。

事前定義されたユースケーステンプレートを使用し、承認済みクエリ(例:セグメントの重複分析)を実行して、共有オーディエンスの特定、未開拓セグメントの発見、クリエイティブやメッセージの最適化、キャンペーン費用の効率化が可能です。

データ移動を伴わないフェデレーテッドクエリ、ハッシュ化 PII や少人数識別防止のしきい値などのプライバシー保護、詳細な監査ログによる透明性を備えています。広告以外にも、金融、ヘルスケア、小売など幅広い分野で活用が見込まれます。


Document AI

請求書、RFP、複雑な複数ページのファイルなどの非構造化ドキュメントから構造化データを AI で抽出します。

バッチ処理とトランザクション API の両方をサポートし、新しい Config Builder で抽出スキーマを視覚的に設定、リアルタイムで出力をテスト、カスタムプロンプトで精度を調整できます。フィールド抽出、複雑なテーブル、複数言語のコンテンツにも対応し、GPT-4.0Gemini 2.0 などの高度な LLM を活用します。バッチモードでは結果を DLO に書き込み Data Cloud 処理に利用でき、API モードでは事前取り込みなしでオンデマンド抽出が可能です。

価格は既存の Unstructured Data Processing(サイズベース) および Einstein リクエスト(トークンベース) のメーターを利用します。現時点での制限は 10 MB または 50 ページの PDF ですが、今後はより多くの形式やページ単位の抽出、文書分類、他の Salesforce Cloud との統合強化が予定されています。


Self-Serve Deprovisioning(ベータ版)

現在ベータ提供中の Self-Serve Deprovisioning により、顧客は手動操作を必要とせず、Data Cloud インスタンスおよび関連メタデータを組織から削除できるようになりました。これにより、ライセンスの有効期限切れ、DC1 のリモート組織への変換、誤って行ってしまったプロビジョニングの取り消しといったニーズに対応可能です。

従来は BT Actions やモラトリアム回避などを伴うエンジニア主導の複雑な作業が必要でしたが、今回から自動化され、社内リソースを解放し、顧客は即座に対応できるようになりました。

削除後は Data Cloud 依存の機能(例:セマンティックレイヤー、DMO、Calculated Insights など)がすべて利用できなくなりますが、必要に応じて再度プロビジョニングを行うことも可能です。


Federated Authentication(Databricks、Snowflake、Google BigQuery Zero-Copy Connectors)

現在 GA の Federated Authentication により、静的で長期間有効な認証情報を、Salesforce IDP によって管理される安全な短期トークンに置き換えることができます。これにより、手動での認証情報ローテーションが不要となり、コンプライアンスリスクが軽減され、認証情報の共有による脆弱性も解消されます。すべてのケースで Salesforce が発行する JWT が「デジタルハンドシェイク」として機能し、パスワードを使用せずに信頼できるアクセスを実現します。

  • Databricks:Federation Policy を持つ Service Principal を使用

  • Snowflake:Client ID と External ID を伴う OIDC を使用

  • BigQuery:Google Cloud Security Token Service と Workload Identity Pool を経由し、BigQuery 権限を持つサービスアカウントに接続

いずれのコネクタも既存接続との後方互換性を維持しており、コネクタ UI から直接有効化可能です。これにより、Data Cloud の後続ワークフローの完全な機能を保持しながら、セキュリティと運用効率が大幅に向上します。


Member Verification Agent

セグメント に追加された新しい Member Verification Agent により、特定のプロファイルがセグメントに含まれているかどうかを迅速に確認できます。

Data Explorer や Query Editor でメンバーを検索する必要はなく、セグメントビルダーや他の画面からエージェントに問い合わせるだけで、指定したプロファイル ID のメンバーシップを確認できます。


Activate on Unified Profiles

GA となった Activate on Unified Profiles により、ユーザーは「取引先」または「統合取引先」でセグメントを作成し、「統合個人」に対して有効化を行えるようになりました。

※ 通常の「個人」に対しては、これまでも有効化できました。

これにより、最適なコンタクトポイント(メールアドレスや電話番号)を通じたアプローチや、統合プロファイル属性を活用したパーソナライズが可能になります。今回の拡張は、Marketing Cloud や クラウドストレージだけでなく、Meta、LinkedIn、Google Ads などもサポートします。

注意:B2C Commerce Cloud や AppExchange Partner ターゲットなど一部の宛先は対象外です。

ユーザーは統合属性をアクティベーションペイロードにドラッグ&ドロップし、必須/任意フィールドを設定し、統合プロファイルデータへマッピングできます。Marketing Cloud 有効化では、1 人あたり 1 つのコンタクトポイント(メールアドレスや電話番号)のみが送信され、ソースの優先順位を設定できます。(例:ファイルアップロードしたレコードを優先するなど


Anonymous Site Visitor Retargeting(Google Ads & DV360 向け)

Anonymous Site Visitor Retargeting を利用すると、ログインしていない、または PII(個人識別情報)を提供していないウェブ訪問者をターゲティングできます。これは Data Cloud の Web SDK と Google タグ間での Cookie/デバイス ID のマッチングを使用して実現します。

これにより、Google のオーディエンスサービスを通じて、ログイン済みおよび匿名の訪問者の双方をリターゲティングできます。ピクセル同期やタグ設定に関する詳細なセットアップ手順も提供されます。


Workday Connector

Workday Connector は、Workday HRMS/HCMS から従業員ライフサイクルデータを Data Cloud にシームレスに統合できます。

このデータは、離職防止やキャリア開発の予測分析、コンプライアンス管理(例:研修完了状況の追跡)、オンボーディング/オフボーディングワークフロー(IT 資産のプロビジョニングなど)の支援に活用可能です。

セットアップは、Data Cloud 内で Workday 接続を作成し、アカウント認証情報と URL を入力、その後データストリームを作成して、オブジェクト、フィールド、フィルタ、更新頻度、展開設定を選択します。また、フル/増分更新の両方に対応しており、フィルタ付きまたは全件のデータ取り込みが可能です。


Amazon MSK Connector(Private Connect 対応)

Amazon MSK(Managed Streaming for Kafka)Connector が Data Cloud Private Connect を通じたプライベートネットワーク接続に対応しました。

これにより、ストリーミングデータをパブリックインターネットにさらすことなく転送できます。従来はパブリック IP アドレスを持つ MSK インスタンスのみ接続可能でしたが、AWS 側でネットワークロードバランサーと VPC エンドポイントサービスを作成し、そのエンドポイントサービス情報と MSK ブートストラップサーバーを Data Cloud に追加することで、プライベートルートを構成できます。

その後の接続設定はパブリック接続と同様で、プライベートルートが選択されていればクラスター情報は自動で取得されます。

また、この機能は Data Cloud テナントから異なる AWS リージョンにある MSK インスタンスへのプライベート接続にも対応します。


新しいベータ版 Marketing Intelligence Connector(3 種)

Line Ads、Reddit Ads、Google Search Ads 360(SA360)向けの 3 つの新しいベータ版コネクタが利用可能になりました。これらにより、キャンペーンパフォーマンスや分析のためのデータ取り込みオプションが拡充されます。
内部チームおよびパートナー向けに、セットアップガイド、価値提案資料、FAQ、エンドツーエンドのデモ動画などのリソースが提供されています。


Streaming Audit DMO

新しい Streaming Audit DMO 機能は、これまで Audience DMO を通じたバッチベースのアクティベーションにしか対応していなかった監査機能を、Data Cloud 内のストリーミング DMO アクティベーションにも拡張します。

これにより、ストリーミングターゲットにアクティベートされたレコードの詳細な監査ログが提供され、法令遵守やキャンペーン分析をサポートします。スキーマには、コミットタイムスタンプ(丸め値と正確値の両方)、アクティベーション ID、JSON 形式の完全なアクティベーションレコード、ストリーミングジョブのメタデータ、処理/アップロードタイムスタンプが含まれます。

これにより、マーケターはどのレコードがアクティベートされたかを検証し、追加費用やライセンス変更なしで規制要件を満たすことができ、完全な監査性を必要とするキャンペーンでのストリーミングアクティベーションの採用促進につながります。


Draft Calculated Fields with Einstein

Draft Calculated Fields with Einstein 機能は、AI を活用してテーブル間のリレーション推奨や自然言語プロンプトからの計算フィールド生成を行い、セマンティックモデルの作成を加速します。

スキーマをスキャンして関連するテーブル接続を特定するため、フィールド単位の詳細な知識がなくてもモデル構築が可能になります。また、ユーザーは「地域ごとの売上を表示する計算フィールドを作成して」などと説明するだけで、AI が計算式を生成します。

これにより、ダッシュボード構築などのタスクにおいて、手作業の削減、技術的障壁の排除、インサイト提供の迅速化が実現します。


Streaming Transforms の拡張 JOIN サポート

Streaming Transforms で最大 5 つの DLO を 1 つのストリーミング変換に結合できるようになりました。(従来は 1 つの DLO のみ対応)

SQL 式で INNER JOIN または LEFT JOIN 句を使用でき、ON 句で一致条件を指定し、データ変更時に変換をトリガーするストリーミングソースオブジェクトを指定します。

これにより、従来はバッチ変換が必要だったリアルタイム結合が可能になり、より迅速で柔軟な処理が実現します。JOIN には少なくとも 1 つのプライマリキーを含める必要があり、変換利用の課金は従来通り「読み取り行数または書き込み行数の大きい方」で計算され、読み取り行数はストリーミングソースオブジェクトに基づきます。


Data Cloud One の Read-only Data Graph サポート

Data Cloud One における読み取り専用 Data Graph サポートが、コンパニオン組織ユーザー向けに利用可能になりました。

これらのユーザーは Data Cloud One アプリと関連する権限セットを通じて、利用可能なグラフの一覧、DMO やフィールド、設定、JSON プレビューなどの詳細を確認し、構造を把握できます。

DC1 コンパニオン組織ユーザーはグラフの編集はできませんが、リアルタイムおよび標準 Data Graph の両方に対応します。Connect API 経由でのクエリ機能はこれまで通り、認証済みユーザーであれば利用可能です。


Streaming DMO における Accelerated DMO サポート

Streaming DMO における Accelerated DMO サポートにより、外部 DMO(顧客の BYOL レイクハウス、例:Snowflake ダイレクトアクセス)がストリーミングアクティベーションで利用可能になりました。ただし、Accelerated 化されている場合に限ります。

従来は、ストリーミングアクティベーションは Data Cloud Lakehouse 内に保存された標準 DMO のみ対応していました。


今回は以上です。


次の記事はこちら

前回の記事はこちら

私の note のトップページはこちら