【第400回】 Data Cloud : 2025 年 11 月 新機能リリース ハイライト
現在、Data 360(Data Cloud)では 他の Salesforce 製品とは異なり毎月新機能がリリースされています。その数の多さに加え、内容も高度であるため、私自身キャッチアップに苦戦しています。
そこで、毎月の Data Cloud 新機能リリースのハイライトをまとめてあります。日頃の学習に活用してください。
2025 年 11 月リリース ハイライト
2025 年 11月も、Data 360(旧 Data Cloud)に大幅なアップデートが多数加わりました。特に注目すべきは、ベクトル検索で一致した非構造化データに対して Data Action を実行できるようになったこと、そして Salesforce 画面内で非構造化ドキュメントを統合的に扱える新インターフェースの登場です。
また、多くのネイティブコネクタが Zero Copy に対応し、データ取り込みコストを削減しつつ、重要データを高速に活用できるようになっています。
このほかにも、セカンダリインデックス、データグラフ、CRM コネクタ、ファイルアップロード、マーケティングデータモデル、セグメント機能など、多岐にわたるアップデートが盛り込まれています。
詳しくは以下のダイジェストで全体の概要をご覧ください。
主な機能概要
Zero Copy:コネクタの大幅拡張
Data 360 にある 100 を超えるネイティブコネクタについて、管理者は 従来の Ingestion 接続 か Zero Copy 接続 のどちらかを選択できるようになりました。Zero Copy は、必要なタイミングでのみソースから直接データを取得するため、取り込みコストを下げながらリアルタイム性を高めることができます。
なお、この方式は 接続設定時のみ選択可能 で、一度作成した既存ストリームについて後から Zero Copy に変更することはできません。
Zero Copy 対応コネクタ一覧はこちらです。
https://salesforce.com/data/connectivity/data-cloud-connectors
非構造化データに関するアップデート
非構造化データに対する Data Action
非構造化データには多くの重要な情報が含まれていますが、これまでは PDF 内やその他ファイル内で「重要な変化」が発生しても、それを検知してアクションにつなげることが難しい状況でした。
今回のアップデートにより、ベクトル検索と Data Action を組み合わせて利用できるようになりました。
たとえば、住宅検査の PDF レポートがアップロードされ、その中に「カビ」や「ラドン」に関する重要な記述が含まれていた場合、Data 360 はそのイベントを検知し、PDF・TXT・画像・HTML・音声/動画など様々な形式の非構造化データに対して、自動的なアクションを実行できるようになります。
整理・表示機能
今回の機能強化により、Data 360 ユーザーは 非構造化データを Salesforce CRM 内で整理・標準化し、直接表示できるようになりました。
外部ツールで生ファイルを開く必要はありません。
非構造化データは HTML 形式で意味的に統一されたセクションに整理されます
Lightning コンポーネントとしてプラットフォーム上の任意の場所に表示できます
内部での閲覧・操作ログは自動的に記録され、標準レポートで確認できます
NotebookAI(ベータ版)
NotebookAI は、NotebookLM のエンタープライズ版とも言える存在で、チームが複数の資料から効率的に情報を抽出し、回答や洞察を得るためのツールです。
PDF、Webページ、RFP、マニュアル、社内ドキュメントなどを Notebook に追加
埋め込み型 AI エージェントが内容を要約・統合
質問に対して直接回答
サポートチームの対応時間短縮、営業チームの RFP 作業効率化、プロダクトやオペレーションの調査効率化に貢献
Notebook と Resource Library を作成してファイルや URL を追加するだけで、Data 360 が自動でインデックス化し、AI エージェントが横断的に検索・推論します。
回答はコピーしたり PDF 出力したり、既存のエンタープライズ検索インデックスと統合することも可能です。
ガバナンス対応:自動タグ付け・マスキング
非構造化データ(PDF・メール・チャット・テキストなど)がインデックス化される際、Data 360 は AI を用いて PII(個人情報:SSN、パスポート番号、メールアドレス、氏名など)を自動検出し、タグ付けします。
管理者は信頼度(Confidence)レベルを設定可能
低 → 多くの自動タグを許可
高 → 最も厳格に判断
タグは動的なデータマスキングポリシーと連動
クエリ実行時に PII のみマスクされ、それ以外のデータはそのまま利用可能
非構造化データの同意管理
これまで「忘れられる権利」「可搬性」「処理制限」などのプライバシーリクエストは構造化データのみ対象でしたが、今回から 非構造化データも対象 となります。
削除リクエスト
作成されたすべての非構造化データ(chunk、vector、index など)を削除
S3/GCS など外部クラウドストレージの参照をクリア
Salesforce 管理ストレージの場合は実ファイルを削除
可搬性リクエスト
外部ファイル参照または Salesforce 保存ファイルのコピーを AWS Export Package に含めて提供
既存 API に変更は不要で、内部的に機能が拡張される形で動作します
CRM コネクタのアップデート
リフレッシュ機能の選択肢追加
管理者が「Refresh Now」を選択する際に、
フルリフレッシュ
増分リフレッシュ
のどちらを実行するか選べるようになりました。
また、フルリフレッシュの実行頻度も「10日・25日・50日・実行なし」から選択できます。
Sandbox 接続の維持
Sandbox をリフレッシュすると Org ID が新しくなるため、従来は接続が壊れていました。
今回、Data 360 の設定内にある 「Verify Connection」 を押すことで、再認証後に 内部的に Org ID を更新し、接続を維持 できるようになりました。
これにより、コネクタの作り直しやプロセスの再構築が不要になります。
接続設定時の Org ID 表示
新しい CRM 接続を設定する際に、「Home Org」と「Connecting Org」の ID を確認できるダイアログが表示され、誤った org を接続するリスクが軽減されました。
バッチ専用フィールドの識別
Streaming モードは最も高速にデータを更新できますが、数式項目など一部のフィールドはストリーミング更新に対応していません。
今回、こうした バッチ専用フィールドが UI 上で明確に表示され、ストリーミングの障害点を事前に把握できるようになりました。
Secondary Index の強化
セカンダリインデックスに 2 つの強化が加わりました。
増分リビルドに対応
毎日固定で再構築するのではなく、行の変更率が一定以上のときのみ再構築します。複数キーを持つ DLO に複数インデックスを作成可能に
顧客 ID や外部システム ID など、複数の識別子ごとにインデックスを張れるようになりました。
クエリエンジンはこれらのインデックスを自動選択し、パフォーマンス最適化を行います。
Engagement 関連のアップデート
SMS Bundle Updates(SMS データの強化)
新しい SMS バンドルでは、以下の SMS 情報がより詳細に取り込まれます。
配信レシート
インバウンドメッセージ情報
クリック
購読ステータスの変更
また、同期頻度が 1 時間から 15 分に短縮されました。
既存バンドルは UI から再デプロイが必要です。
DE ベースストリームの即時更新(即時リフレッシュ機能)
Data Extension をベースにしたデータストリームでも、「Refresh Now」 により即時更新が可能になりました。
また、UI 上で 増分更新 と フル更新 の選択 もできます。

Marketing Data Model の変更
2025 年 11 月以降、Marketing Cloud Engagement と Data 360 の接続は、Marketing on Core と整合した新データモデルを標準利用するようになります。
既存顧客には影響なく、現在の接続・ストリーム・値・セグメントはすべてそのまま動作します。
新規接続では以下が追加または変更されます。
新しいマッピング
2 つの新しいメール系ストリーム(Email Engagement Not Sent / Email Bulk Message)
click アクション値が “Click” → “CLICK” のように新フォーマットへ統一
新しいセグメント作成エージェント
従来の Einstein Segment に代わり、会話形式でセグメントルールを生成するエージェントが登場しました。
ユーザーが「どのようなオーディエンスか」を文章で入力すると、エージェントが高精度でルールを生成します。
ただし、AND/OR のグループ化や除外設定は、引き続き手動で調整します。
ローカルファイルアップロードの強化
今回のアップデートで、多くの制限が撤廃されました。
最大 2GB のファイルアップロード
最大 100 列
数式フィールドの作成
Upsert モードの選択
より実務的なデータ取り込みに対応しています。
Data Transform の強化
複数レーン対応
これまで DLO/DMO は 1 つの Batch Transform のターゲットにしかできませんでしたが、今回、1 つの Batch Transform 内で複数レーンを持ち、同じオブジェクトを対象にできるようになりました。
Transform 画面から DLO 直接作成
Transform の設定画面から直接 DLO を新規作成できるようになり、設定効率が大幅に向上しました。
Data Graph のアップデート
DC1 Companion Orgs での Data Graph 表示
Data Graph を Home Org から他の Data 360 org へ共有し、閲覧できるようになりました。
Data Graph Agent Capabilities(パイロット版)
2 つの新しいエージェント機能が追加されました。
リアルタイムデータグラフのデプロイ状況や基本設定を自然言語で確認
特定個人の ID マッピングを自然言語で確認(複雑なクエリ不要)
リアルタイム対応コネクタの拡張(ベータ版)
これまでリアルタイムレイヤーに直接書き込めるのは Web/Mobile SDK など一部のみでした。
今回からは、非リアルタイムソースでも DLO に到達後、ほぼリアルタイムに Real-Time Data Graph に反映できるようになります。
なお、ベータ中は通常のクレジットが必要で、GA 以降はリアルタイム課金が適用されます。
今回は以上です。
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