【第498回】 Data Cloud : 2026 年 4 月 新機能リリース ハイライト
現在、Data 360(Data Cloud)では 他の Salesforce 製品とは異なり毎月新機能がリリースされています。その数の多さに加え、内容も高度であるため、私自身キャッチアップに苦戦しています。
そこで、毎月の Data Cloud 新機能リリースのハイライトをまとめてあります。日頃の学習に活用してください。
2026 年 4 月リリース ハイライト
2026 年 4 月のリリースは、3 月の「AI × 非構造データ × 可視化」の進化に続き、実際の導入・運用フェーズを強く意識したアップデートとなっています。
操作性(UX)の改善
セットアップの簡素化
マルチ組織対応の強化
といった、実務での使いやすさを高めるアップデートが中心です。
プラットフォーム
Left Navigation(ベータ版)
まだベータ版ではありますが、Data Cloud App の UI 限定 で、大きな変更が加えられました。
従来はタブベースの構造であり、
機能が分散している
作業の流れが見えにくい
タブを行き来する必要がある
といった課題がありました。
今回のアップデートでは、データのライフサイクルに沿った構成へと整理され、以下のように分類されています。
Connect & Unify
Data Streams
Data Lake Objects
Data Transforms
Data Model
Identity Resolutions
Govern & Secure
Data Spaces
Data Governance
Process & Enrich
Intelligent Context
Document AI
Search Indexes
Explore & Optimize
Query Editor
Data Explorer
Profile Explorer
Data Graphs
Secondary Indexes
Analyze & Predict
Calculated Insights
Einstein Studio
Semantic Layer
Segment & Act
Segments
Activations
Activation Targets
Communication Capping
Data Actions
Data Action Targets
Data Shares
Data Share Targets
Clean Rooms

これにより、処理の流れに沿って操作が可能となり、どの順序で作業を進めるべきかが分かりやすくなっています。
この機能へのアクセスは、Data Cloud 設定の「機能マネージャー」で機能を有効化する必要があります。

注意:他のアプリで Data Cloud タブを表示しても、このメニューは表示されません。あくまで Data Cloud App 上のみの機能です。
既知の制限事項のため、ナビゲーション項目をカスタマイズしてタブをピン留めしている既存ユーザーは、ナビゲーション設定をリセットする必要があります。鉛筆アイコンを選択して「データクラウドアプリのナビゲーション項目を編集」を表示します。「ナビゲーションをデフォルトにリセット」をクリックし、「保存」をクリックします。
Simple Start - Salesforce CRM データ
Data Cloud の導入における大きな課題であった初期構築の複雑さに対する改善です。
従来は、
Data Stream の作成
DLO の作成
マッピング設定
といった作業を手動で行う必要があり、導入に時間を要していました。
本機能により、
CRM オブジェクトからのデータストリーム自動生成
標準オブジェクトへの自動マッピング
スキーマ変更への自動追従
が可能になります。
これにより、セットアップにかかる時間が大幅に短縮されるだけでなく、
運用時のメンテナンス負荷も低減されます。
特に、スキーマ変更に対して自動で追従する点は、長期運用を前提とした場合に非常に重要な改善です。
考慮事項
新規にプロビジョニングされた組織では、シンプルスタートはデフォルトで有効 になります。既存の組織では、シンプルスタートをオプトインできます。
新しく作成される DLO は、パフォーマンス向上のため、命名規則で「std」と表記される「標準」インメモリ DLO になります。
既存のカスタム DLO の API 名は、ビジネスへの影響を避けるため変更されません。ただし、既存の DLO は、スキーマとマッピングを維持するために、内部システムによって「管理」されます。既存のカスタム DLO は削除できます。削除された DLO は標準 DLO として再作成されます。
Remote Companion Org からの有効化
複数の CRM 組織を持つ企業向けの機能です。
従来は、
各 CRM 組織ごとに個別に Data Cloud を構築する必要がある
組織間でのデータ共有や施策実行が複雑
といった課題がありました。
今回のアップデートにより、
中央の Data Cloud でデータを統合しつつ
各ローカル組織(Companion Org)から有効化を実行
することが可能になります。
これにより、
グローバルでのデータ統合
ローカルでの柔軟な施策実行
を両立できるようになります。
特に、地域ごとや事業部ごとに CRM 組織を分けている企業にとって、
実運用に直結する重要な機能です。
Connect / Ingest
2026 年 4 月リリースにおいて、最も変化が大きい領域の一つがこの Connect / Ingest です。
特に、非構造データの取り込み対象が大幅に拡張されており、Data Cloud の役割が大きく変わりつつあることが分かります。
非構造データコネクタの拡充
今回のリリースでは、以下のようなコネクタが追加・強化されています。
GitHub
Jira
Confluence
SharePoint
Google Drive
Adobe Experience Manager
Helpjuice
これらはいずれも、企業内に存在するドキュメントやナレッジを扱うシステムです。
従来の Data Cloud は、CRM データやイベントデータといった構造化データが中心でしたが、今回のアップデートにより、
ドキュメント
チケット履歴
コード・技術情報
ナレッジベース
といった非構造データも統合対象となります。
GitHub / Jira 連携
GitHub および Jira との連携では、以下のようなデータを取り込むことが可能です。
GitHub では、
Issue
Pull Request
Wiki
README
などの技術情報を取得できます。
Jira では、
チケット
コメント
添付ファイル
プロジェクト情報
といった業務データを取り込むことが可能です。
これにより、開発・サポート・プロジェクト管理に関する情報を、Data Cloud 上で横断的に扱うことができるようになります。
非構造データ活用のユースケース
これらのデータを取り込むことで、主に以下のような活用が想定されます。
まず、ナレッジの横断検索です。
従来は、
GitHub は GitHub
Jira は Jira
Drive は Drive
といった形で、システムごとに情報を探す必要がありました。
Data Cloud に統合することで、これらを横断的に検索できるようになります。
次に、AI活用です。
非構造データを統合することで、RAG(Retrieval-Augmented Generation)の精度が向上します。
具体的には、
過去の対応履歴を踏まえた回答
ドキュメント内容を反映した応答
といった、より文脈に沿った生成が可能になります。
これは、Agent 機能の品質に直接影響する重要なポイントです。
Databricks 連携の強化
Databricks との連携において、認証方式が改善されました。
従来は、長期間有効なトークンを利用するケースが多く、
セキュリティリスク
トークン更新の手間
といった課題がありました。
今回のアップデートでは、Salesforce の Identity Provider を利用した
フェデレーション認証が導入されています。
これにより、
短期間トークン(JWT)による安全な接続
資格情報管理の簡素化
が実現されます。
セキュリティと運用性の両面での改善と言えます。
Snowflake 接続の改善
Snowflake の接続管理についても変更が行われています。
従来は専用の設定箇所で管理されていましたが、
今回のアップデートにより、他の外部コネクタと同様の場所に統合されました。
これは機能的な変更ではありませんが、
設定場所の一貫性
操作性の向上
という観点での改善となります。
Transform / Prep
Transform 領域では、主に AI 活用を前提とした改善が行われています。
Retriever Playground の強化
Retriever Playground において、追加の品質メトリクスが提供されました。
これにより、
検索結果の精度評価
条件調整によるチューニング
が可能になります。
非構造データの活用が進む中で、検索精度はそのまま AI の回答品質に直結します。そのため、この改善は RAG 活用を前提とした重要なアップデートと位置づけられます。
Segment / Activate
Batch DMO Activation のオンデマンド公開機能
Connect API を使用して Batch DMO Activation をトリガーすることで、ワークフローを自動化できるようになりました。

このアップデートにより、手動での UI 操作が不要になり、独自の外部システムから直接アクティベーションを統合および開始できるようになりました。
以下の記事で自動化を解説しました。
Flow Orchestrated Activation
アクティベーション領域では、Flow との連携が強化されています。
従来は、
セグメント作成
アクティベーション設定
が分離されており、設計や運用が複雑になりがちでした。
今回のアップデートにより、Flow 内でアクティベーション処理を直接実行できるようになります。
これにより、
フロー中心での一貫した設計
実装の簡略化
運用の可視化
が可能になります。
今後は、Flow を軸としたアーキテクチャがより重要になると考えられます。
外部プラットフォーム連携の強化
広告・マーケティング領域においても連携が拡張されています。
LinkedIn Activation の強化
TikTok Conversion API への対応
これにより、Data Cloudで統合したデータを、外部プラットフォームに直接活用することが可能になります。
マーケティング施策への接続がよりスムーズになる点は、実務上の大きなメリットです。
Governance
ガバナンス領域では、外部ユーザーを含む利用を想定した機能が追加されています。
Guest / Portal User Governance
ゲストユーザー
ポータルユーザー
に対する管理機能が強化されました。
これにより、
外部ユーザーを含むデータ活用
セキュリティおよびアクセス制御の強化
が可能になります。
特に、B2B やパートナー連携を前提としたユースケースにおいて重要なアップデートです。
いかがでしたでしょうか。
2026 年 4 月のリリースは、これまでの基盤強化や AI 対応の流れを受けて、
それらを実際の業務で使うための整備が進んだ内容となっています。
操作性の改善(ナビゲーション刷新)
導入・運用の簡素化(Simple Start)
データ統合の拡張(非構造データ対応)
実行力の強化(Flow と Activation の統合)
といった点から、Data Cloud が「実際に使いこなす段階」に入ってきたことが分かります。
今後は、これらの機能をどのように設計に取り込むかが、より重要になっていくと考えられます。
今回は以上です。
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