The Lady is a Tramp (4-1)曲ファクト,背景1930s大恐慌, Dust Bowl,hobo, tramp, bum, Chaplin "The Tramp(2分割バージョン)
表紙イメージ:5 Female Hobo Railroad Images, Stock Photos & Vectors | Shutterstockより

改めて注意!"tramp" /træmp/と"trump" /trʌmp/の発音に注意!英/米英語とも。日本語「トランプ」の発音は後者に近いので、"a trump"/ "a Trump"で「トランプの切り札」/「トランプのような人」という意味に。Lady Gaga - The Lady is a Tramp (from Duets II: The Great ...をご参考に。
はじめに
「"The Lady is a Tramp”「ザ・レディ・イズ・ア・トランプ」(1)曲のファクト,要注意"trump"と発音せぬように!|鈴木佑治 N.Yuji Suzuki」
「"The Lady is a Tramp”「ザ・レディ・イズ・ア・トランプ」(2)"tramp"を「ふしだらな女」から「独立自尊の女性」へ意味変換..英語学|鈴木佑治」 N.Yuji Suzuki」
「"The Lady is a Tramp”(3)女性/男性バージョン,言語行為の違い...英語学から|鈴木佑治 N.Yuji Suzuki」
の続き(4)であるが、その後色々調べてみると、この曲は1930年代のアメリカの社会的背景を色濃く反映していることが分かった。曲がリリースされたのは1937年、それ以前の7年はアメリカのみならず世界全体が大変な激動の時代、そんな中でのうら若き、ハイ・ティーンズの少女についてのストーリーだ。
今回は曲の最初にあるバースverseの文言に焦点を当て、上記別稿(1),(2) ,(3)で触れた曲の背景につきもう少し掘り下げて調べてみることにした。アメリカ史における貴重な断片を背負った曲であることが分かった。
2025年に掲載した同題の稿「The Lady is a Tramp (4)曲ファクト,背景1930s大恐慌, Dust Bowl,hobo, tramp, bum, Chaplin "The Tramp」は、約1万字と少々長かったので、内容は変更せず、改めて、本稿(4-1)と次稿(4-2 )に2分割して掲載し直す。
曲の背景はVerseに記された"Hobohemia"に象徴される
ジャズ曲には大抵イントロでバースverseと称するナラティブがあり、曲のlyricsのナラティブとを繋げる橋渡し(bridge)をする。簡単に言えば、曲の背景を紹介する大切な部分だ。かつてのドーナツ版レコードは長さが限られていた関係でverseを抜くことが多かったが、ミュージカルなどのサウンド・トラック盤には残っている。
ミュージカル"Babes in Arms"でMitzi Greenが歌うこの曲は次のverseから始まる。
[Verse for "The Lady Is a Tramp" Lyrics]
I've wined and dined on mulligan stew
And never wished for turkey
As I hitched and hiked and drifted, too,
From Maine to Albuquerque.
Alas, I missed the Beaux Arts Ball,
And what is twice as sad,
I was never at a party where they honored Noel C'ad.
But social circles spin too fast for me.
My Hobohemia is the place to be.
先ずは、The Lady Is a Tramp (Live) (Version by Mitzi Green)をクリックし、このverseに注意しながらお聞きあれ。
ーーーーー
以下、verseを文言に関連すると思える挿絵付きで訳してみた。
[Verse for "The Lady Is a Tramp" Lyrics]和訳(筆者訳編集)
I've wined and dined on mulligan stew
あたし、ムリガン・シチューでワインを楽しみ

And never wished for turkey
七面鳥を望んだりしたことはない。
As I hitched and hiked and drifted, too,
ヒッチハイクし放浪するうち、

From Maine to Albuquerque.
メイン州からアルバカーキまできた

Alas, I missed the Beaux Arts Ball,
ああ、ボザール・バルに行ったこともなければ

And what is twice as sad,
それに加えて悲しいことは、
I was never at a party where they honored Noel C'ad.
ノエル・カワードの祝賀パーティに出席したこともない。

But social circles spin too fast for me.
でも、社交界はあまりに速くくるくる回る。

My Hobohemia is the place to be.
あたしにとっての居場所は「ホーボーヘミア」だ

(筆者編訳)
ーーーーーーーー
訳を念頭に、The Lady Is a Tramp (Live) (Version by Mitzi Green)をもう一度お聞きあれ。
この曲で歌われている女性は1929年の大恐慌の影響で1930年代に多く出現した浮浪者hoboと関係していそうだ。Hoboは大方は成人男性であったが、Hobo life in the Great Depressions”The Box Boys anf Girls”によると、250,000人もの10代の男女もいた様で、貨物列車に飛び乗り各地を放浪したようだ。

このverseに登場する主人公のハイティーンズ少女はMaine州からニューメキシコ州のAlbuqurqeまで放浪し、上記の写真にあるようなhoboのたまり場であるhobohemiaに寝泊まりしたのであろう。
1930年代アメリカ社会のスケッチ
1930年代のアメリカは、以下1.~5.のような危機と変化が重ね合った激動の時代であった。
1. 世界恐慌The Great Depression
1929年の株式市場の大暴落の後、失業率が急増し、銀行が倒産し、貧困が全国に広がった。以下はその様子を示す写真集である。
The Great Depression Photo Gallery - Federal Reserve Bank ...
2. ダストボウルDust Bowl
深刻な干ばつと農業慣行により、Oklahoma州など中西部では大規模な砂嵐Dust Bowlダストボウルが発生し、多くの人々(Okie 「オーキー」と呼ばれた)が職を求め、カリフォルニア州などへの移住を余儀なくされた。John Steinbeck のThe Grapes of Wrath『怒りの葡萄』、Of Mice and Men
『二十日鼠と人間』はそうした移住民に関するストーリである。

以下、ダストボウルの写真。
3. ニューディール政策New Deal
フランクリン・D・ルーズベルト大統領は、経済の安定、雇用創出、社会的セーフティネットの拡充を目的とするさまざまな改革や計画を打ち出した。その一つがニューディール政策である。以下は関連写真集である。
Photographs Related to the Great Depression and the New Deal/Top 5 Public Works Projects of the Great Depression's New Deal - Owlcation
4. 文化Culture
困難の中、映画(ハリウッド「黄金時代」Hollywood Golden Age)、ラジオ、ジャズやスウィング音楽、そして社会的苦境を反映した文学が発展した。 以下が関連写真である。
1930s Culture/The golden age of Hollywood #vintage #collage #aesthetic # .../1930s Dress Styles in the Daytime
5.外交政策Foreign Policy
アメリカは孤立主義isolationismに傾き、世界で高まる紛争への関与を避けたが、ルーズベルトは徐々に戦争に備えて国を準備していった。以下は関連写真と動画である。
The Role Of Isolationism In The 1930s | pinsoftek.com Custom Academic Help
アメリカだけではなく世界全体に1929年の大恐慌の影響が残り、不況と闘い、そこから脱しようとあがきながら、やがて1940年の第二次世界大戦に向かえるといった不安定な時代であったことが窺える。
Hoboホーボーが巷に溢れる
1930年代のアメリカでは、このような大恐慌とダストボウルが重なり、家を持たず、貨物列車や徒歩で移動する移動労働者、大勢のホーボーhoboが巷に溢れた。
経済的混乱
この大恐慌(1929〜1939年)で多くの企業が倒産し、数百万のアメリカ人が職を失い、1933年には失業率が約25%に達する。家賃や住宅ローンを払えず、家を失う人々が増加し、定職がないため、人々は臨時の仕事や季節労働を求めて国中を移動した。
加えて、1930年代初頭、日本の国土の45.2倍に当たるGreat Plainsグレートプレーンズで深刻な干ばつと無計画な乱獲農業で農地が荒れ、大規模な砂嵐Dust Bowlダストボウルが発生した。

オクラホマ、テキサス、カンザスなどの農民は土地を捨て生計を失い、西部、特にカリフォルニアへ農業労働を求めて移動した。蔑称Okiesオーキーズと称され、所持金がほとんどないため、多くの失業者や少年たちは貨物列車にただ乗りして遠方まで仕事を探しに行く。これにより、寝具を担ぎながら町から町へ移動するhoboホーボーの典型的なイメージが生まれた。
社会的混乱

経済的負担に耐えられず家族が離散し、独り身となった男性が放浪する例,
特に10代の少年たちは、家庭の経済的負担を減らすために家を離れる例も。
要するに、1930年代のアメリカは、失業・ホームレス・環境災害という「三重苦」によって、数十万人が鉄道や道路を使いながら、生き延びるために移動せざるを得なかったのだ。
当時の放浪者には、hoboホーボー、trampトランプ、bumバムの3種類が、その違い
当時、放浪者にはhoboホーボー、trampトランプ、bumバムの3種類があり、それぞれの間には微妙に相違があった。
Hoboホーボー
移動する労働者。
仕事を探すために貨物列車や徒歩で旅をする。
基本的には「働く意欲がある」放浪者と見なされた。
Trampトランプ
働くこともあるが、目的は移動そのもの。
「仕事よりも旅がメイン」というイメージ。
半ば放浪者・半ば労働者。
Bumバム
仕事をする意志がほとんどない人。
物乞いやごみ漁りで生きるイメージ。
当時のスラングでは最もネガティブなニュアンス。
まとめると;
Hobo = 働くために旅をする人
Tramp = 旅をするけど必要なら働く人
Bum = 働かずに居座る人
と言ったところか。
この区別は社会的にもよく知られており、ホーボーは比較的「まじめな」放浪労働者として多少の尊敬を集める一方、バムは蔑まれる対象であったらしい。
The Lady is a Tramp (4-2)曲ファクト,背景1930s大恐慌, Dust Bowl,hobo, tramp, bum, Chaplin "The Tramp(2分割バージョン)に続く
参考資料References:
1930s USA - Rare Photos of Vintage America - Colorized
A View of American Life During the 1930s
1930s USA - Rare Photos of The Great Depression Era Showing Life in America in 1930s - Colorized
1930s USA: Real Photos of the Great Depression - Colorized & Restored
THE GREAT DEPRESSION REALTIME COLORIZING PHOTOS - MOST ICONIC IMAGES FROM 1929 AND 30s
1930s USA - Real Photos of the Great Depression - Colorized
THE GREAT DEPRESSION REALTIME COLORIZING PHOTOS - MOST ICONIC IMAGES FROM 1929 AND 30s
1930s USA - Real Photos of the Great Depression - Colorized - Part 2
1930s USA - 48 STRIKING PHOTOS of the Dust Bowl (Colorized)
Charlie Chaplin - the tramp who conquered the world | London Evening ...


いいなと思ったら応援しよう!
サポートいただけるととても嬉しいです。幼稚園児から社会人まで英語が好きになるよう相談を受けています。いただいたサポートはその為に使わせていただきます。