『破壊される家計』── 狡猾な特殊詐欺の手口と静かな決意
──それは、絶望の中で手を伸ばした、
わずかな希望のはずだった。
頭の中にあったのは、
ただ『お金』のことだけ。
それを信じたくて、私は信じた。
あの時の自分には、それはある意味、
必然だった。
──ただ、
救いを求めて伸ばした指先が触れたのは、巧妙に仕組まれた罠だった。
どんなに苦しくても、
もう二度と"藁"は掴まない。
これは自分自身への戒めとして、
また私と同じような被害者が現れないためにも、
ここに、その詳細を残しておく。
【特殊詐欺の流れ】
①ネットで成績や評判が高いという投資サイトを見つける。
そのサイトには、芸能人、文化人もやっている。月にいくら儲かったと口コミが多数あり。
②サイトに誘導されるままにページを進むと、
『必要な手続きは英語のため分からない方には電話にて対応します』との記載があり、電話番号を入力。
③すぐにカタコトの日本語を扱う外国人女性から着信。
なぜ投資したいのか、どれくらい稼ぎたいのか、等の話を経て、
英語のページにある必要項目の入力を指示。操作や入力が出来ない時は外国人女性が代わって入力をサポート。
途中で外国人女性と話しながら、
念のためにサイトの口コミを再度見ると、
電話のやり取りや、入力指示、一連の流れは全て口コミ通りであることを確認し安心する。
④しばらく外国人女性と話し、
指定された口座へ10万円をネットバンキングより振り込み。
──決済は完了する。
私がそのサイトを見つけてから、
たった1時間の出来事でした。
途中、外国人女性の指示により、
スクリーンショットを何枚かメールで、
そのサイトに送信をしており、
それは、わたし自らが、
契約を締結したという証拠になるとの説明もあり。
また日本語で書かれた契約書も
作成されており──
その内容には、
10万円はアカウント開設の手数料、
及び決済手数料の対価と明記されていました。
さらに私と一緒に、
その契約書を確認するという巧妙なものでした。
当然ですが──
芸能人や口コミ、
サイトそのものも全てがウソでした。
しばらくして、
そのサイトが『特殊詐欺』だったと気付いた時には、
綺麗さっぱりと、その全てが消え去っていました。
ただ、私には、
塞ぎ続けている時間はなく、
このままでは、
絶対に終われない。
という、静かで強い決意が、
心の底から少しずつ湧き出していました。
それに気付かせてくれたのは、
奇しくも
多額の請求書と、
目の前で横になる
意識のない妻でした。

『破壊される家計』
── 狡猾な手口と静かな決意【完】
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