『介護が始まるとき』──妻の退院
施設介護編
【プロローグ】
長い入院生活を終えて──
妻は、その日を迎えました。
朝から私は、退院の手続きを終え、
身の回りの物を車に積み、
すべての準備を整えました。
すっかり顔馴染みになった看護師や、
スタッフの皆さんから、
「本当におめでとう!」
「よかったわね〜」
「もう入院しちゃダメよ!」
さまざまな言葉をいただき、
いつもより病棟は明るく、
そして賑やかに感じました。
退院後は、そのまま妻を連れて、
これから生活する障害者支援施設へ向かう予定でした。
ここに運ばれてきたときは、
生死をさまよい──
退院するその日の妻は、
満面の笑顔でした。
どこから振り返ればいいのかすら、
分からないほどの時間と記憶が、
ここには詰まっていました。
いまだに脳出血の重い後遺症は、
消えることなく。
ただ、それでも、
妻は人として生きることができるほどに回復しました。
命だけでなく、
人として救われたのが──
この場所でした。
これまでに、
どれほど多くの人に支えられたのかすら分からず。
ただただ、
そこには感謝しかなく。

多くの人たちに見送られながら、
病院を出て。
私は妻を車に乗せて、
そのまま障害者支援施設へと向かいました。
その途中。
妻がそれまで、ずっと食べたがっていた
マクドナルドに立ち寄り、
ビッグマックとナゲットを昼食にして。
入院生活が終わり。
この時から"若若介護"という、
私たちの介護生活が始まりました。
それは施設からのスタートでしたが、
これからの生活を築いていく上では、
とても大きな一歩でした。
まだ不安を抱えながらも──
新しい生活への期待に胸を膨らませ、
施設に向かって車を走らせていました。
【妻の入院日数】
ICU:14日
急性期病棟:45日
慢性期病棟:165日
計:224日

『介護が始まるとき』
──妻の退院
【プロローグ 完】
▼この話は、施設介護編第1話
『怖すぎる部屋』へ続きます。
▼前日譚 第0話
『ある詩との出会い』
▼施設介護を決断したとき。
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