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来年は、いや、来年こそは【創作大賞2025授賞式レポ】

どうも、創作大賞アンバサダー(自称)(非公式)(無許可)のアルロンです。
創作大賞2025でベストレビュアー賞を受賞し、先日その授賞式に出席したので、その様子をお伝えします。

※昨年と同様、少し記憶があやふやのため、時系列が前後するなどしている可能性があります。あと、め~~~っちゃ長いです(約14,000字)。予めご了承ください。


1.受賞通知

こちらは、すでに記事として公開しているので、別途お読みいただきたい。

※やや重め。


2.会場入り

昨年の授賞式では遅刻ギリギリだった。遅刻絶対しないマンを公言しているので、昨年のような為体ていたらくは二度とごめんだ。その反省をふまえ、飛行機の時間を早くするなど、余裕を持った旅程を組んだ。僕のせいで「北海道民は遅刻しがち」というレッテルを貼らせるわけにはいかないからな。全北海道民の矜持と責任を背負いながら、単身で恵比寿に向かう。

ただ、金曜の夕方ということもあり、地下鉄はめちゃくちゃ混んでた。バラエティー番組とかでやる「何人入れるでしょうか?」みたいな実証実験でもやってるのだろうか。それにしては奥の方けっこう空いてるけども。

ああ、しんどい。人がいっぱいでしんどい。早めに降りて少し歩こう。そういうわけで、目黒駅で降車し、雨にしとしと打たれながら会場まで歩いた。せっかくいい感じに仕上がったヘアセットが崩れるのは癪だったが、電車内でもみくちゃにされるよりマシだろう。

早めに行動した甲斐あって、無事、開場時間(授賞式が始まる1時間前)に到着した。

かっちょええ
レッドカーペットを画角に入れないスタイル

到着し、受付を済ませる。アウターとリュックをクロークに預け、会場内へ。
※ここですでに大きなミスを犯している。くわしくは後述の【反省点】で。

すでにけっこうな人数がおり、皆ネームを首から下げている。あ、と思い、受付へ戻り、「ネームもらってなかったのでいただけますか?」と言ったら、「お席にあります」と言われた。お恥ずかしい。失礼しました。

会場であるBLUE NOTE PLACEは、とんでもなくオシャレなところだった。色合いはぜんぜんBLUEではなく、なんかこう、暖色系の照明がいい感じにアレだった。

案内され、自分の席につく。ベストレビュアー賞は9人だが、席は5人分。どうやら残りの4席はほかにあるようだ。僕は5人席に座る最初の一人となった。

席は、アーチ状に広がったソファーだった。昨年はオフィスチェアだったのに対し、今回はふっかふかのソファーである。それはそれはふっかふかである。なにも考えずにぽすっと腰掛けてしまったが、このソファーは別途発生するタイプの有料オプションとかじゃないよな? 僕のような貧乏人には恐れ多すぎて、終始空気イスしていた方がよかったかもと今になってハラハラしている。


ソファーにふっかふかとうずもれながら周囲を見渡す。

知ってる人が見当たらねえ……

会場自体がやや薄暗いのもあり、見たことある顔を見つけるのが困難だった。席を離れてずいずい探検に出るのは、いかにも田舎者だと揶揄される恐れがあるからできない。膝をさすさすしながらキョロキョロしていると、店員さんが飲み物を持ってきてくれた。ああ助かる。ただ、店員さんはたぶん飲み物の種類をていねいに説明してくれたと思うのだけど、僕のクソみたいな聴覚と会場内のざわざわによりうまく聞き取れない。次になにか聞かれたとき、テキトーに「はい」と答えたら、店員さんは去っていった。あれれー?(たぶん「また後でお持ちしましょうか?」的な質問だったんだと思う)

ああ、さっそくやっちまった。結局、数秒後にやってきた別の店員さんからオレンジジュースをいただいた。

オレンジジュースをちびちびとすすっている間に、ベストレビュアー賞の人たちが次々とやってきた。
同じ5人席の紫吹はるさん、彩野リィさん、みくまゆたんさんだ。ちなみに、ほかのベストレビュアー賞の人たちとは全員、noteでの交流がある。

紫吹はるさんが、対面するや否や名刺を僕に差し出した。ポケットティッシュとともに手渡されたそれには、コニシ木の子と書いてあった。いや自分のじゃないんかい。初対面の人から最初に頂いた名刺がその人以外のものだったのは、35年半の人生で初だった。その後、ちゃんと本人の名刺も頂いた。
彩野リィさんはnoteではサバサバでつよつよなイメージがあったのだが、名刺交換がていねいだった。アルロンよりよっぽどしっかりした大人である。
みくまゆたんさんとは4月に名古屋でお会いしているので、「あ、ども」くらいの感覚で挨拶した。すでに顔見知りというのはとても心強い。

4人で話していると、店員さんが立食パーティーとかに出るちっちゃな料理を持ってきてくれた(後で調べてみたら「フィンガーフード」と呼ぶらしい)。
店員さんが「『フォアグラ最中 栗と黒いちじく』はいかがですか?」と優しい笑顔で尋ねてくる。ちょっとなに言ってるかわかんない。申し訳ないが、料理名は日本語で説明してほしい。フォアグラもいちじくも食べたことないので味の想像がつかなかったが、せっかくなので食べてみることに。うん、おいしい。よくわかんないけどおいしい。食レポしろと言われたらものすごく困る味だが、美味であることに変わりはない。右の親指と人差し指に紅色の粉がついたが、舐め取るわけにもいかないので、ポケットティッシュで拭いた。

フォアグラ最中 栗と黒いちじく

5分もしないうちに、別の店員さんが別の料理を運んできた。「『トリュフチュロスの生ハム』でございます」と。頭の中で千鳥・ノブが「トリュフチュロスの生ハム!」とオウム返しする。僕はモンハンをやっていないのでトリュフチュロスというモンスターについてはまったくわからないが、塩味が効いていておいしかった。

トリュフチュロスの生ハム

式の開始が近づくにつれ、左隣の紫吹はるさんがそわそわそわそわ。どうやらベストレビュアー賞の代表としてスピーチするらしい。そりゃあ263もの感想文を書くというイカレっぷり(褒めてます)を披露したわけだから、納得である。式が始まるまでに、彼女は何度も席を行ったり来たりしていた。あまりにも不安そうにしていたので、「囁き女将方式で僕が代わりにスピーチしましょうか」と提案した。笑って誤魔化された。
ところで、席の構図上、彼女が座るにはアルロンの前を通らなければならない。そのため、彼女が通るたびに僕は半分の魚の王のポーズで道を空けた。はじめの方は申し訳なさでいっぱいだった顔も、途中からニヤニヤに変わっていた。

僕がヨガをやっている間も、続々と出席者が集まってくる。同じ席の影山さくらさん、別席の4人──はそやmさん、みねのもみぢばさん、ゆいとしまささん、野やぎさんともご挨拶をした。野やぎさんが、ほかの出席者に笑顔を振りまきながら「皆さん、アルロンさんのことを気にかけてあげてくださいね」と転校生を紹介する担任のように話す。昨年のアルロンのヘタレっぷりを覚えていて、予めフォローしてくださったのだろう。お恥ずかしい。かたじけない。

その後、同じ席の女性陣が挨拶回りに旅立っていった。「アルロンさんは行かないんですか?」と聞かれたが、僕は首を横に振る。複数人で押しかけると順番待ちの時間がしんどいし、バタバタして交流の質が下がりそうな気がしたのだ。なので、ふっかふかのソファーに一人残ることに。野やぎ先生の好意をさっそく無駄にする。手持ち無沙汰だったので、テーブルについた水滴をティッシュで拭いていた。

女性陣が戻ると、さらに人が増えてきた。お仕事小説部門で入選した秋田柴子さん、ミステリー小説部門で入選した半径100m+さん、ほかにも何人か集まり、ワイワイと賑わい出す。が、このタイミングで「間もなく授賞式を始めますので、着席してください」とのアナウンスが流れ、あばばばと慌てふためきながら各々の席へ戻っていく。ほとんど会話はできなかったが、「アルロンさん、存じ上げております~!」と話しかけてくれて嬉しかった。ありがとうございました。

※「ほかにも何人か」で括ってしまった皆さまへ。名刺交換できなかったので名前を正確に確認する手段がありませんでした。申し訳ございません。


ここまでで3,300字くらい書いた。授賞式はまだ始まってない。



3.授賞式

いよいよ授賞式が始まった。グラスが空になっているが、そんなことはどうでもいい。

最初が、エッセイ部門のメディア賞だった。喉から手が出るほど欲しかった賞だ。正直なところ、受賞者のスピーチの間、僕の表情は終始こわばったままだった。もしかしたら、これを「悔しい」と呼ぶのかもしれない。この一年間で積み上げてきたものは決して無駄ではなかったが、十分でもなかった。来年は、いや、来年こそは。僕は唇をギュッと結び、両手の拳を固く握った。

ただ、これまた悔しいことに、スピーチはどれもしっかりおもしろかった。ていねいな言葉を綴るだけでなく、全員もれなく笑いを生み出している。変に堅苦しくなくて、さすが創作者たちだなあと感心した。すげえや。「韻の一つでも踏んで帰ってください」なんて出てこないぞ。僕もあんな風に話してみたい。

メディア賞の次は入選と、式はつつがなく進み、ついにベストレビュアー賞の出番となった。名前を呼ばれ、おもむろに歩き出す。ステージに上がると、思ったよりも照明がまぶしい。たぶんチベットスナギツネみたいな顔をしていたと思う。抉るような光から逃れるため、目線を少しだけ右にずらすと、奥の方で“BNP”という文字が光っていた。BNPってなんだっけ。松岡修造がコマーシャルに出ている骨密度のやつだっけ(後で調べたら骨密度のやつはMBPだった。BNPはBLUE NOTE PLACEの略だと思われる)。

なんだか呼吸をしてはいけない気持ちになって、壇上に立っている間はずっと息を止めていた。

授賞式が終わってから懇親会までの時間で、メディア賞の受賞者の写真撮影が行なわれた。ここからが正念場だ。いかに多くの人と交流できるか、すべてはそこにかかっている。あの昨年の悪夢を繰り返すわけにはいかない。僕はバーカウンターへ向かい、ハイボールを注文した。メガネをかけた店員さんが手際よくグラスに氷を入れ、そこにジムビームと炭酸水を注ぐ。受け取った瞬間にひと口飲んだ。ウイスキーの爽やかな薫りが鼻腔を通過する。舌の上では、炭酸がパチパチと軽やかに踊る。おいしい。心なしか、頬にほんのりと温もりが宿った気がした。

だが、緊張の鎖をほどくまでには至らない。席に戻って懇親会スタートの合図を待っていると、いつの間にか飲み干してしまっていた。すぐにおかわりの注文に向かう。同じ店員さんだったが、「こいつもう飲んだのかよ」などという表情は一切見せることなく、同じものを同じように提供してくれた。さすがはプロである。2杯目のハイボールを持って戻り、8割ほど飲んだところでアナウンスがかかり、Tales&Co.の萩原猛さんの乾杯で懇親会が幕を開けた。



4.懇親会

開始前にハイボールを2発もキメたので、コンディションはバッチグー。よしではさっそく懇を親しに行こうではないか!
と思ったら、席の目の前で3人くらい話し込んでいて出られないではないか。挫かれる出鼻、盛り下がるテンション、しかしこんなところでへこたれている場合ではない。負け戦は最終選考でたくさんだ。今夜だけは大金星を上げてみせる。おれやんよ、やってやんよ!
気合いを入れているうちに、先ほどのとおせんぼうトリオはいなくなった。一体だれだったんだ……

同じ席のベストレビュアーレディースは、まずは料理をということで、乾杯直後に席を立った。なるほど、腹が減っては戦はできぬと言うしな。それに、フード部門の受賞者のレシピを再現した料理がいくつか用意されているらしい。これは要チェックや。それにハイボールの補充もせねば。

3杯目のハイボールを片手に、料理コーナーへ向かった。取り分け用の皿を手に取る。すると両手が塞がってしまった。
しくった。これではただグラスと皿を持っているだけの不審人物じゃないか。グラスを置きに戻ろうにも、人人人で退路が断たれている。まるで哀れなピエロだ。しかたがないので、グラスを置く→料理を皿に乗せる→グラスを持つ→横に移動する、を繰り返すことにした。

フィンガーフードがオシャレすぎて、なにを手に取ろうか迷う。持ち前の優柔不断を存分に発揮していると、左側にキラキラオーラを感じた。赤を基調とした鮮やかなドレス。ウェーブのかかった長い髪。透き通った声で「うわあ……おいしそうっ!」と無邪気にはしゃぐその姿は、デ○ズニープリンセスのよう。

ま、間違いない……!
ふ、ふ、フウさんだっ……!!!!!

フウさんと言えば、創作大賞2023のエッセイ部門で入選した人だ。さらに、今年6月には初著書「ヨルダンの本屋に住んでみた」が書籍化されたことが記憶に新しい。入選した作品を読んでから僕はすっかりファンとなり、「ヨルダンの~」も当然買って読んでいた。その憧れのフウさんが、半径1m以内にいるだと……!

どどどどどうしよう! 心臓がバクバクしてきた! ご挨拶がしたい! お話がしたい! でも今の僕は、右手に酒を左手に皿を状態の哀れなピエロである。名刺を渡すこともままならない。そしてそれはフウさんも然り。料理に目を輝かせている彼女の邪魔をするわけにはいかない。

ここは、それとなく相槌を打ってコミュニケーションにつなげる、一緒に料理を楽しんでいますよ作戦だ。
ほんとですねー! おいしそうですねー! あっ、これエフジンさんのギリシャ料理ですよ! えーとなになに、〈ケフテダキァ〉? 〈ティロカフテリ〉?

よ、読めねえ……!

そんなこんなでパニくってるうちにフウさんはほかの人に話しかけられ、気づけば僕との間に距離が生まれてしまっていた。あえなく退散。無念でござる。

よろよろと席に戻ると、声をかけられた。恋愛小説部門で別冊文藝春秋賞を受賞した渡邉有さんだ。
う、嬉しい……! たった今、己のコミュ力の低さに打ちひしがれていたところに、このお声がけである。敗北の傷を癒すように会話をさせていただいた。

メディア賞を受賞するくらいなのだから相当書き続けている人なのだろうと思ったが、渡邉さんが小説を書き始めたのは2年くらい前らしい。すごくない? 2年でメディア賞なの? え、すごくない?
僕はエッセイ書きなので小説の書き方には明るくないが、メディア賞受賞のすごさはわかる。渡邉さんは元々読書家で同人誌活動もされているようなので、小説への飽くなき情熱が為せた受賞なのだろう。このすごさを、僕は「才能」という無責任な言葉に当てはめたくない。遅くなりましたが、受賞おめでとうございます!


そうこうしていると、周囲はざわめいてきた。人が集まり、ベストレビュアー席が入れ食い状態だ。このわちゃわちゃの中、フード部門入選の“日本一のおにぎりマニア”ことハスつかさんと名刺交換ができた。「あのおにぎりの人!」とバカみたいな発言をしてしまって、大変失礼いたしました。お会いできて光栄です。

わちゃわちゃがひと段落したので、取ってきた料理を口に運ぶ。

ケフなんとか、うんまあああ!(ケフテダキァです)
ティロなんとか、うんまあああ!(ティロカフテリです)

ケフテダキァは、かりふわの食感に程よくパンチの効いた味付けのミートボール。「ミートボールにミントって合うの?」と懐疑的だったが、合う合う!
フェタチーズに唐辛子やニンニクを加えたティロカフテリは、最強のディップソースと言っても過言ではない。程よいピリ辛が食欲を刺激し、ポテトを食べる手が止まらん止まらん!
うーん! ペンダノスティモス!


ほかにも、フード部門レタスクラブ賞の美窪たえさんのレシピ〈鶏ささみのブランダード〉も食べた。

むえっっっちゃくちゃおいしかった! 鶏ささみ入りのマッシュポテトが、舌の上で溶けていく。なめらかな舌触りは一切の邪魔がなく、誇張なしで秒で消える。一生食べてられる。これお弁当に入ってたらスタンディング・オベーションだな。


フード部門の受賞作品レシピを再現するなんて、noteも本当に粋である。
それ以外の料理もおいしかった。トロピカルなんとかっていう茶色いスイーツは最終的に6個くらい食べた。ごちそうさまでした。
※ここでも大きなミスを犯している。くわしくは後述の【反省点】で。

フィンガーフードに舌鼓を打っていると、みくまゆたんさんに「アルロンさん! ほら! 萩原さんのとこ行くよ!」と手招きされた。食べ物に夢中で、本来の目的を失念していた。子どもか。頬張っていたものをハイボールで流し込み、文字どおり真っ直ぐ駆けつけた。

萩原さんは「Xではお世話になってます~!」と朗らかに対応してくれた。なんて寛大な人なんだ。今日もスーツがバチっとキマっている。かっこよ~~~!
今回の創作大賞、僕はエッセイ以外にもエンタメ原作部門に応募していたのだが、完全に自己満足の作品だった。それでも思いのほか多くの感想を頂いたこともあり、書いてよかったと思っている。やはり感想の力は偉大だと、萩原さんもおっしゃっていた。それだけにベストレビュアー賞というシステムは本当に画期的で、それを受賞したのは誉れ高いことなんだなと。

また、萩原さんは以前、株式会社ぎょうせいに勤めていたということで、僕が公務員時代に月刊ガバナンス(ぎょうせいが発行している地方自治体向けの情報誌)でコラムを書いた話をした。思えば、あのコラムで「文章おもしろいね」と褒めてもらった経験が、今の執筆活動の元始だったのかもしれない。萩原さんも「ぎょうせいにいた経験が今の仕事にも生きている」とのこと。自分のやってきたことは大なり小なり繋がっていると思うと、なんだか感慨深いなあ。

このあたりから、アルロンにモテ期がやってくる。ラブロマンスこそ皆無だが、そんなことはどうでもいい。

萩原さんとのトークを終えると、「アルロンさん!」と呼ばれた。声のした方を向くと、素敵スマイルの女性がいた。コミックエッセイ部門入選のシラセ ミチさんだ。

僕は完全に初めましてだと思っていたのだが、どうやら以前から僕のnoteを楽しんでくださっているらしい(後で確認したら、だいぶ前にしっかりnoteアカウントをフォローしてくれてた)。失礼いたしました。そしていつもありがとうございます!

自分の作品は受賞に至らなかったけれど、こんなふうに「お会いしたかった!」とか「あの作品が好きです!」とか面と向かって言ってもらえると、書いてよかったと心から思える。そういう人たちを大切にしたいし、自分も積極的に読んで感想を伝えたいという気持ちになる。

「アルロンさんですよね?」と次に声をかけてくださったのは、なんと秋谷りんこさんだった。うおおおお! ホンモノだあ……!(昨年もいらっしゃってたけど声をかけられなかった)
前日に「桃井ナースがお邪魔します」の読書感想文を書いているくらい、僕は彼女のファンである。やっとご挨拶が叶ったぞ。

「感想ありがとうございます~!」から自然と会話がスタート。「桃井ナースが~」の感想をあらためてお伝えし、この作品について語り合った。秋谷さん曰く、「家族関係が円満な人は医療ドラマとしての感想を書き、そうでない人はヒューマンドラマとしての感想を書く傾向がある」とのこと。ああ、まさにそうかもしれない。読み手の持つ背景によって、作品の色が変わることもあるんだなあ。すごく勉強になった。

来月は「ナースの卯月」シリーズの最新刊が出るから、みんなも買って読もうな!

次はだれとお話をしようかなーとうろうろしていると、またまたお声がけいただいた。あ、あなたはっ……!
エッセイ部門KADOKAWAビジネス編集部賞の望月さんじゃありませんかっ!
うおおお、まさかエッセイ部門のメディア賞受賞者から声をかけていただけるとは、なんたる僥倖! メンタル上々!

最終結果が出たとき、「おうおう、メディア賞受賞したエッセイはさぞかしおもしろいんだろうなあ~~~?!」とヤンキーみたいにガン飛ばしながら望月さんのエッセイを読んだのだが、おもしろすぎてひっくり返った。いやあ、めちゃくちゃよかったです、蟹工船のエッセイ(蟹工船のエッセイではない)。
エッセイって、ぶっ飛んだ行動や特別な出来事に着目しがちだけれど、望月さんの受賞作のように“そばにある日常”も十分おもしろくできるはずだ。高級食材を使ったからといって必ずしもおいしい料理ができるとは限らないし、安い食材でも調理のやり方次第でめちゃくちゃおいしくなることもある。そこがエッセイの難しいところではあるけれど、おもしろいところでもある。

その高難易度クッキングを見事にやってのけた望月さんに認知され、さらに声をかけていただきお話ができたのは、同じエッセイ勢としてこの上ない光栄だった。メディア賞受賞、本当におめでとうございます!

望月さんと別れ、一旦、自分に席に戻って再スタートしようかと思ったときのことだった。

「アルロンさん!」

バチっと目が合ったのは、紛れもない……

ふ、ふ、フウさんだっ……!!!!!(3,400字ぶり2回目)

や、やったあああああ! フウさんの方から話しかけてくれたぞおおおおお! ぶち上がるテンション! ほとばしるパッション!

もし僕が由緒正しき陽キャ国の民だったら「オー! ハビービー!」と諸手を上げてハグの一つでもやってのけたのだろうが、さすがに初対面の女性にそんなセクハラまがいなことはできなかった。それだけの分別はある。

ただ、感激のあまり「ヨルダンの本屋に住んでみた」の感想をベラベラと早口でまくし立ててしまった。まったくこれだからオタクは困る。それでもフウさんはスーパー素敵スマイルで受け止めてくれた。しかもフウさん、アルロンのnoteも読んでくださっていると。マジで嬉しい。マジでプリンセス。ピクサーは早く長編アニメーション作品「フウとヨルダンの本屋」を制作してくれ。そして原作者である彼女に莫大なギャランティを振り込んでくれ。

著作「ヨルダンの本屋に住んでみた」は絶賛発売中だから、みんなも買って読もうな!

ひっきりなしに女性から声をかけられて有頂天である。名刺交換の際はデュフデュフしててさぞ不気味だったろうと少し後悔しているが、そんなことはどうでもいい。

スイーツが食べたくなったので、7個目のトロピカルなんとかを取りに行くと、「部活帰りの後輩をたまたま見かけたから声をかけてみた地元のパイセン」的なノリで「よっ」と肩を叩かれた。長瀬ほのかさんだった。ガチの地元のパイセンだった。

長瀬さんが昨年の創作大賞でエッセイ部門双葉社賞を受賞したことは、もはや説明するまでもない。そんな偉大なパイセンとまたこうやって話ができるとは、ベストレビュアー賞を受賞して本当によかった。

「中間選考通過したときにあんまり喜んでなかったから、『あ、こいつマジだな』と思った」と長瀬さん。多くは語らずとも、後輩の様子をしっかり見ているパイセンの鑑である。
長瀬さんとはけっこうな時間、互いの執筆事情について語らったと思う。「文章で笑わせたいよね」「パーソナル編集者ってどんな感じ?」「自分の作品書きながら感想も書くって大変だよね」などと話しているうち、僭越ながら同志になったような気分になった。実力も実績も彼女にはまだまだ敵わないが、いつか旭川の二つ星として肩を並べたい。

ちなみに、古生物学者の旦那様とは(お会いしたことはないが)ポケポケ仲間である。
さらにちなみに、長瀬さんのお母様は(お会いしたことはないが)なぜか知らんがアルロンのファンらしい。もうこれ菓子折りを持って実家までご挨拶に伺うレベルじゃん。

ここまで、たくさんの人とたくさん会話ができた。そうなれば、話しかけに行く勇気も自ずとついてくる。すみっコぐらし同然だった昨年とは大違いである。

ふと目に入ったのが、フウさんと紫吹はるさんが写真を(自撮りスタイルで)撮ろうとしているシーン。これはチャンスだ、と思い立ったが吉日、「撮りましょうか」と参上。ついでに「僕も写真いいですか」と便乗。ただ、思い返せば「自撮りの方が距離感も近くなるし、もしかして余計なお世話だったんじゃ……」という感情。もしかして炎上。心の中は異常気象。

でもまあ、お二人との写真は大切な宝物になったのでよしとしよう(アルロンの表情は固かったけれど)。

フウさんの掲載許可はもらったけれど後方の人たちが撮影NGかもしれないと思ったので星で隠したら指に星はさんでる人みたいになったの図

紫吹はるさんを含めたスリーショットは、アルロンが半目などの事情により掲載を控えさせていただきます。

だからこんなときに不憫発揮すな

念願の記念撮影にホクホクしていると、「楽しんでますか~?」と野やぎ先生がやってきた。

ア「はい! いっぱい話しました!」
野「出版社の人とは話しました?」
ア「あ、それはまだ……」
野「行きましょう」

というわけで、今年も野やぎツーリストのお世話になることと相成った。

紹介されたのは、ディスカヴァー・トゥエンティワンの担当者Sさん(名前を公表していいかわからないので伏せています)。審査する側と話すのは今回はこれが初めてだったので、思いきって審査基準について踏み込んでみた。
ビジネス部門の色が強いイメージだったのだが、お仕事小説部門にも関わっていた。その中で、今回はメディア賞はいずれも該当なし。Sさん曰く、「最終的に本として出版することを考えると、“光るものがある”程度ではメディア賞まではいかないんですよね」とのこと(意訳)。そうだよなあ。出版社の視点で考えると、お金をかけて書籍をつくりそれ以上のお金を得るために売り出すわけだから、それ相応のクオリティーを求めるのは至極当然である。創作大賞は手軽に応募できるけれど、絶対評価という性質上、受賞するのは生半可な作品では無理がある。そのことを痛感した。

ところで、ディスカヴァー・トゥエンティワンといえば、昨年の創作大賞のビジネス部門で入選した宮脇啓輔さんの著書「できる人が大事にしている 複利で伸びる仕事術」が来月発売される(入選作品である『「頭の回転が速い」を科学する』収録)から、みんなも買って読もうな!

「宴もたけなわですが……」とアナウンスが流れ出してもシカトしまくる出席者たち。ええい、まだ話してない人がいるでしょうが!

この日はぜひこの人とお話をしたい! そう思っていた一人が、なにを隠そうせやま南天さんである。創作大賞出身作家の代表格と言っても過言ではない。「クリームイエローの海と春キャベツのある家」(通称「クリキャベ」)を知らないとは言わせんぞ。

こちらのせやまさん、創作大賞2023のメディア賞(朝日新聞出版賞)にとどまらず、今年は「月夜のグリーンカーテン」という作品で入選を果たしている。しゅごい。
ということは、おそらく、きっと、いや絶対、授賞式には出席するはずだと。ならば、クリキャベを持っていきサインを頂くことができるのではないかと。そんな純粋で不純な動機を抱えながら、せやま女史のもとへ突撃ィ! ようし、まずは名刺交換だ!

「アルロンさん、昨年お会いしましたよね?」

んんん??? い……え……? お会いしておりませんでございますですが……?
昨年の授賞式では、せやまさんが前年受賞者としてゲスト出席されているのは知っていたが、当のアルロンがプルプル仔鹿ムーブだったので、ご挨拶することは叶わなかった。なのに、せやまさんはアルロンに会ったことがあると。ううむ、謎である。僕は2024年10月25日の記憶を何者かに改ざんされたのだろうか。

記憶改ざん説には懐疑的だったので、ひとまず名刺をお渡しする。「この名刺、持ってます?」と聞くと、「あっ、これは初めて見ました」とせやまさん。じゃあ昨年お会いしないですやん。そんなちょっと天然?なところも彼女の魅力なのだろう。ナイストゥーミートゥー。

で、さっそく「クリキャベ持ってきたのでサインしてもらえませんか!」と懇願。二つ返事で承諾を得る。「今、クロークに預けてるので、お願いしますね!」とアルロン。約束をこぎつけてその場はお開きとなった(さあ、フラグは立った)。

来月は新刊「パルティータを鳴らすまで」が出るから、みんなも買って読もうな!

何度目かのアナウンスが会場内に響いたので、いよいよ帰り支度をすることに。だが、モテ期はまだ終わっていなかった。

「アルロンさん、ですよね?」

上品な雰囲気をまとい、優しい微笑みを讃えた聖母のようなその人は、創作大賞2024の恋愛小説部門で朝日新聞出版賞を受賞した青山ヱリさんだった。パソコンで「ヱ」と入力したいときは、w+eで「うぇ」と打ってから変換するといいぞ!

昨年の受賞作「大阪城は五センチ」は拝読したものの、恥ずかしながら著作「あなたの四月を知らないから」はまだ持っていない。だのに青山さんはアルロンを認知していた上に「コッシーさんとなんかやってましたよねw(原文ママ)」と笑いながら話してくださった。うおお、ここで昨年ベストレビュアー賞の絆イベントが発生するとは。ありがとうコシ、いやコッシーさん。
青山さんが「どうせコッシーさんが勝手にやったんでしょ?w(原文ママ)」と続けたので、首肯した。そうです。コッシーさんが勝手にやって、ぜんぶ豆島圭さんのせいにしてるんです。そう言うとめっちゃ笑ってくれた。こういうクリエイター同士のつながりの連鎖も、noteの魅力だよなあ。note、いっぱいちゅき。

ちなみに、アルロンのアイドルブロマイド風名刺、渡したときのリアクションが一番よかったのは青山さんだった。昨年のコッシーさんとまったく同じリアクションだった。ゲラの女神である。

著作「あなたの四月を知らないから」は絶賛発売中だから、みんなも買って読もうな!(お前もな)

「こいつらまだ帰んないのか」というnoteスタッフのオーラをものともせず(ものともしろ)、未だ会場に残って話していると、ご挨拶したかったクリエイター最後の刺客が現れた。

恋愛小説部門で双葉社文芸出版部賞を受賞したYASUさんだ。あらやだイケメン! ていうか顔ちっちゃ! 文庫本サイズくらいしかないんじゃない?

YASUさんと言えば、昨年の創作大賞ではエッセイ部門に入賞している。受賞作品「母と推し活」は、創作大賞2024の受賞作品の中で一番泣けたので、てっきりエッセイの人だと思っていた。今回はなんと小説での受賞(しかもメディア賞)である。タリーズにてコーヒー1杯で10時間ねばりながらカキカキしたと聞いて、J・K・ローリング(「ハリー・ポッター」シリーズの作者)を思い出した。偉大な創作者はかくも似通るものなのだろうか。

今年の受賞作品「パーティーはいつか終わる」は、気にはなっていた。あとで読むマガジンに収録しておくくらいには、気にはなっていた。YASUさんが「だれか読んでくれないかな~、ってずっと思ってました」と話していて、心底申し訳ない気持ちになった。タイムマシンに乗って7月上旬に戻ることができたら、自分のエッセイの手直しをするついでに「YASUさんの小説読めえ!」と自分で自分の頬に往復ビンタを食らわせようと思う。

いよいよ人がいなくなっていき、年貢の納め時となった。名残惜しさに後ろ髪を鷲づかみにされながら、会場を出ようとする。

帰り際、見送ってくださったnote社員さん(たしか鹿島さんと漆畑さんだった気がする。違ったらごめんなさい)に「来年もまた来ますから!」と熱く語ってしまった。笑って「ぜひお待ちしております!」と言ってくれた。「僕は創作大賞アンバサダーですからね! 黙認ってことで今後もやらせていただきますね!」と熱く語ってしまった。笑って誤魔化された。


クロークで荷物を受け取った直後、またしてもアルロンを呼ぶ声が。

「アルロンさん! わたしです! 覚えてますか?」

忘れるわけがなかろうッ! noteの武田さんですね!!!
昨年の授賞式レポを読んで「おおっ!」となったらしく(この「おおっ!」がどういう意味なのかは聞かなかった)、最後の最後に声をかけてくれたのだ。覚えててくれて嬉しや……!

note社の皆さんは、我々クリエイターのために日夜はたらいている。もちろん授賞式も例外ではなく、あちこち駆け回り、準備からなにから本当に尽くしてくださった。平野さんなんて、忙しそうすぎて残像すら見えなかったもんなあ。
こういうnoteの風土というか空気感というか、それがとても心地いい。だからこそ、ああ来年の創作大賞もがんばろう、来年も今年以上に盛り上げようと思えるのだ。


え? あ、早く会場から出ろって? すんません。

会場に出てからも、ちょっとだけ交流させていただいた。

朝日新聞出版の御三方とバタバタしながらも名刺交換させていただいたほか、青山ヱリさん&YASUさんとの撮影タイム(無料)まで! 最後の最後の最後まで授賞式を堪能した。


帰り道、途中までベストレビュアー賞の数人で話しながら歩いた。それぞれの持つ創作大賞への想いが強く熱く、来年に向けて奮い立つには十分すぎる熱量だった。

ああ、創作大賞って最高だ。



5.良かった点と反省点


【良かった点】

  • 実際に人の顔が見られる

クリエイターにしてもnote社員さんにしても、普段はまず会うことのない人ばかり。でも一度会えば、作品を読むときにその顔が目に浮かぶようになる。それだけでなんだか距離が縮んだ気がする。

創作は孤独だ。けれど、noteにはたくさんの仲間、同志がいる。そのことを頭ではなく心で感じられるようになるから、授賞式で人と会うことは本当に大切で貴重なことだと思う。


  • たくさん話しかけてもらえた

これは本当に嬉しかった。昨年の授賞式レポを読んで「ああ、アルロンてこんな感じなのね」と配慮してくださったのかもしれないが、自分からいけない族にはとてもありがたい。パーティーグッズ用のタスキに「話しかけてください」と書いて着用していこうか割と本気で迷ったが、杞憂に終わった。

でもこれって、日頃からnoteでたくさん読んだりコメントしたりしてきたからなのかもしれない(だからこそのベストレビュアー賞だと思う)。書き手にとって読み手は天使みたいなもの。どんどん天使になっていこうぜ。


【反省点】

  • サインを書いてほしい物は持ち歩くべし

せやまさんにサインを書いてもらおうと思ってたのにすっかり忘れてて、帰りの電車の中でこのことに気づいた(せやまさんからのDMもこのときに気づいた。すでに品川駅だった)。

サインを希望する場合は、クロークに預けず、常に携帯しておくとよろし。


  • フィンガーフードは食べたいときに食べるべし

美窪たえさんの〈塩昆布とうめし〉を「〆に食べよう」と思ってたのに、これも失念。というか、早く取らないとなくなっちゃうから、懇親会の初めの方で気になるものは食べておいた方がいい。

または、話したい人に「一緒に取りに行きましょう!」と誘うのがベターか(僕はできないけど)。



終わりに

お疲れ様です。この授賞式レポは約14,000字。よくぞここまでたどり着きましたね。冗談はさておき、お読みくださりありがとうございます!


さて、創作大賞2025は幕を閉じました。僕の今年の目標である「創作大賞2025でメディア賞を受賞する」は叶いませんでしたが、まったく落ち込んでいません。

なぜなら、受賞はあくまでも通過点。目標であって、目的ではないからです。

僕の目的は「物書きとして生きていくこと」。この目的に向かうためのしるべとして創作大賞を楽しんでいます。もちろんメディア賞を受賞するための努力は続けますが、それ以上にこのイベントを盛り上げたい気持ちがあります。なんなら、メディア賞を受賞したとしても、その後も毎年参加するつもりです。

創作大賞はコンテストだけれど、受賞することだけに意識を集中させるのって、たぶんつらいことだと思います。えらそうなことは言えないけれど、本来、創作って楽しい行為のはず。
だから、noteクリエイターの皆さんには、もっと楽しんでほしい。そのために僕は読むし、感想も書く。「だれにも読まれなくてかなしい……」としょげてるそこのあなたは、今すぐ僕に連絡してください。

もしかしたら、自分の受賞以上に、創作大賞の隆盛りゅうせいを望んでいるのかもしれません。なぜかって?

僕は創作大賞アンバサダーだから。


(おしまい)

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