【登山と経営】最終回 ─ 登山と経営に共通する“振り返り”の重要性
登山において、山頂に到着することでその日の山行が終わるわけではありません。むしろ、本当に大切なのは下山してからの検証、もしくは振り返りです。
今日の行程、判断、体調、装備──それらを振り返り、成功要因や今後の改善ポイントを明らかにすることで、次の登山はより安全で、より充実したものになります。
経営や仕事も同じです。
やりっぱなしでは同じ失敗を繰り返し、成功の再現性も高まりません。
今回は私自身の登山での検証事例から、経営やキャリアにも通じる教訓をお伝えします。
1. モッチョム岳──準備不足が招く危機を検証する
屋久島の旅をしている最中、その様子をFBにポストしたら、友人からメッセンジャーで「モッチョム岳はおススメだよ」と聞きました。
そこで、当初の旅程にはなかったものの、急遽登ることに。
・・ところが、ろくに難易度や必要時間を調べず、地図上の距離だけを見て「軽い山だろう」と判断し、飲みかけのペットボトル200mlくらいと、もう1本500mlの水だけで登山口に入りました。(登山家の人に絶対に叱られる非常識な量)
しかし、実際にはかなりの高低差があり、しかも、当時は夏の猛暑日。
飲料水は登りの途中でほぼ尽き、頂上で飲み干してしまいました。
その後の下山時には、喉はカラカラ、頭はぼんやり。
ほぼ熱中症寸前まで行ってしまいました。
幸い、下山途中の沢で水をがぶがぶと飲み、何とか命拾いしましたが、その下山後の振り返りでは、大いに反省しました。

検証からの学び:
山のレベル、時間、気温を事前に調べ、充分な飲料を持つことをルール化。これ以来、どんな山でも必ず予想行動時間と気温を考慮した水量を計画して持つようになりました。
経営への応用:
事前調査やリスク想定を軽視すると、資金や人員が途中で尽き、事業が頓挫します。検証によって次回以降の計画や備えを根本から見直すことが、生き延びるための必須習慣です。
私の登山の失敗例における飲料水は、経営におけるキャッシュ残高に例えられるでしょうか。事前調査やリスク想定は本当に重要です。
2. 塔ノ岳──繰り返し起こる膝痛を検証する
何度目かの塔ノ岳の下山中、この日も膝が痛みました。
特にその日はびっこを引くほどで、痛々しい下山に。
膝はなかなか鍛えにくい部位です。
帰宅後の検証で、これは各関節が平均よりも著しく細いという「体質的な弱点」、筋トレだけではどうにも鍛えられない、と認識し、高価なバンテリンの膝サポーターを購入し、以来どんな登山にも常に携帯、下山時に装着するようにしました。
その結果、下山時の膝痛の頻度は大きく減少しました。

検証からの学び:
繰り返し起こる課題は偶然ではなく遺伝子的問題、素質の問題。ツールに頼って恒久的な対策を講じることで、同じ苦痛を避けられました。
経営への応用:
事業でも「毎回起こるトラブル」は環境や仕組みに原因があることが多い。検証は、その本質を見極め、抜本的な解決策を導入するきっかけになります。
3. 最初の30分の鬼門──ペース配分を検証する
何度も登るうちに気づいたのは、自分にとって登り始めの30分が「鬼門」だということ。
最初に飛ばしすぎると心臓がバクバクになり、すぐにバテてしまいます。
検証の結果、「最初の30分」は意識的にペースを落とし、ウォームアップの時間にすることを決めました。
この改善で、その後の行程が格段に楽になりました。
そして、この改善を支えているのが記録ツールです。
軌跡や速度、休憩時間を記録することで、自分のペース配分を客観的に検証できます。私は登山アプリ YAMAPとスマートウォッチ Amazfit T-Rexを愛用しています。
過去ログを見返すことで、その日の体調や環境による違いも把握でき、次の計画に反映できます。
経営への応用:
立ち上がりのペース配分は事業でも重要です。
私はこれまで幾度の転職を繰り返しキャリアアップをしてきましたが、その中で「3ヶ月あれば目立った成果を出せる」という自信を築きました。
しかし同時に、入社直後から張り切りすぎて飛ばした結果、“出る杭”として叩かれたり、部下の反発を招いたりする失敗も経験しました。
以来、「最初の3週間は慎重に」というルールを守るようになりました。
これはまさに、私にとっての登山の“鬼門の30分”と同じです。
4. 検証を習慣化するために
登山後の検証は、感覚だけでは足りません。
ルートと所要時間
休憩のタイミング
天候や気温の変化
装備の良し悪し
こうした事実を記録することで、改善点と成功要因が明確になります。
経営でも、数字(KPIや売上)だけでなく、意思決定やチームワークの経過を記録することで、次の戦略や改善の糧となります。
感情と事実の両面から検証することが大切です。
5. シリーズを検証して
さて、この「登山と経営」シリーズでは、
と書き起こしてきました。思いつくままに書いたつもりが、意外にもこの流れが自然だなと、思います。そして、第7弾のテーマ「検証」は、これらすべてを磨き、次の挑戦につなげる最後のピースです。
登山でも経営でも、検証は成長には欠かせないピースです。
足跡をただの通過点にするか、高みを目指すために積み上げていく石段にするかは、自分次第。
このシリーズはここでひと区切りですが、登山も経営も旅は続きます。
明日は、また一つ別の新たな百名山に登りに行きます。
目指せ、百名山制覇!(羅臼岳以外・・)
