エッセイ第6話|弱さを見せることは、逃げることじゃない
最近、ふと気づいたことがある。
人に弱さを見せることを、私はどこかで恐れていた。
弱い姿を見せたら、
がっかりされるんじゃないか。
迷惑をかけるんじゃないか。
嫌われてしまうんじゃないか。
そんな不安が胸の奥にずっと残っていて、
つらいときほど明るくふるまったり、
平気なふりをして笑ったりしていた。
弱さを見せることが、
まるで“逃げること”のように思えていたのだと思う。
でも、本当にそうだろうか。
弱さを隠すためにがんばり続ける日は、
たしかに前へ進んでいるように見える。
けれど、心のどこかがいつも苦しくて、
自分に嘘をついているような気がしていた。
ある日、そんな自分にふと問いかけた。
弱さを見せることって、
本当に逃げることなんだろうか。
思い返してみると、
本当に心が折れそうなときに、
そばにいてくれた人たちは、
私が弱さを見せたときほど
優しく寄り添ってくれた気がする。
涙をこらえなくてもいいよ、とか。
しんどかったね、とか。
それだけで十分だよ、とか。
そう言ってくれた言葉の温度は、
強がっていた頃の私には届かなかったやさしさだった。
弱さは、逃げではない。
弱さは、自分を守るための“合図”のようなものだ。
もう無理だよ、
少し休みたいよ、
誰かにそばにいてほしいよ。
そんな声を届けてくれている。
弱さを見せられるということは、
信じたい人ができたということでもある。
自分の限界を知り、
自分を大切にしようとしている証でもある。
弱さを見せたとき、
少しだけ心が軽くなる瞬間がある。
肩の力が抜けて、
自分を取り繕わなくていいと感じられる。
その瞬間に初めて、
“本当の自分で生きる”という意味が
少しだけ分かった気がした。
逃げているんじゃない。
ただ、正直になっているだけなんだ。
弱さは、前に進むための入口でもある。
それを否定しなくていい。
あとがき
弱さを見せてもいいし、
頼ってもいいし、
立ち止まってもいい。
弱さはあなたの価値を下げるものではなく、
あなたが生きてきた軌跡そのもの。
どうか、弱さを抱えたままでも
ちゃんと歩けることを忘れないでください。
