「ゲーム機の恐怖」第一話
あらすじ
あらすじ
家庭用ゲーム機がある一家を助ける話。学校で何かあったらしいがある日を境に不登校になった裕哉。小さい頃のような笑顔を見せなくなった裕哉を心配していたらゲーム機自身が押し入れに隠されるピンチに陥る。どうやら裕哉の親がゲームを禁止にしたようだ。それにより裕哉の心の充電を回復させる術がなくなってしまう。ますます心配になるゲーム機は押し入れにいた友達とともに脱出を計画。そして見事に成功。しかし裕哉の親は学校に行ってほしい思いが強く家庭が壊れていく。そこで裕哉とその親を近づけるべく昔の記憶で笑顔を復活させる作戦を実行。これも見事に成功。親との関係も幾分回復した。そんな時に新しいゲーム機が裕哉の家に。そして訪れる本当の最後。ゲーム機は押し入れにしまわれてしまった。しかし、依然と比べて穏やかな気持ちになっていた。仕事を終えたゲーム機は深い眠りについた。裕哉のような笑顔で。
ムズムズ
埃っぽい場所

おいおいおい!誰かいねぇのか?おーい、聞こえているか?
こんな暗いところに閉じ込めやがって。
鼻のあたりがムズムズするぜ。ふざけんなよ。
だいたい俺が何したっつんだよ。
ぶへぇ…何でぇいここは。埃っぽいぜ。
弦すら張ってねぇネックの反ったギターに、これは…カビくせぇアルバム。捨てとけよったく。
ん?なんだよ。今日も誰も遊んでくれねぇのかぃ?良くないねぇ。良くない良くない。俺はゲーム機だぞ?え?電源点けてくれよぉぉぉ。いやぁ、寒くてかなわねぇ。
誰かいねぇのか?おーい。
か、勝手にリセットボタンを押すなってんだ、この野郎!誰だ!?
んだよ、アルバムかよ。お前はあれだな。いつもカビくせぇな。寄りかかってくんなよ。
あぁあん?なんだよこれ。
え?懐かしいね、これは。裕哉じゃねぇかよ。あぁぁ、いいね。この笑顔。懐かしいな。
おいおい、もうちょっと見せてくれよ?寄りかかって良いから。な?頼むよ。
あぁぁ、いいねぇ、懐かしいよ、この笑顔。あいつはよ、いつも真剣に俺を見てくれんだよ。そりゃよ、イライラしている時もあったよ?だけど、真剣に俺と向き合ってくれてたんだ。
すとりーとふぁいたー?だっけか?なんで街路戦士なんだろうな。まぁいいや、それをやってる時に相手に負けたらよ、コントローラーぶん投げてたな。あはは。スパーンってな。あはは。コントローラーの野郎、死んだふりしてよ。んで、裕哉が壊れちゃったから直すとか言って中身バラバラにされたら、コントローラーの野郎くすぐったくて起きちゃって。ゲーム再開。んで結局、またぶん投げられてやがんの。世話ねぇよなったく。
良かったなぁ、あの頃は。裕哉、笑顔だった。
ただいまって帰ってきたら、真っ先に俺んとこきてよ。撫でてくれる。んで、ニコニコしながらソフトって言われる薄っぺらいやつ入れてよ。この電源ボタンをコツンって押すんだ。
今じゃ点くかどうかも分かんねぇ、このランプが燃えるように赤く染まってよ。
な。
あいつは俺を笑顔で見てくれんだ。あの顔は忘れれねぇな。
いつからだろうな。
あいつ学校ってやつ行かなくなって。
最初は俺と遊んでてくれたんだけどよ。ある日、あいつの親がいきなり俺の背中の線をブチブチって引っこ抜いて。ほら、見えるだろ?あの色のついた線だよ。
あいつ、俺のほうチラってみて。悲しそうな顔してた。
あんな顔、見たことねぇよ。
俺の前ではあんな一度も顔したことねぇんだよ。
裕哉のあんな悲しい顔、見たことねぇよ。
んでよ、もう、俺は見られなかったんだよ。チクショー。
あ?違う違う。電源コードも引っこ抜かれたからな。見たくても見れねぇんだよ!ったく。気付けよ、お前はよ。アホだな。ったく。
んで、気づいたらここにいるっつぅわけ。ここで何日も何日もお前にリセットボタンをツンツンされてるっつぅわけ。触んなって。だから。
裕哉の好きなゲーム
ある日よ、今日はなんのゲームすんのかねぇって言ってたらよ、コントローラーの野郎が言うんだよ、俺に。
「やぃ、本体!お前は良いよ。優しく触られてよ。代わってみろってんだ。こっちはグリグリ回され連打され。挙句の果てには投げられてよ。たまったもんじゃねぇよ。やぃ、本体!聞いてんのか!」って。
俺は言ってやったよ。
「うるせぇ!こっちだって、お前の訳わかんない△だ〇だの信号をCPUだかDQNだか知らねぇけど、そいつらに伝えなきゃいけねぇんだよ。頭固ぇんだよ、あいつらは」
そしたらよ。コントローラーの野郎、言い返してきやがった。
「それがお前の仕事だろ!」ってな。俺もよ、接続端子(頭)にきたから言い返してやったよ。「連打されんのもお前の仕事だろ!」ってよ。あはは。もうおかしくってよ。
そしたらよぉCPUが言うんだよ。
「まぁまぁ、そんなに熱くなりなさるな」ってよ。
おぃおぃおぃ。お前が一番熱くなんだよ!!!って思わず俺がコントローラーぶん投げてやろうかと思ったよ。あはは。
コントローラーの野郎はそれでも裕哉と遊べるのが嬉しいって言ってたよ。
特に裕哉がRPG(アールピージー/ドラクエとかFFとか)やる時とかSLG(シミュレーション/シムシティとか信長の野望とか)の時とかはよ、そりゃあ真剣な顔するんだってよ。宿題の時より真剣な顔すんだってよ。
すげぇ考えてな、考えて考えて考えてボタンをヒョイと押すって言ってたな。んで上手くいったら喜んで、失敗した時は考え込んで。たまに電卓っつうの?それで計算しながらゲームしてやがんだよ。あいつは利口になるよ。うん。
すとりーとふぁいたーってやつより、信長の野望とかそういうのが好きみてぇだな、裕哉は。でもよ、信長の野望はソフトを読み取るのが大変でよ。あはは。CPUだっけか?あいつ熱くなりながら仕事してたよ。あはは。
裕哉が信長の野望好きって誰も知らねぇだろうな。自分で考えて、自分で歴史調べて、自分の国作ってよ。ほら、小学生の頃はシムシテー?シチーだかなんだかで家建ててただろ。ああ?家じゃねぇ?町?そんなん知らねぇよ。どっちも一緒だろ。るせぇな。それで町とか、あとほら、遊園地とか作ってただろ?あの時もワクワクしながら作ってやがったな。
あの顔、嬉しかったな。
俺も必死に裕哉を笑顔にしてやろうって。な。
懐かしいよ。
なぁ、ギター。ギターさんよぉ。聞いてんのかい?え?
おめぇは弦がなかったら無口な野郎だなったく。
弦張ってた頃はジャーンとかギャーとか騒いでたのによ。喋ると都会ぶりやがってよ。「騒がしくして申し訳ありません」ってな。あはは。
年寄りの集まりだなここは。あはは。俺もか…
あの顔、もういっぺん見せてくれねぇかな。
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