AIが発達したから英語学習をしない、という論調
noteの記事を見て回る限りですが、AIがあるから英語学習がいるだの、いらないだのの議論があるように見えます。一見すると、AIを使うことで英語の能力を代替できるかどうか、が論点になっている感じがしますが、僕はそうではないと考えます。今回は、AIが発達したから英語をしないと言う人の心理に着目して僕の意見を説明します。
じゃあ何をするんですか
AIが登場したから英語学習しなくてよくなりました、やったね、よかったね、とひととおり幸せになって喜んだあと、何をするんですか、というのが、僕の大きな疑問のひとつです。
ドラム式洗濯乾燥機があるから洗濯物を干さなくてもよくなった!とか、食洗器があるから皿洗いしなくてもよくなったし、肌荒れの心配も不要になった!とかならわかるんですよね。なぜならそれらの作業は多くのひとにとって「やりたくないこと」であり、やらなくてもいいならやりたくないというのが本音であるからです。洗濯物干しや皿洗いをやっていたのは、仕方なくやるしかなかったからです。
ここで疑問になるのは、「洗濯物干しや皿洗いと同じ土俵に、英語学習を乗せてもいいのか」ということです。いままで語学学習を家事をこなすようにやっていたが、それに取って替わる手段でてきてハッピー、みたいなシンプルな景色がそこにはあるのですか、ということです。
正直になろう
上記の疑問にたいする僕の回答は、「NO」になります。つまり、洗濯や皿洗いと英語学習を同列に並べるのはナンセンスということであり、「洗濯が面倒くさいからドラム式洗濯機を買う人」のインセンティブと、「AIを理由に英語学習をやめる人」のインセンティブは同じではない、ということです。
洗濯機の話で、「仕方なくやるしかなかった」という言葉を使ったわけですが、これまで仕方なく、しぶしぶ英語を使っていたがAIが出てきたからそれに替えた、なんて人はそもそもいるのか、という話です。洗濯機と英語で決定的に異なるのは、「もともとそれをやっていたのか」になります。
ありていに言ってしまうと、AIがあるから英語学習しないという人はをそもそも、はなから何もしてないはずなんですよね。英会話をAIで代替できるという人ほどもとから英会話なんてしていませんし、AIで外国人とコミュニケーションを取れるようになると嬉々として説明する人ほど、AIで外国人とコミュニケーションをとっていないはずです。要するに、前と後で何も、まったく変わっていないんですよ。
AIは関係ない
この記事の前半で、「じゃあ何をするんですか」と問うたのは、そこにことの本質があると考えたからです。
ふつう、「AをせずにBをしたい」と考える人は、Aから離れてさっさとBをするんですよ。そして、「AIがあるから」と言う人も例外ではなく、「何もしないをする」ということをすでにやっています。
AIがあるから英語学習をしないと言う人は、AIがなくても英語学習をしません。「時間がない」のような、後付けで捏造される理由とAI云々の話は同じで、「英語学習をしなくてもいい理由がほしい人たち」がそのような言葉を求めているために、AIがどうのこうのみたいな話が表に出ているわけです。
この議論は別にAIじゃなくてもいいはずです。ちちんぷいぷいマシンの台頭とか、ニャホニャホタマクロー・メソドロジーの発展とか、名前はなんでもいいし、どうでもいいわけです。
本質は、自身の意思決定の問題を外部のエンティティの問題にすり替えてしまう人がいるという事実です。仮に、AIバブルがはじけた後にちちんぷいぷいマシンが台頭し始めたとしたら、いままでAIをダシにしてやってきた議論が、ちちんぷいぷいマシンをダシにしてされ始めるようになるはずです。
さいごに
くどいようですが、本人が何をどうしたいのかがすべてであり、世間の景色は心底どうでもいいわけです。冒頭で述べた、AIがあるから英語学習がいるだの、いらないだのの議論がしょうもないといえるのは、人それぞれで当然である、「すべきか、やめるべきか」に多大なリソースが割かれてしまっているからです。
上記記事で説明したのですが、「意味があるかないか」とう議論はほとんどの場合で徒労に終わります。意味や意義というのはもれなく主観的であり人それぞれですから、「それに意味はあるのか」というネタを大真面目に議論するのはこっけいになります。きのこたけのこ論争を辛辣な面構えでやってしまうのと、本質的には同じです。
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▼この記事を書いた人▼
そっちゃそ
フリーランス英日翻訳者。本業で培った知識や経験をもとに、発音指導をはじめとした語学指導もやっています。noteは、僕の思想や考えをひろく公開するために使用しています。僕の思想や考え方については、考察と思想哲学のマガジンにまとめているのでこちらをぜひご覧ください。詳しいプロフィールはこちらから。
ポッドキャストもやっています:
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主な著作:「自分の意見を言うことは『役に立つ』」、「外国語を学習すると決めたときに読む本」、「英語発音学習の第一歩」。既刊一覧はこちらから。
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さいごに
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