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RADWIMPSの新曲「筆舌」の魅力を、RADWIMPSを詳しく知らない人にも分かりやすいように解説する

RADWIMPSが最近リリースした楽曲「筆舌」が、凄まじい力を持っています。バンドの最高傑作と言っても過言ではないかもしれません。

RADWIMPSを詳しく知らない方には、この興奮が伝わりにくいと思うので、この曲に至る背景を少し解説させてください。


ポイント①『君の名は。』以前/以後

RADWIMPSは、今年(2025年)でメジャーデビュー20周年を迎えます。これだけ長いこと活動していれば、当然、変わるものも数多くあります。

RADWIMPSにとって、大きなターニングポイントとなったのは、映画『君の名は。』です。主題歌を担当したこの映画が空前の大ヒットを記録し、RADWIMPSの知名度は一気に上昇しました。

もともとRADWIMPSは邦ロック界隈では絶大な人気を誇っていましたが、メディアへの露出が極端に少なかったため、一般的な知名度はそこまで高くありませんでした。それが、『君の名は。』のヒットにより、紅白歌合戦に出場するなど、世間的な認知度が飛躍的に高まったのです。

ただ、認知の拡大に伴って、制作する楽曲にも変化が生じたように感じます。『君の名は。』以前は、一般ウケを狙わないような、鋭利で尖った楽曲が多かったです。しかし、『君の名は。』以降に発表された楽曲は、RADWIMPSの持ち味だった「尖り」が、少し丸くなったような雰囲気がありました。もちろん、すべての楽曲が丸くなったわけではなく、アルバムには尖った曲も収録されていましたが、バンドの全体的な雰囲気は大きく変化しました。

『君の名は。』以前にヒットした曲を3曲ピックアップしてみます。

『君の名は。』以降にヒットした曲を3曲ピックアップしてみます。


それぞれの時期で3曲だけピックアップしており、多少乱暴ですが、楽曲の雰囲気が変わっているのが分かるかと思います(楽曲の全部分を聴かなくても、イントロだけで何となくの雰囲気が分かります)。

『君の名は。』のヒット以降、新たなファンが増えた一方で、同時に古くからのファンが少し離れていった時期でもあります。私もその一人で、2020年〜2023年頃は、あまりRADWIMPSの楽曲を積極的に聴いていませんでした。


ポイント② 新アルバム『あにゅー』

そんな中、今年、ニューアルバム『あにゅー』が発表されました。このアルバムに収録された楽曲群は、「かつての尖ったRADWIMPS」を思い出すような懐かしさがありつつ、同時に新しい要素も取り入れられています。SNSなどでも「久しぶりにRADWIMPSに“帰ってきた”」という声が多く上がっています。

RADWIMPSファン界隈は、今、かなり盛り上がっています。そんな空気を感じて、「久しくRADWIMPSを聴いていなかった層」が、再びアルバム『あにゅー』に手を伸ばしているのです。

アルバムについて、評判が良いみたいです。「あにゅー」のレビュー記事をここで紹介します。


ポイント③ 「筆舌」という楽曲の魅力

そのような背景を踏まえて、新アルバム『あにゅー』の収録楽曲である「筆舌」の魅力について述べます。

この楽曲の最大の特徴は、ボーカルの野田洋次郎がこれまでの人生を振り返るかのように、具体的なエピソードが歌詞に散りばめられていることです。例えば、知り合いの自殺を嘆いたり、独り身で過ごしてきた人生に少しの後悔を滲ませたり。どこまでが実話かは分かりませんが、ある程度は野田洋次郎という人間の本音が色濃く含まれているのでしょう。

このような、一人の人間としての「等身大の言葉」が、「久しぶりにRADWIMPSを聴いた層」の心に、深く刺さっているのです。

また、「筆舌」には次のような一節があります。

「ずっと」とか「絶対」とか「一生」とかないのはもうわかったから

RADWIMPS「筆舌」より

彼がこのような歌詞を書いたことは、長くRADWIMPSを聴いているファンからすれば、衝撃的な出来事でした。というのも、彼が作る楽曲の多くに、まさしくそうした「永遠性」を願うフレーズが含まれていたのですから。『君の名は。』の主題歌である「スパークル」だって、「そんな世界を二人で 一生 いや何章でも 生き抜いていこう」という言葉で締められています。


そんな彼も、20年というバンド活動の中で、数多くの喪失を経験してきたはずです。東日本大震災であったり、メンバーの無期限休養や脱退であったり、表に出ているものも、出ていないものも、数多くあるでしょう。

▼ドラム:山口智史の無期限休養の報告

▼ギター:桑原彰の脱退報告

こうした彼の「変化」は、RADWIMPSを長く知っている人ほど、深い感銘を受けます。長い時を経て、自分も、そして彼も、確かに変化してきたのだと実感するわけです。


(補足)

洋次郎は、東日本大震災の発生を受けて、震災発生後から10年間、毎年3月11日に曲を発表しています。これらの楽曲はコンセプトアルバムに収録され、アルバムの売上は被災地支援金として寄附されました。


まとめ

長くなりましたが、「筆舌」の魅力について語りました。

この楽曲は、AIには到底作ることができないものだと思います。仮にAIが全く同じ歌詞やメロディを生成できたとしても、ここまで心を揺さぶる楽曲にはならないでしょう。20年間バンド活動を続けてきた野田洋次郎が歌い、そしてRADWIMPSとの思い出を持つ私たちが聴くからこそ、この楽曲はこれほどまでに魅力的なのです。

この点に、AI時代における創作の真髄が示唆されているとさえ感じます。

「筆舌」には、こんな歌詞も出てきます。

「かつて音楽は人間の手によって作られた時代があったんだよ」なんてさ
そんな時代を前にまだ見ぬとんでもねぇ音楽を作りてぇなんてほざいたり

RADWIMPS「筆舌」

彼は、きっとこれからも、私たちをとんでもねぇ音楽で驚かせてくれると信じています。



本記事は「お前の偏愛を語れ」コンテストの参加作品です。




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