空へと伸びる赤い彫刻の先に
いつかの風景をつなぎながら
阪急線の庄内駅から、大きな空の風景をたどり、
東へ進む。道の先のクラブハウスの前には、以前
にも眺めた赤い彫刻が見えてくる。空を、建物を、
そして彫刻をたどるのも旅の楽しみのひとつに。

ゴルフ練習場の車寄せにひかれつつも

その前にそびえる赤い大きな彫刻が目に留まる

それは空に向かってすっと孤を描き

赤い2つの構造物は喜びを讃えるように

のびやかに、その場の記憶を空へと放つ
Round Structure 92-1という名の高さ6mの彫刻は
以前にも赤いオブジェの一つとして訪れた。作品を
手がける内田晴之氏は、瀬戸内国際芸術祭でも
大きな赤い彫刻により、島の風景に形を刻む

空へと伸びる赤い円弧をくぐり、並木道の先に伸びる

アプローチは、建物の中へと引き込まれるように続く

エントランスを挟むように建つ建物の

一つ一つのレンガが持つ表情に

積み重ねられた時間を感じ
旅先でふれるレンガの質感にひかれ
建物がまとう時の間を縫うように旅を続けている

外壁にはレンガと対照的に打ち放しのコンクリートの壁

足元には時代の熱気を帯びた石とタイルのデザインも

レンガに、鉄とガラスとコンクリ―トが組み合わせられた

建物には、1983年のバブルの空気をまとうような

造形が、40年以上経った今も息づいている

ここは大正時代の工場が、レストランとして改装された


江坂カーニバルプラザは時代の流れと共に姿を消したが
レンガの建物は、時の流れを染み込ませながら

広がる空の下、店の名前は変えながらも

当時の雰囲気を残し、今も営業を続けている。時代を刻む

レンガと1980年代の空気が入り混じる建物は、当時は
エスカミュ―ズという名で、若林広幸氏が手がけ
その円が連なる内部空間に、宇治の旅も思いだす

またいつかの休日に、贅沢なランチを楽しみにして

その日は、今は、緑輝く庭園となった場所から

大きな空の下で、時を刻む建物を眺めるだけにして
かつてここにあった江坂カーニバルプラザの

看板は岡本太郎が手がけたリオちゃん。今は近くの公園で
当時の記憶をそっと語り続けている

かつてここには広大なレストランが建っていた
大きな赤い彫刻を越え、時を積み重ねるレンガの
建物の先には、鮮やかな芝生の庭園が広がる風景。
かつてカーニバルプラザ江坂と呼ばれた場所には、
当時の祝祭の場とは対照に、今はしんとした空間が
広がっている。カーニバルプラザが隆盛だった頃、
その名は聞こえていたが、訪れることはなかった。
今、その場所に立ち、当時の空気を感じることが
できなかったことが惜しまれる。時は過ぎ、時代
と共に風景は変わりゆく。残されるものもあれば、
時代の波に飲み込まれるものもある。これからも
一つ一つの風景を心と言葉に刻んで、その儚さに
いつかの景色に、思いをはせて旅を続けていこう。
