旅先の色と形に誘われて
芸術は日々の中にある
旅は出会いをもたらし、日々は塗り重ねられる。
芸術家は、息を吸っては、吐くように作品を生み
出し、常にアートの中に生きている。その目線が
もたらす色や形に誘われ、触れるように旅をする。

視点を転じれば

芸術家の視線を感じる

上階に並ぶ作品を見上げると

画面いっぱいに満たされる色が

空間の温度を上げる

抽象化された形が

帯びる色の連続

赤と白は密度を変えながら
形となって、風景をつなぐ

色が変われば印象も変わり

転じる色に引き寄せられる

線の重なりが部分を構成し

白地に複雑な青を浮かび上がらせる
色や形は旅の中にあり

日常の中でも、そっと見守ってくれていた

色は鮮やかさを示すものもあれば

深く沈んだ色もある

まぶたの裏側にあるような

騒がしくも静かな色

遠い過去を覗き込むように

はるかな旅路をたどるように

芸術家の過ごした日々にふれる

日常のあらゆるものが作品となり

動かされた手による形は、手のひらの上から

体全体で受け止めるものとなる
大きな視点と小さな目線を、行きつ戻りつ

転じる形を目で追いつつ

美術館に仕掛けられた形に体を沿わす
いのくまさんの暮らしを思う
日常への温かなまなざしを

大切に持ち帰っては
旅に重ねるようにして
掬いあげられた色や形への
目線を携えながら旅をして
芸術家の生きた歳月に心をよせる
色や形がつなぐ風景。その鮮やかにも、淡くもある
記憶が、ふと重なり合う。対象を拡大すれば、形は
抽象化し、色は純度を上げる。あらゆる色や形に
包まれる日々。それらを旅するように拾い集める。
芸術家が過ごした温かな日常に思いをはせながら。
