波間に揺れる島に沿うように
島に流れる時間にふれながら
波間に揺れる島をなぞり、石段を上り、また下りる。
家々の瓦は波打つ風景に浮かぶように、穏やかに
時に身を委ねている。幾重に築かれた石垣に続く
屋根の連続に、かつての島の賑いの記憶をたどる。

屋根は波間を映し出し

連なりの向こうに浮かぶ海

静かに時は積み上がり

植物は命を繰り返していく

建物に刻まれた暮らしの証と

瓦に刻まれる時代の痕跡

重なる屋根が生み出す調べに

身を委ねるように島を歩く

朽ちては生まれる緑を伝って

石垣に触れるように島を歩く

足元には小さな命がそっと輝く

板塀の色は移ろいゆき

石の連なりは重なる時間を対比させる
静かな時の連続の中で

島が帯びる生命力にも目を見張る

波間に浮かぶ崩れゆく屋根

まばらな石垣が続く道で

刻まれた時の流れに触れるように

島をひそやかに見守る狛犬は
旅先の風土と共にある

トタンの模様は揺れるように

鬼瓦は波の模様を描く

石垣は時代を重ね、今に至り

その時の間を進みながら

石の形と重なりに、時の流れを感じ
刻まれる記憶に耳をすませる

伝えられる島の歴史に触れて

波打つように並ぶ石の隙間に
そっと忍ばせてある欠片にも目を留めて

青い空に浮かぶ石垣の連なり

別れてはつながる階段を降り

折り重なる屋根の先の

海へと続く階段は

島の地形を物語る

島の色合いに浮かぶ花を過ぎれば

風景は海へと接続される

海辺に並ぶ漁船は、島の暮らしを語る存在で

瀬戸内の穏やかでも、うねりのある海の

物語を、船は過去から未来へ運ぶ

海と島をたどる旅を
繰り返すほどに風景が揺れ動くように

空と水平線とコンクリートの境界に

時を終えた船の影に
島の記憶を重ねるようにして

旅をゆらりゆらりと続けながら
芸術祭の祝祭の中を漂うように
苔に覆われた石を、鮮やかな緑を帯びる蔦が這う。
屋根の向こうに見え隠れする波間。板塀は色褪せ、
瓦は土に還るかのようにくすんでいる。石垣は、
島の生命力が凝縮され、寄るほどに力強く迫って
くる。たゆたう海。海沿いに静かに時を閉じる船。
アートがつなぐ芸術祭に、島の時間は動き出す。
瀬戸内海の穏やかなゆらぎの中に揺れる高見島で、
ひとときの祝祭に旅の記憶は重なり浮かぶように。
