見出し画像

時間は光に浮かび上がる

旅の形を広い集める



目に映ることのない時間。それを浮かび上がらせる
形や素材。時が宿るものの状態に引き寄せられる。
沈みゆく漆喰の壁。行き交う光。内に深まる闇。
仄かな輝き。動き出す四半のリズム。時間は板塀
に染み、石垣に重なる。時のふる家で時を感じて。




形をたどり、道を曲がり、門をくぐる



散りばめられた形と


緑が旅の風景をつなぐ



民家の壁面に連続するアクリル板は



連なっては重なり、光を帯びる



それは民家の壁と一体となるように



周囲の風景を取り込みながら



かつてここにあった暮らしの残像を映す



沈みゆくような時に包まれる家の



空間に光がつたう。外部から内部へと連続する光は



時の流れを可視化する


まぶたの裏に像を結ぶのは時の形



無数に連続する光は、秩序を失い



散り散りとなり、空間を侵食する



形あるものが、いつかは形をなくす過程を



アクリル板は不安定に、無造作に示し



床には破片が散らばる。かつてここにあった時と



今ここにある無数の光



時のふる家、という作品で


光と影は互いにせめぎ合いながら



かつてここにあった空間に、時をふらせる


光と影が震わせる時の流れ。作品を手掛ける


中島 伽耶子さんの目に映る時を感じる




物がまとう長きにわたる物語



石垣に積み上げられた時の流れと



空間にリズムを刻む四半の壁



そして板塀に時は染み入るように


時はふり積もり、散っては集い、手をすり抜けて
は微かに残る。時はじわりとじわりと進みゆく。
ほんの束の間のひととき。何百年もの長い物語。
時間は様々なものに流れては、風景を立ち上げる。


時は重なり、集まっては流れていく。時は霞んでは
おぼろげになる。戻ることない時間に手を伸ばす。
雲の動き。波のリズム。過ぎゆく影。穏やかな
ゆらぎ。時間の流れに抗うように言葉を重ねる。


時のふる家で、降り積もった時を写真に収め、時を
呼び起こす。ふわりと浮かぶ時に、こぼれる言葉を
すくう。日々はどうしようもなく過ぎ去っていく。
日常は限りなく日常で、その中に旅の時間を思う。


旅が日常に溶け込むように、過ぎ行く時間が定着
するように言葉を綴る。ちりばめられた時のかけら
をつなぎ合わせる。記憶は時が過ぎればはかなく
も、その流れに沿うように振り返っては旅を綴る。



いいなと思ったら応援しよう!