反転を繰り返す光と影へ
いつかの記憶をたどるようにして
日常への思いをたずさえ旅を続ける。高見島に設置
される作品は、そびえる石垣の上に建つ邸宅内で
展開される。アートは今を映しては、過去を照らす。
空家となった建物の中の光と影が交差する空間へ。

開け放たれたガラス戸の向こうに青い影

ガラスは光を屈折させては風景をにじませる

版画のごとく図と地が反転するような作品に

刻まれた線が連なる

差し込む光は、空間を転じさせ
連続する形をたどるように歩く

画面に連なる線は、船出を称えるテープの重なり

海へと出航する船と陸とを線が結ぶ
船の存在を感じながらの島への旅

作品の裏側には、白地の海に黒の船と島のシルエット

闇の黒に浮かぶ海の白。反転する黒と白に
光と影の関係がなぞられる
青と黒に白い線が刻まれる港の風景には
出会いと出発の様子が描かれる

作品は上階へ続き空間は反転する。暗がりに差し込む光に

形は柔らかな影を帯びる

しんとした時間。ゆっくりと光と影が混ざり合い

空間は明るさを帯びていく

光を吸い込むような土壁をたどり

棚に並ぶ柔らかな形の土の彫刻は

生命になる前の形がモチーフとされる

光と影に形をなす木の彫刻は、その逆を示すもの
光は影を生み出し、影は光を際立たせる

小さな土の彫刻は、まだ形とはいえない形で

始まりの形として存在している

光は形を浮かばせては

空間に濃淡を帯びさせる

輝く素材。褪せていく空間の中で

並ぶ彫刻は、生の始まりと終わりを紡ぐ

立体的な木の彫刻は、枯れ葉がモチーフとされたもので

時間の終わりを示すもの。始まりと終わりを描く彫刻が

光と影が混じり合う空間の中で寄り添っては

離れ、光に浮かぶシルエットに
海に浮かぶ島々のイメージを重ねる

空間にたゆたう光と影は
互いに関係性を変えながら
時の儚さと強さを映す作品を包み込む
影は光に形をなして、光は影の中に浮かび上がる。
枯れ葉がモチーフの木の彫刻と、生の始まりの気配
をまとう土の彫刻。窓から差し込む光に、影は少し
ずつ形を変える。静けさが降りつもる海底のような
空間に、始まりと終わりの気配が漂い混じり合う。
光と影が、形と時間と反転させる空間で、目に映る
ものと映らないものの存在を感じるようにして。
