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銀河フェニックス物語 <会社員編> 起業家の夢は宇宙に輝く(最終回)

レイターの助言でコルバが六位入賞し、スチュワートのS1チームは広告収入を生み出せるようになった。
銀河フェニックス物語 総目次
・起業家の夢は宇宙に輝く(1)(2)(3)(4)(5)(6


 俺とレイターの関係はその後も続いた。

 あいつは俺の別荘に来ては、俺のコレクションに手を入れて帰っていく。整備士の資格を持っている銀河一の操縦士が調整すると、魔法をかけたように船が生まれ変わる。

逆振り向き

 クロノスと関係ない船も片っ端から改造を加えはじめた。こいつは根っからの宇宙船お宅だ。
 
 不思議な奴だ。会社のノルマを気にしないから金に頓着しないのかと思ったら、結構、請求書が細かい。

 実費のほかに整備企画費とか意味不明な項目が追加されている。
「こちらの費目ではお支払いできません」
 メリーアンが突き返すと俺のところへ直談判にやってくる。

「あまりメリーアンを困らせるなよ」

n65スチュワートシャツ前目真面目色逆

 俺は面白がってポケットマネーから払ってやった。
「あんたは金に糸目をつけねぇからいい。最高の船に仕上げてやる」
 俺がいない時でも勝手に作業できるようにレイターに別荘の鍵を渡した。

 レイターの奴、会社には直行直帰だと言って、俺の別荘に泊まり込んで船を直している。

「ビンテージ船が生き返るのって最高だよな」
 とレイターは動かなかった船もレストアさせた。飾っておくだけでいいと思って高額で購入したクラッシックの名船だ。

 手に入らない部品はS1のファクトリーで自作していた。器用な奴だ。

 船に命が吹き込まれる。
 古い機体が織りなす飛ばしの感覚は現代の船とは全然違う。船の鼓動が時を超えて心を揺らす。
 俺とレイターは蘇った船の中で手を取り合って喜んだ。

 金では買えない価値。それこそ、俺が求めているものだ。

 しばらくしてレイターはクロノスを辞めた。
「どうしてクロノス辞めたんだ?」
「会社員はいろいろあるのさ」
「うちに来ないか?」
「考えとく」

 関係筋から驚く情報を聞いた。

 あいつが会社を辞めたのはエース・ギリアム、すなわち無敗の貴公子にレースで勝ったためだというのだ。

普通後ろ目む

 クロノス社では箝口令が引かれているらしい。

 文句なしに銀河一の操縦士だ。
 レイターを俺のチームにどうしても欲しい。俺は高額な契約金をあいつに提示した。金にうるさいレイターでも十分満足できる額だ。

 だが、あいつは俺のところに来なかった。というかどこにも所属しなかった。
「俺さあ、船探してるんだ」
「どんな船だ」
「星系外航行船」
「デルベガを社員割で買えばよかったんじゃないのか」
辺境まで行きてぇんだよ」
「クロノスならいい船あるだろう」
「って俺も思ったんだけどさ、ちょっと違ったんだよな」

 レイターは自由な時間が欲しいとフリーの操縦士兼ボディーガードを始めた。俺は時々ボディーガードとしてあいつを雇った。
 レイターはボディーガード協会のランク3A。警備の腕もピカ一だった。元々皇宮警備の予備官をやっていたのだという。何をやらせても器用だな。

 そして、ふらっとあいつはいなくなる。
「船、探しに旅に出る」

 しばらくして金がなくなると、ボディーガード協会の登録が復活する。
 名簿に名前を見つけると俺はレイターを雇った。
「ボディガードじゃなくて、レーサーとしてうちのチームのS1に乗れよ。無敗の貴公子を破って優勝したいんだ」

 金では買えない価値。レイターとなら手にできる。確信がある。

「俺は忙しいって言ったろ」
「じゃあ、暇になったら声をかけろ。いつまでも待ってるぞ。俺はあきらめが悪いんだ」
「考えとく」 

18クロノス正面18歳@3後ろ目にやり

 いつかこいつを俺の船に乗せる。
 そして俺のチームが優勝する。とにかくそれまで、どんなに損が出ても俺はS1をやめない。  

 これが、ありとあらゆるものを手に入れてきた俺の夢だ。      (おしまい)


連載は<出会い編>第四十話「さよならは別れの言葉」

<出会い編>第三十九話「決別の儀式」 6年後のS1最終戦、チームスチュワートに所属したレイターが無敗の貴公子をゴール直前で追いつめた、の続きです ↓

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48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」

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