銀河フェニックス物語<出会い編> 第三十一話(6) 恋の嫉妬と仕事の妬み
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・第三十話 まとめ読み版①
一週間前、コッペリ社の購入契約の日取りが決まり、配船室のメルネさんへ宇宙船の予約をお願いすると、ちょうど同じ時間にフェニックス号がコッペリ社へ行くので、同乗するように言われた。
ピンときた。これは、わたしに対する嫌がらせだ。
厄病神のフェニックス号で出かければ、契約がつぶれると考えたフレッド先輩が、わたしの契約に合わせて、どうでもいい仕事をコッペリ社に入れたのだ。
あの人は、厄病神のジンクスを信じている。

情報を集めて調べてみた。
レイターさんが出かける先で、トラブルが多く発生しているのは確かだ。偶然にしては多すぎる。大規模デモ、環境保護団体のテロ、ハイジャック・・・。
危険手当が増額して支払われていた。『厄病神』ではなく、優秀なボディーガードのレイターさんは、リスクの高いところを仕事として選んでいるのだ。
でも、今回向かうヨマ星系をいくら調べても、リスク情報はでてこない。船を変更する必要はない。
いずれにしても、わたしへの嫌がらせで仕事を頼まれてしまったティリー先輩はかわいそうだ。先輩にだってプライドはある。
不機嫌な様子を隠せないところが、ティリー先輩の人間らしいところだ。

わたしのことを妬んで、面白く思っていないことがみえみえ。でも、足を引っ張ろうとはしない人だから、害はない。
「器用なサブリナさんと違って、ティリーさんは不器用だからな。あんたなら、フレッドのあんな仕事受けねぇだろ?」
その通りだ。わたしなら絶対受けない。先輩の頼みと言っても、断る理由はいくらでも見つけ出せる。
あんな資料、転送してもらえばいいだけのことだ。
「好きな人のことを、悪く言っちゃダメですよ」
「いやいや、あれは、ティリーさんのいいところなんだ」
褒めているとは思えない。
「サブリナさんは、ありとあらゆる情報を先回りして集めてるじゃん。そうやって計算してねぇと不安なんだろ?」
当たっている。
「ティリーさんは、アンタレス人のくせに計算が苦手なのさ。不器用な上に感覚や感情が先にくる。人から頼まれたら受けなくちゃ申し訳ない、ってな」
本当にそうだ。真面目で一生懸命なのは伝わってくるけれど、要領はよくない。
「だから、真っ当で強い」

わたしの中に疑問符が灯る。レイターさんの言っている意味がよくわからなかった。
レイターさんは、ティリー先輩のことが好きだ。観察していればわかる。
前の彼女『愛しの君』への想いを引きずっているのは知っているけれど、もう亡くなった人だ。
惚れた欲目か。あばたもえくぼか。恋愛は人の目を曇らせる。
優秀なレイターさんもティリー先輩に関しては、判断がおかしくなるようだ。
と、思ったことをそのまま口に出したりはしない。
「流石レイターさん、ティリー先輩のこと、よく見てますね」
「そりゃ、俺のティリーさんだもの。サブリナさんはジョン・プーのどこが好きなんだい?」
突然の質問に、一瞬答えに詰まった。でも、わたしはこの質問の正解を知っている。
「全部に決まってるじゃないですか」

にっこり笑って答えた。 (7)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」