銀河フェニックス物語<出会い編> 第三十一話(7) 恋の嫉妬と仕事の妬み
・第一話のスタート版
・第三十話(1)(2)(3)(4)(5)(6)
・第三十話 まとめ読み版①
* *
サブリナさんと話しているとわかる。彼女は仕事ができる。それにかわいい。
ジョン・プーが惚れるわけだ。

しかし、サブリナさんはジョン・プーのどこが好きなんだろう。
俺は興味があった。
「サブリナさんはジョン・プーのどこが好きなんだい?」
「全部に決まってるじゃないですか」
にっこり笑って嘘のつける女性も、俺は嫌いじゃねぇ。
コッペリ社の男性担当者が頭を下げながら部屋へ入ってきた。
「どうもすいません。直前にお客様から通信が入ってしまって」
勢いのある会社、ってのは雰囲気が明るい。男も社交辞令以上の笑顔を見せている。
「フイールのおかげで出張が増えたものですから、ここで一気に船を新しくすることにしたんですよ」
「ありがとうございます」

サブリナさんが契約ボードを開いた。七隻の新型船契約。安い買い物じゃない。
細かい契約書を先方が慎重に確認する。
俺とサブリナさんはじっと待つ。
まあ、事前に契約書は法務部門含めて双方で付き合わせているから、ひっくり返ることはまず無い。特にサブリナさんは水も漏らさない程詰める。ティリーさんとは大違いだ。
それでも、難癖つけられると面倒だから、サブリナさんが緊張してるのがわかる。
先方が顔を上げた。
「確認しました。じゃあ、これでお願いします」
サブリナさんの肩から力が抜けた。
「こちらにサインを」
サブリナさんが渡した電子ペンで、コッペリ社の担当者がサインした。
契約完了だ。
「来週には納船いたします」

二人は笑顔で握手をかわした。
とその時、
リリリリリリ・・・
警報音が館内に鳴り響いた。
「火災報知器ですね、このビル古いんで、よくなるんですよ」
コッペリ社の担当者はのんびりしている。
俺の直感が騒ぐ。嫌な感じだ。
何か起きてるな。
「サブリナさん、急いで帰るぜ」
契約ボードをカバンに入れたサブリナさんの手をとる。
リリリリリリ・・・・・・
警報が鳴り続ける。
「変ですねぇ」
男もおかしいと感じたようだ。部屋の横のドアから一緒に廊下へ出る。
エレベータホールは人であふれていた。上から来るエレベータは定員を超えていて止まらない。
「階段で降りよう」
廊下にできた列に並び、七階からのろのろと階段を下へ降りる。
ティリーさんはどうしてる?

もうこの時間なら、一階のロビーに降りてるはずだ。
腕の通信機でティリーさんの位置情報を確認する。
おいおい、信じらんねぇ。ティリーさんはまだ十五階にいるぞ。
資料受け取るだけだ、ってのに、一体何やってんだよ。茶でも飲んでたのかよ。
俺がさっき七階に張り付けた集積カメラの映像を、アーサーは近くで見ているはずだ。
『何が起きてる?』
人の流れに沿って階段を降りながら、片手で通信機に文字入力し、アーサーに送信した。
即座に、耳に入れた無線からアーサーの低い声が返ってきた。
『コッペリ社の最上階で立てこもりが発生した。今からそちらへ向かう』
な、何ぃ?

俺は思わず声に出しそうになった。最上階は十五階。ティリーさんのいるフロアーだ。
天井を見上げる。このまま駆け上って、すっ飛んでいきてぇが、今は無理だ。人混みで身動きが取れねぇ。
七階に盗人が来るんじゃなかったのかよ。
とりあえず、サブリナさんを安全な場所へ避難させねぇと。 (8)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」